「放射性廃棄物の裏処理ルートができてしまう」 〜滋賀県高島市の放射性チップ放置 地検と県警に告発へ 2014.1.30

記事公開日:2014.1.30取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・奥松)

 「この放射性チップは、どこから来て、どこへ行くのか。どんな処理をするのか。一切、明らかにされていない」──。

 滋賀県高島市の鴨川河口周辺に、福島から運び込まれた放射性木材チップが不法投棄された問題で、滋賀県放射性チップを告発する会は、2014年1月30日、関係した業者らを廃棄物処理法と河川法違反の容疑で、大津地方検察庁と滋賀県警に告発した。その後、滋賀県庁への申し入れと記者会見を行った。この件では、同日、東京でも市民団体が、警視庁に告発状を提出。情報公開を求めて、環境省にも申し入れを行っている。

 不法投棄は、2013年3月に発覚した。福島の製材会社が出したとみられる木材チップ約300トンが、琵琶湖に続く鴨川河口付近に数百メートルにわたって敷き詰められていた。市民団体が測定したところ、1キロあたり1万ベクレルを超えるセシウムが検出されたが、滋賀県は、雨に濡れた状態のチップを測定して3900ベクレルであったことから「国が指定する放射性廃棄物には当たらない」としている。現在、撤去作業が進められているが、搬出先や処理方法について、県は公表していない。

■ハイライト

  • 10:00~ 告発状の提出(滋賀県警)
  • 10:50~ 滋賀県庁への申し入れ
  • 11:00~ 滋賀県政記者クラブでの記者会見
  • 日時 2014年1月30日(木) 10:00~
  • 告発団体 滋賀県放射性チップを告発する会

同じことが全国で行われる可能性も

 滋賀県放射性チップを告発する会の共同代表、石田紀郎氏(京都市民環境研究所)は、「何度か現地を調査したが、大変な事態だと思う。高島の場合は不法投棄が表面化し、多くの人の知るところになったが、同様のことが密かに全国で行われているのではないか」と懸念を表明した。「まず、鴨川流域の住民の安全確保と、琵琶湖の環境保全を求めたい。放射性物質を全国に拡散させてはいけない」とし、次のように述べた。

 「現在、放射性チップは撤去作業中だ。撤去後には、安全確認のための調査を公開でやってもらいたいと、県に申し入れた。地域住民が納得できる方法で解決するために、われわれは活動していきたい」。

マニュアル無視の測定で「基準値以下」

 同じく共同代表である、環境学者の畑明郎(はた・あきお)氏は、「滋賀県は、河川敷に放射性チップを撒かれた被害者のはず。不法投棄をした業者3者も特定されているのだから、本来、滋賀県が告発をすべきだ。県としての、しっかりした対応を求めたい」と語った。

 さらに、滋賀県が濡れたチップで放射性物質の測定を行い、「国の基準(8000ベクレル/キロ)以下だ」と公表したことについて、畑氏は「環境省の『廃棄物等の放射能調査・測定法暫定マニュアル』によれば、試料が湿っている場合は、含水率を測定して乾燥重量ベースで報告することになっている。乾燥した状態のチップは1万ベクレル以上あった。マニュアルを無視した県のやり方には憤りを覚える」と断じた。

これは氷山の一角か? 放射性廃棄物処理の闇

(…会員ページにつづく)

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