未だかつて、これだけ多くの知識人、法律家、国民、そして海外から反対の声のあがった法案があったでしょうか。政府・与党は本日(12月5日)13時から「特定秘密保護法案」に関わる特別委員会を開催。野党の質問が終わった16時10分、採決を強行し、与党の賛成多数で可決されました。残るは参議院本会議を残すのみ。与党は本日6日20時からの本会議で採決し、成立させる構えです。国会前では抗議の声が鳴り止まず、「採決撤回」のコールが今も続いています。(12月6日17時00分現在)
※23時23分参議院本会議にて総投票数212、白色票(賛成)130、 青色票(反対)82、の賛成多数で特定秘密保護法案は可決となりました。
【国会前抗議中継はこちら】
Ch6→ http://www.ustream.tv/channel/iwj6
【参議院ネット中継はこちら】
http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php
衆議院よりも強行さ増す参議院審議
★会員無料メルマガ「IWJウィークリー第29」より転載!
政府・与党は昨日12月4日、突如埼玉県さいたま市で地方公聴会を開催しました。「慎重審議すべき」とする野党側の意向を全く無視した強行に対し、野党は共産党以外、出席を拒否。自民党、公明党、共産党の推薦した3人の意見公述人のうち、2人(自民、公明推薦)が同法案に賛成の立場を示しました。
共産党以外の野党が欠席したことで、当初2時間半の想定が1時間強で終了するなど、議論の深まりはありませんでした。国会から近く、その日のうちにすぐ戻れる埼玉県に会場を設定するなど、「今国会会期内での強行採決」のための政府・与党の「アリバイ作り」のための公聴会だったと言えます。
公聴会の会場外では、多くの市民が駆けつけ、この法案そのもの、そして「国民の声を聞こうとしない」政府・与党の強引な国会運営に抗議の声をあげました。警察による厳戒態勢が敷かれるなか、一時市民が出入口を封鎖するなど、現場は一色触発の場面もありました。
そうした多くの反対の声に後押しされるように、16時30分から有楽町で、民主党、共産党、生活の党、社民党。新党改革、そして政府・与党との修正協議に応じたみんなの党、維新の会の野党7党の代表者が、同法案の「廃案」「慎重審議」を求める異例の合同街頭演説を行いました。
民主党の海江田万里代表は、詰めかけた聴衆に対し、「この法案は、官僚の官僚による官僚のための秘密隠しの法案。そこには、国民の『知る権利』など欠片もありません」と訴えかけました。
今や国民の半数以上が「反対」もしくは「慎重」の姿勢を示すこの法案。「日本の秘密管理基準は省庁によってバラバラであり、統一基準が必要だ」と、森雅子担当大臣はこの法案の意義を繰り返し答弁しています。しかし、日本にはすでに平成21年に施行された「特別管理秘密に係る基準」という秘密管理基準があり、そこには「政府統一基準だ」と明記されているのです。
虚偽の答弁をしてまで、この法案を急いで成立させたい政府・自民党の思惑とは、一体何なのでしょうか。
さらに言えば、日本の秘密保全体制は、国家公務員法、自衛隊法、日米相互防衛援助協定(MDA協定)、日米刑事特別法などの法制により、すでに十分整備されているのです。特に日米相互防衛援助協定(MDA協定)、日米刑事特別法などは、米国から提供された軍事情報をもらした場合、すでに10年以下の懲役という重い刑が課せられていることになっています。もうこれで十分すぎるほどです。この上さらに何を「秘密」にし、誰を、なんのために、罪に問い、罰を与えなくてはならないのでしょうか。
その答えは、昨日4日に発足した日本版NSC(国家安全保障会議)にあります。日本版NSCは秘密保護法とセットであり、自民党の目指す解釈改憲による集団的自衛権の行使容認の序章に過ぎません。来年には、共謀罪、国家安全保障基本法が提出され、いよいよ日本は米軍の「下請け」となって「国益」もなく「大義」もない戦争に従軍する「傀儡国家」と成り果ててしまう。秘密保護法はその「終わりの始まり」に過ぎません。
IWJは、民主党政権が「秘密保全法案」の制定を検討し始めた段階から取材を重ね、一連の流れを報じ続けてきました。有識者らへのインタビュー、秘密保護法の成立を危惧する国会議員らと防衛省、外務省、内閣府などの対政府交渉、市民による抗議行動などを取材し続けています。
もうまもなくに迫った、秘密保護法の本会議採決に向け、法律家や有識者らによるこの法案の危険性を指摘する声、そして市民の不安の声、IWJが取材で集めた様々な声を以下に掲載します。
—————————————-
「この法案の本質は、安倍政権がとりまとめた特定秘密保護法の最終案「第9条」に隠されています。これこそ、最大の問題です。
第9条には、『必要とあらば外国の政府又は国際機関に特定秘密を提供することができる』と書かれています。
すなわち、国民には開示せず、後日廃棄して永遠に闇に葬り、国民に真実を知らせない、という一方で、なんと特定の外国にはその秘密情報を提供する、という規定なのです。
「外国の政府」が米国を指すのは明らかです。原発事故直後、SPEEDIの情報を国民には開示せず、米国には速やかに提供していたことが、後に明らかになりましたが、この法律は、これを全面的に制度化するものだと捉えるべきでしょう」(岩上安身)
—————————————-
「政府の密室主義が表れている。原発事故に関する情報隠しや沖縄密約事件のことを考えると、今、政府に求められているのは情報公開の徹底」(2012年3月22日 日弁連会長・宇都宮健児氏)
—————————————-
「福島第一原発事故の後、政府はSPEEDIの情報をすぐには国民に公開しなかったじゃないですか。しかし、米軍に対してはSPEEDIの情報を提供していたんです。米軍には3日後に情報を出したのに、僕達には情報を遅らせ、隠した。この国に住んでいる人のことなんて、これっぽっちも思ってないんですよ!
僕らは奴隷なんです!」(9月28日 山本太郎 参議院議員)
—————————————-
「ナチスが共産主義者を攻撃したとき、私は声をあげなかった。
私は共産主義者ではなかったからだ。
社会民主主義者を牢獄に入れたとき、私は声をあげなかった。
私は社会民主主義ではなかったからだ。
労働組合員たちを攻撃したとき、私は声をあげなかった。
私は労働組合員ではなかったからだ。
ユダヤ人たちを連れて行ったとき、私は声をあげなかった。
私はユダヤ人ではなかったからだ。
そして、ナチスが私を攻撃したとき、私のために声をあげる者は誰一人残っていなかった――。
これは、ドイツの神学者、マルチン・ニーメラーの詩です。これは抵抗の詩であり、後悔の詩。秘密保護法を発端に、日本で、ナチスのような動きが起きてはいけない」(10月31日 第3回「秘密保護法を考える超党派の議員と市民による省庁交渉」に参加した男性)
——————————————
「特定秘密保護法により、自衛隊の警務隊が情報の漏洩先を調べることになるかもしれません。つまり、自衛隊が一般市民やジャーナリストを調べることになるかもしれない、ということです。
旧日本軍の憲兵隊が復活することになりかねません」(11月5日 半田滋 東京新聞編集委員)
—————————————-
「特定秘密保護法案は、俗に言われますように、治安維持法よりもさらに基本的人権を侵害する恐れがあると思います。『特定秘密』の指定も、政府と役所の判断ですべてできてしまうので、基本的人権に関わる制度を作るときには、慎重な配慮が必要だと思います。
メディアの取材がどうのこうのという問題もありますが、私たちはひとえに、基本的人権の観点から、賛成出来ないという結論になっています」(11月5日 小沢一郎 生活の党代表)
————————————
「成立すれば、外交軍事だけの問題ではない。毎日が大きくゆがんでいきます。報道の自由、知る権利。私達の暮らしがどのようになっていくか、報道を通じて知っていくのは主権者の権利です。
松本サリン事件が起きた直後、山梨県・上九一色村で、サリンの残留物が検出され、大問題になりました。法務委員会で谷垣大臣に『秘密保護法があったら、上九一色村でサリンを作っている情報は特定秘密に?』と問うたら『テロ計画だから特定秘密にあたる』との答弁が返ってきました。
地下鉄サリン事件は防げなかったが、あの時、オウムがなにかやっているに違いないと、ジャーナリストはオウムを追及し、取材の目を注ぎ、注意喚起しました。もし特定秘密保護法案があれば、そういう報道もできず、国民は知ることができないのです」(11月13日 有田芳生 参議院議員)
————————————-
「政府は、従来の罰則では低いから、重要な情報が米国から日本に来ないのだと主張しています。しかし、私の経験上、そんなことはまったくありません。
米国との間にはGSOMIA(軍事情報包括保護協定)も締結されていますし、それ以前からも、情報機関同士では毎日のようにやり取りが行われていました。私が情報本部にいた時も、米軍横田基地から大量の情報を受け取っていました。そういうことから考えると、日本政府は実態をデフォルメして説明しているのではないでしょうか。
これまでに国家機密が漏洩した事例としては、海上自衛隊の萩崎繁博三佐が、ロシアのボガチョンコフ大佐に情報を渡していたという事件を含めて、5件ありました。これが何を意味するかというと、現行法制のもとでも、これら5件は検挙できた、ということです。
政府は、この秘密保護法を作ることで、(この5件に加えて)、『さらにこのような事件を摘発できるのだ』ということを説明しなければなりません。私の考えでは、特定秘密保護法を作ったところで、検挙率は変わらないでしょう」(11月15日 柳澤協二 元内閣官房副長官補)
————————————–
「巨額な対米支払い、在日米軍の自由使用、核の持ち込み。米側によるこれらの要求を、佐藤内閣は自らの栄光のためにすべて飲んだのです。国家のためではなく自身の政権のためなんですよ!そしてこれらはすべて密約です。
国家機密の名の下に、自分たちの都合の悪いものを隠してしまう。それが特定秘密保護法であり、沖縄密約にそのことが典型的に表れていると言えるでしょう
沖縄密約だけではありません。日米安保体制にも非常に多くの隠蔽事項があります。日本政府の立場は『日米安保体制が基軸』というもの。であるならば、その情報は120%国民に伝達すべきではないでしょうか」(11月15日 西山太吉 元毎日新聞記者)
——————————————
「みんなの党が、ここにきて自民党に協力をする、と。みんなの党は自民党の補完勢力なんじゃないのか? この法律を今すぐ成立させてほしい国民なんていないんですよ。
いくらでも無制限に国民の知る権利を脅かし、言論・表現の自由、いや、自由そのものを踏みにじる法案ですよ!そんな法案に、みんなの党は賛成するんですか!これまで国民の味方のふりをして、ここぞという時に権力にすり寄るんですか!」(11月19日 みんなの党本部前緊急アピールに参加した男性)
————————————
「月曜日から金曜日、10時から17時まで、議員会館前で特定秘密保護法案に反対する座り込みをしています。今日は3日目ですね。
この法案に対し、まだまだ声があがっていないのが現状。2006年の教育基本法改正の際は、全国から集まった市民でこの歩道を埋めつくしました。そうした行動が少ないことを残念に思いますが、誰かがやらないといけません。賛同する人は、ぜひ集まって欲しい」(11月20日 高橋俊次 新社会党副書記長)
—————————————
「こういう法律が出てくるなんてことは、私のような馬鹿でも考えもしていませんでした。戦後初めてでしょう。戦争中の時代を私はちらっとかすっていますので、その頃はもう戦争という異常な時代だから、いろんな考えられないようなことがたくさんありました。
しかし、ずいぶんと戦後、時代が変遷してきていたところへ、どうもこれ(秘密保護法)。とどめになるのかと思うくらい悪法だ」(11月20日 菅原文太 俳優)
※2013/11/20 「『右翼軍国主義者』と自ら名乗って恥じないこの男に、秘密保護法を与えたら日本はどうなる」!?
——————————————–
「うーん、なんだろう。
このままどんどん、知りたい情報が出てこなくなっちゃって、自分たちの表現の自由とか知る権利が奪われるのは絶対に嫌だし、原発のことも、なんだかんだ言い訳をつけて、市民が暮らしにくい世界にされちゃうのは嫌だっていう気持ちで、今日は来ました。
なんとかしなきゃ、みたいな」(11月21日 日比谷野外音楽堂での集会に参加した女性)
——————————————–
「これまで、すでに幾度となく法案が採決されるという噂が流れてきました。今日、この段階でも、来週の11月26日に、本会議で採決されるという噂が流れています。
しかし、今日、11月21日までに、衆議院での委員会採決を許さず、この大集会を迎えることができたということそのものが、我々の大きな勝利の一歩ではないでしょうか!
秘密保護法の制定は、戦前の例を見ても分かるように、戦争への道に直接につながっています。戦争中、いかに、いかに馬鹿げた規制がなされたのか。
昭和東南海地震が隠されました。軍需工場や空港の場所すら秘密にされました。戦艦武蔵を作っているという事実まで秘密にされました。負けている戦争の真実が隠され、真実が明らかにされることなく戦争が続いたのです。
みんなの党や維新の会との間でまとめられた修正案に、ふざけるな、と言いたいと思います。
首相を第三者機関にする? ふざけるんじゃありませんよ。首相を取り巻く官僚たちが、政府を牛耳ることになるだけです。官僚が支配する国家になってしまう。
国民の過半数が反対し、8割が慎重な審議を求めている。このような法案はいったん白紙に戻し、全面的に練り直す、そういう作業をすべきではないでしょうか!
国会に対して私たちの怒りをぶつけ、なんとしても法案の成立を阻止し、次の国会にまで私たちの力を蓄え、完全廃案に追い込んでいこうではありませんか!」(11月21日 海渡雄一 弁護士)
——————————————–
「これまで、秘密がバレて日本の外交にマイナスなことがあったでしょうか。米国NSAの各国首脳への盗聴が明らかになり、世界各国は一斉に米国を批判しました。しかし日本は、『米国はやったと言っていない。それを信じたい』と言います。
もし秘密保護法を推進するように、秘密を守りたいという意向があるのなら、日本は真っ先に抗議するはず。しかししなかった。つまりこの法案は日本発ではなく、米国の要請ということです。
日本は対外的に、非合法に諜報活動する機関は第2次大戦後に失われました。ただ、共産圏への防波堤としての防諜は、GHQも認めました。公安調査庁や警視庁外事課などです。世界的にみても非常に高い水準にあります。
では、米国に対してはどうでしょうか。やがて米国には、『最大の敵は経済』という意識が出てきた。そこでCIAの予算の30%が日本への工作に使われるようになりました。当時の経産省は、『省内の電話ですら盗聴されている』と意識していていました」(11月21日 孫崎享 元外務省国際情報局長)
—————————————
「3月12日の夜中、タイベックを着た警察官がいました。私たちはそれを見て、『なんだあの宇宙人は』と驚きました。
なんで警察官だけが先に身につけていて、我々は丸裸にさせられなければならないのか。これも、情報が全然伝わらなかったからではないでしょうか」(11月25日 馬場有 浪江町長)
—————————————-
「福島第一原発の事故後、女川にいた米軍の第7艦隊が避難しました。米国は、4号機燃料の破損によるジルコニウム火災を想定していたといいます。
しかし私たちには何の情報もきませんでした。まさに『棄民』です。災害時に情報を出さないことは、被害を拡大するということなのです」(11月25日 佐藤和良 いわき市議会議員)
—————————————
「今回の法案は、国際的な流れから完全に逆行しています。防衛や安全保障の情報であっても、市民の知る権利は制限されず、公開されるというのが国際社会の原則です。秘密保護は必要最小限にされるべきで、さらに政府の側に立証責任があります。
このような法案が国会に提出され、スピード可決されようとしている。世界の常識から見れば本当に恥ずかしいこと。かつて、満州事変で国連から脱退して世界の孤児になっていったことと同じだと思います」(11月24日 田島泰彦 上智大学教授)
——————————————–
「安倍総理には、政治の失敗を軍事で解決しようとする気持ちがあるのではないでしょうか。特定秘密保護法案の成立は、明治時代からの政治家に対する侮辱です。軍事の“とんでも内閣”だった東條内閣でさえ、ここまでしませんでした」(11月28日 保阪正康 作家)
——————————————-
「秘密保護法ではTPPももちろん外交機密となります。この法案が成立すれば、議員が交渉内容にアクセスできるようになっても、一言も外に発することができなくなるでしょう。このタイミングの法案推進はTPPを見越したものだと思います。
日本も大変な国になっていきます。これから先を考えると本当に心配です。監視国家、警察国家になり、米国に従って中国包囲網を作るということです。
このままいくと、第3次世界大戦の兆しがくる」(11月28日 山田正彦 元農水相)
————————————
「『あってはならず』と言っても、それは当然のことで、実効性はありません。『戦争があってはならない』と言っても、戦争が起こるのと同様です。『十分な配慮』と言っても、何をもって『十分』とするのかも曖昧。捜査経験に照らしても、捜査の暴走への歯止めにはならないでしょう。
法定刑も重く、処罰範囲の広範さ、捜査権限の濫用も軽視できません。報道機関への影響も多大なものがあり、その歯止めもありません。公安捜査にも関与したことがある身としては、強い危惧感を覚えます」(12月2日 落合洋司 弁護士)
—————————————–
「この会見を報道されている報道関係者の皆さん、マスメディアの方々は、我々の友人です。言葉を使って、世界を切り分け、世界に何があるか、どんな問題があるか、考えるための素材を提供する。言葉をめぐって働く友人です。
あなたがたは、この世の中に、なぜ、存在する意味があるのかということを、もう一度考えて、お互いに励まし合いながら、この問題をきちんと世界に伝えてほしいと思います。我々もそのために、協力する用意があります」(12月3日 岡田憲治 専修大学教授)
————————————
「私が陳述人として指名されたのは、昨日の夜10時。民意はこの法案に反対しています。パブリックコメントでも8割が反対。海外からも批判の声が出ています。
もしこの法案を参議院で強行採決するということになれば、良識の府としての参議院の信頼は失墜すると思います。また、この法案は日本版NSCとセットです。NSCの4大臣が特定秘密を独占することは、戦前の大本営を彷彿とさせます」(12月4日 山崎誠 弁護士)
———————————–
「世界中に秘密を守る法律はあるが、秘密には期限があります。それではじめて、政府の中心の人達が自分の判断が正しかったかが分かる。この法案のように未来永劫秘密が隠されるなんていうものはないんですよ!
安倍総理は、第三者機関ではなく、第三者『的』機関を設置すると答弁しています。第三者機関『のようなもの』、ということです。偽装第三者機関。この演説が『テロ』なんてとんでもない話だ! これは民衆の声だ!」(12月4日 海江田万里 民主党代表)
———————————–
「米国は外国を盗聴することは違法ではないとうそぶき、敵国だけでなく、日本を含めた同盟国に対しても盗聴、情報の収集を行っている。ドイツのメルケル首相は怒って抗議し、オバマ大統領は謝罪したが、日本の政府も閣僚も誰一人米国に抗議もせず調査もせず、小野寺防衛相に至っては、『日本も盗聴されている』というニューヨーク・タイムズの報道に対して、『その報道は信じたくない』と現実否認に逃げ込んでいるあり様。
これが『ストックホルム症候群』にかかって70年も経過した日本の「病状」なのです。こんな国は世界中見わたしても、先進民主国の中には見あたりません。少なくとも独立国の姿ではない。傀儡政権を強制的に樹ち立てられた帝国の属国の姿です。
この上さらに目隠しをして、耳栓をされ、さるぐつわをはめられ、ジャンクな情報以外は、何も重要な情報が与えられず、身体拘束にかけられて、奴隷の如き「従属」プレイを強いられていくのが、秘密保護法施行後の米国と属国・日本の関係です。
このように、特定秘密保護法とは、日米間の情報共有に資するためのものではなく、罰則強化による検挙率向上のためでもありません。では、国内の実態とは完全に乖離したこの稀代の悪法の制定を、政府が急ぐ理由とは一体何なのか――」(11月22日 岩上安身)
IWJ定額会員の方には「IWJウィークリー」を無料で配信しています。
会員登録は
こちらから。
この法律の本質は愛国者処罰法です。そう考えると推進する人間のメンツも理解できるし、立法を急ぐ理由も理解できる。政府は2013年10月3日に都内で行われた日米安全保障会議(2プラス2)以降急速にこの法律の成立を急いだ。この席で《日本側は、集団的自衛権の行使容認に向けた取り組みや日本版「国家安全保障会議(NSC)」設置の準備状況を説明。米側は歓迎する意向を示した。》そうだ。《会談には、日本側から岸田外相と小野寺五典防衛相、米側からケリー国務長官、ヘーゲル国務長官が出席。》したそうで、《日本で四閣僚がそろって2プラス2が開かれたのは初めて。》だそうです。
日米が合意した日米共同文書のポイントは、防衛協力指針(ガイドライン)再協定にに着手し2014年完了、中国に国際的な行動規範の順守を要求、米軍普天間飛行場の県内移設を確認、在沖縄海兵隊のグアム移転を20年代前半に開始し現行協定を改定する等です。
このうち在沖縄海兵隊のグアム移転に関る費用の一切は、グアムでの移転先の基地や住宅、上下水道の整備なども日本側の負担になることは今後とも変わらないでしょう。国民の反発が大きいこの情報は今後隠される可能性が高く、愛国心からこれを国民に知らせるために事実を漏らした官僚は処罰され、10年も監獄に放り込まれることに成る。そういう恐ろしい法律の成立を急ぐのは間違いなく売国奴でしかない。売国奴による愛国者処罰法が成立しようとしているのだ。
《》内は、東京新聞2013年10月4日号朝刊1面から抜粋しました。