「官僚出身の山田府知事の3期12年は、霞ヶ関ばかりを向いた、冷たく歪んだ府政であった。山田知事は『消費増税には敬意を表する』とも言った。京丹後市へ米軍基地を受け入れ、TPPは容認だ。安倍政権の暴走を止めるためにも、行動する小児科医である尾崎望氏の当選を願う」。小池晃参議院議員は、京都府知事選挙に立候補予定の尾崎望(のぞむ)氏に、このようにエールを送った。
尾崎氏は「米軍基地建設を許可し、消費増税を賞讃する、こんな知事では京都府民を守れない」と断じ、自身の掲げる5つの挑戦、──京都府経済の立て直し、子どもの貧困の撲滅、安心の医療と福祉、原発ゼロ社会、地域住民主権を訴えた。
2014年2月21日、京都市北区の京都府立体育館にて「府政転換世直し1万人府民大集会」が行われた。3月20日公示、4月6日投開票が予定されている、京都府知事選挙に立候補を表明している医師、尾崎望氏が意気込みを語った。また、支援する有識者と市民たちが、応援メッセージ、パフォーマンスなどで会場を賑わせ、この日の参加者数は8500人に上った。
行動する小児科医、尾崎望氏
環境まちづくりネット代表世話人の柴田京子氏の開会のあいさつで始まった。柴田氏は「1998年、鴨川歩道橋計画案を白紙撤回させた。その時から人生が変わった。増税に賛成する知事はいらない。京都から政治を変えよう」と熱いエールを送った。
続けて、労働者団体、中小企業団体、婦人団体、青年勤労者たちが、京都府知事選立候補予定者の尾崎望氏を応援する1分間アピールを行った。弁護士の大江智子氏、小児科医の尾崎氏に病弱の娘がとても世話になったという母親、小池晃参議院議員と、続けてスピーチをした。
小池氏は「官僚出身の山田府知事の3期12年は、霞ヶ関ばかりを向いた、冷たく歪んだ府政であった。山田知事は『消費増税には敬意を表する』とも言った。京丹後市へ米軍基地を受け入れ、TPPは容認だ。安倍政権の暴走を止めるためにも、行動する小児科医である尾崎望氏の当選を願う」と述べ、「雇用環境の悪化、ブラック企業や非正規雇用の増大、国民健康保険料、年金、介護保険料など社会保障料の増額、国の言いなりの知事だったら、いないのと同じだ」と批判した。
その上で、尾崎氏について、「『行動する小児科医』をモットーに、子どもの貧困をなくす活動、ベトナムでの医療やリハビリ支援も続けている。そして、京都をこよなく愛するのが尾崎氏だ。4月6日、京都から世直しをしよう」と熱い声援を送った。
そして、支援者たちが再び、応援パフォーマンスを繰り広げた。狂言師の茂山あきら氏は「今日は尾崎さんのために」と、子どもたちの遊びを描いた『京わらべ』を唱い上げた。
われわれの手で、国の悪政に審判を下そう
尾崎氏が登場、拍手と歓声で迎えられた。尾崎氏は、小児科医として診療をする中で感じることとして、「格差、貧困の中で、過労などで満足に子育てができない、ストレスいっぱいの母親たちがいる。それが、子どもの犠牲になって表れている」と述べ、「こういう世の中を、少しでも変えようと思い、立候補を決意した」と語った。
「昨年11月に立候補を表明してから、多くの市民の声を聞いた。経営の厳しさ、生活の苦しさ、住民を助けてくれない政治への怒りが満ちていた。なぜ、こういう京都府になってしまったのか。それは、大企業ばかりを優遇し、中小企業を切り捨て、国の言いなりだったからだ」。
「米軍基地建設を許可し、消費増税を賞讃する、こんな知事では京都府民を守れない。安倍政権の暴走は目に余る。社会保障費は切り捨てられ、TPP推進、原発再稼働、特定秘密保護法、そして、憲法改正で戦争のできる国にする」。このように述べた尾崎氏は、「今回の知事選は、全国が注目し、多くの人が期待している。われわれの手で、国の悪政に審判を下そうではないか」と呼びかけた。
「5つの挑戦」で新しい京都を作る
尾崎氏は「知事選への5つの挑戦」として、次のように語った。
「1つ目。全国で一番冷えきった京都府の経済を立て直し、府民の生活を改善する。京都府の企業の99%は中小企業で、72%の雇用を担っている。ゆえに、道路、建築物の改修、役場の備品などは、京都府内の中小企業に仕事を回す『中小企業地域振興条例』を制定する」。
「それは、京都で働く人たちに、安定した雇用と賃金を保証する。京都は、沖縄、北海道に続いて、3番目に非正規雇用者が多い自治体だ。人間らしい生活ができる最低賃金を保証する、『公契約条例』を制定する。中小企業が潤い、賃金が上がり、税収を増やす地域循環型経済を目指し、若者が希望を持てる京都を目指す」。
「2つ目は、京都から子どもの貧困を根絶する。正規の教員を増やし、少人数学級を実現し、教育現場では一人ひとりの子どもと向き合えるような教育環境を整備する。民間保育園を増やし、待機児童問題を解決する。昼食を持ってこない中学生、朝食を食べられない子どもたちがいる。中学校の給食実現を支援する。貧困をなくし、安心して生活できる京都を実現する」。
安心の医療と福祉、原発ゼロ社会、地域住民主権
「3つ目は、安心の医療と福祉を取り戻すこと。健康で、文化的生活を送ることは基本的人権。生活保護法の改正を国に要求する。国民健康保険の補助を増やし、保険料を下げることを要求する。高齢者が安心できる京都を作る」。
「4つ目。福島原発事故の収束は、ほど遠い。原発ゼロを、政府に迫る。近隣の県とよく話し合い、大飯原発、高浜原発の再稼働を阻止する。再生可能エネルギーの普及。保育園、学校など、公的施設から再生可能エネルギーを広げていく」。
「5つ目。地域のことは住民が決める『地域住民主権』を作る。主役は府民一人ひとり。知事になったら、街に出て住民の声を聞き、要望や問題点を拾い上げ、市町村と話し合い、それを実現させる。府民の安全を守るための、京都府づくりを目指す」。
さらに、「日本国憲法が、より重要になっている。『憲法を暮らしの中に生かそう』という垂れ幕を、再び、京都府庁の正面に掲げる。それを最初の仕事にしたい。一緒に新しい京都を作りましょう」と拳を振り上げると、会場から盛大な喝さいを浴びた。
8500人が盛り上がった大集会
府政転換世直し京都府民ネットワーク代表の関浩氏が、スピーチに立った。「6年前に始まった、後期高齢者医療制度。4年前の見直しの介護保険制度。医療費削減のための狡猾な手段だ。都道府県、地方自治体ではなく、国が最後まで責任を持つべき問題だ。そうでなかったら、権限を(自治体に)委譲すべきだ。今回の府知事選は、無党派層を掘り起こせば、勝てる可能性が大いにある」と語った。
最後に、府政転換世直し京都府民ネットワーク森事務局長が、「今日は8500人が集まった」と報告して、集会は終了した。