日刊IWJガイド・非会員版「TBS生番組終了直後、ビートたけしさん暴漢に襲わる! 言論へのテロの可能性も!? TBSは証拠もないのに番組内発言とテロを無関係と否定」2021.9.6号~No.3280号


┏━━【目次】━━━━━━━━━
■はじめに~ビートたけしさんがTBS生番組終了直後、TBS玄関前で凶器をもった暴漢に襲われる! 「安倍さんがもう一回やればいいのに」「(衆院選では)共産党に入れる」などの発言を番組内でした直後だけに、言論に対するテロの可能性も!?

■岩上安身からの、ご支援要請のメールに対して、ご寄付者様からメッセージをいただきました! ここに感謝を込めて紹介させていただきます! 岩上安身が直接、感謝をこめて、メッセージにお返事させていただきました!

■【中継番組表】

■<インタビュー報告>「コロナ禍で米中覇権交代が加速か!?「帝国の墓場」アフガニスタンから米軍が撤退! 中国の後ろ盾を得たタリバン新政権に国際社会はどう応じる!?〜9.5岩上安身による放送大学名誉教授・高橋和夫氏インタビュー」を中継しました!

■菅総理、総裁選への出馬断念で、安倍・菅政権の「日本を滅ぼす方程式」が見えてきた! IWJの取材に上昌広医師がコメント! 官邸に権力を集中させて官僚人事に手を突っ込み、族議員を干し、メディアを支配したがために、間違ったコロナ対策の修正ができなかった!上昌広医師は「独裁、専制主義でやったことで、菅総理は我が身を滅ぼした」と明言!

■ワクチン2回接種しても感染する「ブレイクスルー感染」、しかも死に至る例が首都圏高齢者中心に続々報告! ところが政府の分科会は、現実をまったく見ずに、2回接種で「出張や旅行」「大規模イベント」「大人数の会食」を可能とする緩和案提言! 提言公表は、旅行・観光関連業界の目先の票集めのためか!?

■【同時多発テロから20年。「対テロ戦争」の欺瞞を告発する シリーズ特集】本日午後8時から、2016年収録「第1回イラク戦争公聴会 ~元内閣官房副長官補・柳澤協二氏による証言・意見陳述ほか」をフルオープンで再配信します!
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■はじめに~ビートたけしさんがTBS生番組終了直後、TBS玄関前で凶器をもった暴漢に襲われる! 「安倍さんがもう一回やればいいのに」「(衆院選では)共産党に入れる」などの発言を番組内でした直後だけに、言論に対するテロの可能性も!?

 おはようございます。IWJ編集部です。

 タレントのビートたけしさんが4日夜、東京・赤坂のTBS敷地内で刃物を持った40代の男に襲われました。

 5日付けTBSニュースは、次のように報じています。

 「警視庁によりますと、4日午後11時40分ごろ、東京・赤坂のTBS放送センターの敷地内で、タレントのビートたけしさんが乗った車に、男が突然、襲いかかりました。男は、持っていた刃渡りおよそ10センチの小刀とつるはしで、車のフロントガラスなどを数回たたきつけ、駆け付けた警察官によって銃刀法違反の疑いで現行犯逮捕されました」

 幸いなことに、ビートたけしさんを含め、けが人はなかったということです。

 それにしても、「異様」な事件です。テレビで刺激的な発言をした直後に、襲われる。この人物が何者なのか。まったくの単独か、思想的背景や組織が背後にあるのか、明らかにしてゆくべきです。ビートたけしさんの時事的批評は鋭く、コメディアンとしてブラックジョークに包みつつ、「毒舌」として語られますが、常識的な知識人・言論人よりよほど的を射ていることがあります。ですからこれは、言論へのテロであると重く見なされなければなりません。

※ビートたけしさんが乗った車 刃物を持った男に襲われる(TBS NEWS、2021年9月5日)
https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4353033.html

 たけしさんは4日、毎週土曜日夜10時からの生放送にレギュラー出演しているTBS「新・情報7daysニュースキャスター」の冒頭で、自民党総裁選について、安住紳一郎キャスターと、以下のようなやりとりをしていました。

安住アナ「次の総裁は誰かということで、自民党の代議士の皆さんの顔ですけども…」

(岸田文雄氏、高市早苗氏、河野太郎氏、石破茂氏、野田聖子氏、下村博文氏)

たけし「安倍さん、麻生さんが裏であれだけやるなら、自分たちがやりゃあいいじゃんなあ」

安住アナ「うーん…」

たけし「なんで、菅総理、かわいそうに、ひでえめにあって、全部押し付けられてんじゃん」

安住アナ「うーん…」

たけし「それでコロナに押し潰されちゃって、どうすんの」

安住アナ「しかし、前回の総裁選ではみんな、おー、よーしってことでね、一致して菅さんに投票したわけですけども、1年経つと、菅さんをかつぐ人がいなくなってる」

たけし「まだトラウマがあって、知事とか市長選挙は野党にみんな投票して、自民に反対してるけど、国政になるとどうだっていう。

 一般の人たちは、国政だと、やっぱり民主党の時代を、あのトラウマが、まだ効いてんじゃねえかって感じるんだけど、どうなのかわかります?」

安住アナ「横浜市長選挙などを受けると、自民党に厳しい風、吹いてるかなあと思うんですが、国政選挙になると…」

たけし「国政になると、一回あの、やっぱりあの、菅直人のあれは、大失敗だったね、野党」

安住アナ「みんな期待したんですよね。そうでしたね」

たけし「あれで、あんな惨状を見ちゃうと、『同じダメなら』って感じがしちゃうんだよ。そこをちょっと考えたほうがいいよね」

安住アナ「なるほど。では、10月11月に行われる衆議院選挙の場合は、たけしさんは、自民党に入れるということですか?」

たけし「いや、共産党です」(キッパリ)

安住アナ「(軽く笑いながら)そうですか。なるほど。

 なかなかね、日本のテレビ番組は、自分がどの政党に投票するかっていうのは、明らかにしないっていう…」

たけし「前田武彦さんみたいに降ろされちゃうからね」

安住アナ「アメリカはね、キャスターとか出演者が、この党に投票するということを明らかにして選挙報道するということで、ま、ちょっとね、日本は日本で放送法があるということで」

たけし「でもタレントが平気で、自分はどの党を支持するかって、言ってもいいようになればいいのにねえ」

安住アナ「そうですねえ。いろいろ放送法とか、これまでの歴史とかある中で、なかなかですけどねえ」

(中略)

たけし「こん中にもう一回、安倍晋三が出てくるっていうのはダメなのかね」

安住アナ「どうでしょうねえ、たしかに自民党は、総理経験者が多いですからねえ」

たけし「麻生さんが押して、『我々がもう一回だけ、コロナ対策やってみせる』って言ってやればいいのに。お腹痛くて辞めたのに、まだやってんだから大丈夫ですよ」

安住アナ「そうですか。お腹だけじゃないとおもいますけど」

 なお、安住アナは5日、午前10時から生放送されたTBSラジオ「安住紳一郎の日曜天国」の番組冒頭で、事件について次のように語っています。

 「ネットニュースなどでご存知の方もいらっしゃると思いますが(中略)ビートたけしさんが、番組終わって、ちょうど帰るところを暴漢に襲われまして、千葉県に住む40代の男が逮捕されたんですが、TBSの敷地内ということなんですけど、たけしさんは地下の駐車場から、当然お弟子さん、運転手さんが車に乗ってるんですが、出て、赤坂通りに合流する交差点のところと聞いてますけれど、三方向一般道と合流するところなので、なかなか敷地内と言ってもね。警備が万全というか、まあ普通の人が見ると一般道の交差点だろうなというところなんですけれども。

 たけしさんの乗る車は、普段、街中で見かけるような車ではなくて、本当に一国の大統領が乗るようなVIP仕様なので、びくともしなかったようですけど、本当にけがなくてよかったと思います。

 警視庁は、男を銃刀法違反の疑いで、現行犯逮捕したということです。

 番組のスタッフも、状況確認のため、赤坂警察署に行って話を聞いたようですけども、たけしさんも少し話をして、すぐ、別の車でお帰りになったというふうに聞いてますが。

 よく、たけしさんはお弟子さんをお取りになるので、弟子入り志願の人がダメ元で、たけしさんの車めがけて声かけてくるっていうのは、私も何回も目にしていて、また、少し熱狂的というか、常軌を逸して興奮しているっていうような、それはなぜ興奮しているかは、いろいろ理由があるようですけど、そういうような人もたまにね、ちょっと声をかけてくるというような、懐の深いたけしさんだからこそということもあったのかもしれませんが、そういうような状況もあったので、もしかすると、そういうところの延長線で何かあったのかなというような想像をしていますが。

(中略)

 まあ、軽々なことは勝手に想像で話すことはできませんけれども、特にね、番組の内容と関係して、ということではないような気がします」

 安住アナの話を聞いていると、番組内でのたけしさんの政治に関する発言と、この「テロ事件」を何としてもからめたくないという思惑がありありと見て取れます。「敷地内で起きたのではなかった」とか、「お弟子さんになりたい熱狂的ファンがいて、そうした延長上で起きたのかなと想像をしている」とか、いくらなんでもわざとらし過ぎます。弟子入りしたいほどのファンが、ツルハシで車の窓ガラスを叩き割り、危害を加えるために用意したのであろう小刀を所持するわけはないだろうと、誰だって納得できかねます。

 岩上安身はこの報道を受け、5日未明、次のようにツイートしていました。

 「『共産党に入れる』と、ギャグか本気か、わからないが、テレビでそう発言した直後のことではないか?これは『テロ』だろ?これが見過ごされるならば日本は法治国家ではない」

※岩上安身のツイート(2021年9月5日)
https://twitter.com/iwakamiyasumi/status/1434255976337588225

 この岩上安身のツイートのあとに、一夜明けてなお、安住アナが、必死になって、とりつくろい、「事件」を矮小化して、フタを閉じようとしている様子を見ると、かえってますます不安になってきます。

 この国では、自民以外の野党、特に共産党に入れると口にしたら、その直後にツルハシと短刀でもって襲われる可能性があり、それをメディアが「言論に対するテロ」であると適切に評価し、テロを非難してくれないかもしれないという恐ろしさです。そうした現実を直視しない、国民にもさせない「空気」をテレビが作り出していることも「恐怖」以外の何ものでもありません。

 まだ、事実関係はわかりませんが、警察には、必ず、実行未遂犯の、政治的・思想的背景にも踏み込んだ捜査をしてもらいたいと思います。

 そしてメディアも、政党も、こうした言論に対するテロは断じて許さないというアピールをすべきではないでしょうか。

■岩上安身からの、ご支援要請のメールに対して、ご寄付者様からメッセージをいただきました! ここに感謝を込めて紹介させていただきます! 岩上安身が直接、感謝をこめて、メッセージにお返事させていただきました!

 8月31日に、岩上安身から会員の皆さま、岩上安身及びIWJと関わりのあるすべての皆さまへ緊急のご支援のメールを送らせていただきましたところ、ご寄付者様から嬉しいメッセージをいただきました。ここに、感謝を込めてご紹介させていただきます。

 メッセージひとつひとつに、岩上安身がご返信を書かせていただきます! ぜひ嬉しい励ましのメッセージ、あるいは、ご質問やご提案などにもお答えしますので、お寄せください! ただし、会員の方で、ご寄付者様からのメッセージのみとさせていただきます!

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 岩上さん、スタッフのみなさん、

 いつもありがとうございます。

 送金しました。呼びかけられてからの行動でごめんなさい。少しでもお役に立てれば何よりです。自分で真実を追えない分、岩上さん、スタッフのみなさんを頼りにしています。どうかよろしくお願いします。

 でも、よい体調、健康あってのお仕事です。お身体の声を大切になさってくださいね。

 わたしは40歳代健康体なのですが、ワクチン2回目の後、発熱して寝ていました。心臓も走ったときのような状態がしばらく続きました。疾患のある方はもっと苦しいのだろうと切なくなりました。

 会員のみなさんへ

 会員のみなさんとお会いしたことはないですが、岩上さん・スタッフのみなさんを通して、また、カンパをしあうことで、常に思いはひとつなんだと感じることができています。

 日本や世界のあちこちで、真実を見抜いていこうという仲間が繋がっていることは貴重なことだと思います。

 いま、大事な時なのでしょう。今を共にしていることに感謝します。これからもよろしくお願いします。

(鈴木美奈子 様)

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 鈴木美奈子様

 ありがとうございます。

 皆様の声をご紹介し、私と私のスタッフだけでなく、それをまた広く、会員や非会員の方々にも共有してもらうことは、同じ思いを共有している人々が他にたくさんいるんだな、と感じることはとても大切なことだと思います。

 自分の狭い身のまわりの世界では、自分と同じような考えや、感受性の持ち主になかなか出くわさない、みんなNHKをまるまる信じてしまっている、どうしたらいいんだろうという話を、よくお聞きします。「孤独」だと自分は感じる、という人の声は、よく寄せられます。

 でも、広く見わたせば、つながりあえる、共感できる人々はたくさんいるわけです。

 かつて、コロナ禍に世界が覆われてしまう前には、アナログな集いの場をつくることが可能でした。それが、トークカフェという、私と全国各地の有志の方々で手作りで作る集いと語らいの場でした。ロックの会も、IWJだけでやっていたわけではありませんでしたが、そういう集いの場となり、自分が「ひとりぼっちじゃない」と体感できる場だったかもしれません。年に一度、大規模に行っていた「饗宴」も、そういう場だったと思います。時に、2次会、3次会まで、飲み明かすこともありました。

 私が心臓発作で倒れて以降、体力的に無茶ができなくなったことに加え、コロナが追い打ちをかけて、人と人とがフェイス・トゥ・フェイスで出会えなくなっているのは、本当にさみしいことです。

 「1人ではない」という体感とか、感覚は、とても大切なものです。長引くコロナ禍にあっても、そうした場をオンライン上であっても作り出していかなくてはいけないな、と思います。

 SNSは、これまではとても出会う機会もなかったような遠い場所に暮らしている人同士が出会える非常に画期的なツールであり、メディアですが、他方で、荒らしやdisりもあり、炎上や個人への誹謗中傷も行われやすく、SNSをプラットホームとして、作り出されたIWJというメディアにいながら、SNSのマイナス面も痛感しています。

 そのマイナス面をなくしながら、コロナによって実現できなくなってしまった、「トークカフェ」や」「ロックの会」や「饗宴」とも、また違った形での、クローズドで、双方向での、集いの場を作りたいと思っています。

 それがオンラインサロンがいいのか、zoomがいいのか、まだわかりませんが、皆様の声も聞かせていただいて、企画したいと思いますので、ぜひ、アイデアやご提案、ご希望など、お聞かせください。

 季節の曲がり角があまりに急で、しかもそのタイミングでモデルナの2回目の接種をしたので、この1週間あまりは体調が悪く、難儀をしました。もう、昨日あたりからは、疲れやすさは残っていますが、体調は平常に戻ってきております。ご心配をおかけし、申し訳ありませんでした。

 鈴木様も皆様も、ワクチンの接種には不安になられていることでしょうし、季節の変化で、体調を崩しやすくなっていることと存じます。どうぞ、お大事に、お体をおいといください。

(岩上安身)

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◆中継番組表◆

**2021.9.6 Mon.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【IWJ・エリアCh1・大阪】「衆院選に関する内容」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_areach1

 衆院選に関する内容を中継します。これまでIWJが報じてきた解散総選挙関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%E8%A7%A3%E6%95%A3%E7%B7%8F%E9%81%B8%E6%8C%99

【同時多発テロから20年。「対テロ戦争」の欺瞞を告発する シリーズ特集 ・IWJ_YouTube Live】20:00~「第1回イラク戦争公聴会 ~元内閣官房副長官補・柳澤協二氏による証言・意見陳述ほか」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

 2016年5月に収録した、「第1回イラク戦争公聴会」を再配信します。これまでIWJが報じてきたイラク戦争関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/iraq-war

[記事URL] https://iwj.co.jp/wj/open/archives/305049

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◆中継番組表2◆

**2021.9.7 Tue.**

【同時多発テロから20年。「対テロ戦争」の欺瞞を告発する シリーズ特集2・IWJ_YouTube Live】20:00~「開戦から10年 今、問う イラク戦争の10年と日本(1)」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

 2013年3月に収録した、「開戦から10年 今、問う イラク戦争の10年と日本(1)」を再配信します。これまでIWJが報じてきたイラク戦争関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/iraq-war

[記事URL] https://iwj.co.jp/wj/open/archives/68771

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

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◆昨日アップした記事はこちらです◆

「自宅療養のコロナ患者は移動手段がなく外来にも行けない!『抗体カクテル療法をぜひ自宅でも』という医師の要望にも、対応は遅々として進んでいない!」~9.3 野党合同国会「コロナ対策ヒアリング」
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/495823

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■<インタビュー報告>「コロナ禍で米中覇権交代が加速か!?「帝国の墓場」アフガニスタンから米軍が撤退! 中国の後ろ盾を得たタリバン新政権に国際社会はどう応じる!?〜9.5岩上安身による放送大学名誉教授・高橋和夫氏インタビュー」を中継しました!

 9月5日、岩上安身による放送大学名誉教授・高橋和夫氏のインタビューをお送りしました。

 20年続いた米国のアフガニスタン戦争ですが、ついに8月31日にアフガニスタンから米軍が撤退しました。その意味について、高橋先生にうかがいました。

岩上「アメリカの9.11の同時多発テロから20年、米軍が撤退した途端にタリバンがあっという間に復活して、カブールに入城。劇的な終わり方でしたが、なぜ20年もかけて米軍はタリバンを排除できなかったんでしょうか。タリバンの勝利は何を意味するのでしょうか?」

高橋「負けた方の要因から見ていくと、アメリカが20年かけて作った政権は非常に腐敗していて、国民に信を得られなかった。もちろん、首都カブールに住んでいるような豊かな人々は、アメリカとともに良い思いをして、アメリカが作った政権を支持していたんですけど。

 ただ、アフガニスタンは農村社会。大半の農村社会では、アメリカの統治下で良い思いをしていないという感覚が強かったと思います。

 パスポートを取るにも賄賂がいる、から始まって、建築許可に賄賂がいる、と。

 逃げたしたガニ大統領は、ドバイに巨額のお金を移しています。ガニの弟はやっぱり巨大なビジネスをやっていて、政府コントラクトをそこに落とす。その前のカルザイ大統領の兄弟は、麻薬取引で有名でした。そもそも、そういう人たちがやっている政府であり、上から下まで腐敗していた、と。

 体制が腐敗し始めると、この体制保たないぞとみんな思うわけですね。逃げ出さないといけない。じゃあ、海外にお金を持っておかないといけないと、坂を転がり落ちるようにますます汚職が激しくなって、というのが一つの問題。政権側の腐敗です。

 もちろん、アメリカ側の腐敗もあって、アメリカが注ぎ込んだ2兆ドルのかなりの部分はアメリカ(の軍にぶらさがる業者のもと)に戻ってきているわけです。

 空軍を持っていれば、街は守れるわけですよね。でも、なぜ最後の段階で、空軍を持っていたアフガニスタンの政府軍が突然崩壊したのか?

 アメリカが作った空軍は、パイロットはアフガニスタン人がやるけれども、飛行機の整備にはアメリカの契約会社が入っていて、ぼろ儲けする仕組みになっていたんですね。

 20年間もいたのに、飛行機の整備は教えていなかったんです。だから、アメリカ人がいなくなったら飛行機が飛ばなくなることは、みんな知っていた。空軍の火はすぐ消えると。こんなバカな軍隊をアメリカは作ってきたんですよね。

 アフガニスタンの政府も腐敗しているし、介入した方のアメリカ側も腐敗していました。

 アメリカ軍を指揮していた、マクリスタル将軍(※)、ペトレイアス将軍(※)、みんなビジネスを始めて大儲けをして。一回の講演料が数百万円という様な。アメリカの軍隊を率いてこれだけの犠牲を出した人たちが大儲けする様な、こういうシステムがいいんだろうかという、そういう腐敗があったと思います」

※マクリスタル将軍:スタンリー・アレン・マクリスタル(元)陸軍大将。アフガニスタン戦争で、国際治安支援部隊(ISAF)司令官およびアフガン駐留軍司令官を務めた。

※ペトレイアス将軍:デイヴィッド・ハウエル・ペトレイアス(元)陸軍大将。アフガニスタン駐留アメリカ軍司令官、アメリカ中央情報局長官などを務めた。

 岩上安身は、そもそも9.11同時多発テロは戦争ではなく事件、にも関わらず、米国は報復するといって、イラク、アフガニスタンという国家に戦争を仕掛けた。このおかしさは、一度総括されるべきだと指摘しました。

岩上「ビン・ラディンを殺した後、これが戦争の目的だと言いました。そして今回、ブリンケン(国務長官)は、今回のアフガン撤退の理由として、『ビンラディン殺害が目的だった。我々はその任務を果たした(We did it!)』と言いました。しかしビン・ラディンは10年も前に殺害しており、とっくに『任務』を果たしていたのです。米国は、ビン・ラディン殺害から10年も道義も正義もない戦争をしてアフガニスタンに居座ってきたんですよ」

高橋氏「アメリカの政策に整合性がないですね。20年を経て今、問題になるのは、911関係の資料が出てくることです。これでもし、サウジの関与が明らかになったとき、アメリカ、サウジはどうするか。

 上院が9.11関連の機密資料の公開を求めていて、バイデンが公開すると言いました。サウジが米国内で活動するテロリストをサポートしていたことや、ブッシュとの親密な関係などが見えてくるか、というのが今後の期待ですね」

岩上「今、サウジアラビアにおけるイスラム原理主義者ワッハーブ(※)が非常に軟化しているというニュースが気になります」

高橋氏「サウジはこれまで石油があって働かなくてもよかったんですけど、これからはそうもいかない、というのでサルマン皇太子(※)が改革に乗り出しているんですね。

 ワッハーブ派を抑えている。

 一つの心配は宗教主義者の揺り戻し。皇太子は近代化しようとしているが、かなり独善的で、(ジャマル・)カショギ氏殺害事件(※)への関与など、懸念もされています」

※サルマン皇太子:ムハンマド・ビン・サルマン皇太子。1985年生まれ。石油資源に依存しない経済・社会を目指した改革、女性の地位向上などの古い慣習にとらわれない改革を進めている。

※ワッハーブ派:復古主義・純化主義的イスラム改革運動を進めるイスラム原理主義の一派。サウジアラビアの国教である。オサマ・ビンラディンも元々ワッハーブ派に属する信徒であったとされる。

※カショギ氏殺害事件:サウジアラビア政府を批判していたサウジ人記者ジャマル・カショギ氏が2018年10月、イスタンブールのサウジ総領事館で殺害された。ムハンマド・ビン・サルマン皇太子の関与が疑われたが、サウジ側は一貫して否定。皇太子の側近らが起訴され、5人に死刑判決が出たが、禁錮20年に減刑。

 米軍の撤退と同時に8月26日に170人以上の命を奪った自爆テロが、カブールの国際空港の入場ゲートで起こりました。「IS-K(イスラム国ホサイン州)」が、犯行声明を出しています。また、29日には、IS-Kのテロが計画されている情報があると言って、タリバンに通報することなく、米軍がドローンで攻撃し、テロとはまったく無関係な一般市民が巻き添えになり、2歳の女の子が亡くなりました。

岩上「米軍の撤退とともに、IS-Kが出てきました。ISはいつも米国にとって便利に動いてきました。米国は撤退後も、ISとの戦いをドローンなどを使って続ける、と言っています。タリバンは『他人の土地で作戦を行うのは正しくない』と批判していますが、これが当たり前じゃないですか。(米軍の報復攻撃で)2歳の女の子が巻き添えになって爆殺されているんですよ。

 ISって、僕は疑っているんですけど。スマホで招集されたなんだかわからない寄せ集め集団が、なぜか莫大な資金を持っていて。米国はISを掃討するという名目で、シリアをぐちゃぐちゃにしました。アフガニスタン撤退時のオペレーションから見える胡散臭さ。米国はめちゃくちゃじゃないですか?」

高橋「米軍はタリバンと戦っている時から、一方で、ISとの戦いはタリバンと共同してやっていたんですよ。タリバンが地上から、米軍が空から攻撃するといった作戦をやっていたんです」

岩上「タリバンと米軍の協力関係は、だいぶ以前から築かれてきたんですね。タリバンが退避する米国人を護衛して空港まで送り届けていたという情報もありました」

高橋「米軍はタリバンと戦っているんだけど、一方で話し合いもしているんです」

岩上「米軍は、ドローンによる攻撃を今後もやると思いますか?」

高橋「やると思います。ただ、陸上の基地がなくなると、かなりオペレーションは難しくなるのではないでしょうか。今回もどこから出撃したか明らかにしていないですよね。

 ISは、タリバンが物足りなくなった連中が動いていると思います。IS-Kは、タリバンもやりすぎだろうというようなひどいテロをやってきました。人数は600人程度ともいうけれども、日本でいう暴力団みたいな組織と組んでいて、情勢が不安定になるのをじっと待っているんですね」

 カブール陥落、米軍の撤退と、「IS-K」による自爆テロ、米軍のドローンを使った報復攻撃と、アフガニスタン情勢は不穏です。

 アフガニスタンは「帝国の墓場」、「文明の十字路」と言われます。会員限定配信の部分では、アフガニスタンがなぜ「帝国の墓場」と言われるのか、アレキサンダー大王の時代から、19世紀から20世紀にかけて3次にわたるアフガニスタン戦争を展開した大英帝国の衰退、アフガニスタンに侵攻して、その後滅びたソ連、そして現代の軍事帝国である米国は、今後どうなるのかという議論にもなりました。

 アフガニスタン史では、ゾロアスター教から仏教へ移行したために、仏像の意匠にもゾロアフター教の影響が残っていること(仏像の背後の火炎など)、アレキサンダー大王の東征と初期仏教の関係、玄奘三蔵はアフガニスタン経由でインドに入ったこと、チンギス汗をも阻んだアフガニスタンの山岳など、大変興味深いお話をしていただきました。

 アフガニスタンの民族分布は国境とほとんど関係がありません。ペルシャ、インド(パキスタンと分裂する以前)、中国、ロシアといった大国に囲まれた中央に位置するアフガニスタンは、大国同士が激突するのをやわらげる、いわば「クッション」緩衝地域として機能してきたと、高橋氏は指摘しました。

 「ザ・グレート・ゲーム」と呼ばれる、19世紀に大英帝国とロシア帝国が争ったときにも、アフガニスタンは両国の間の緩衝地帯として作用し、英国はロシアの南下を嫌って、アフガニスタンの北西部から中国に伸びる回廊のようなワハン地域をアフガニスタンにくっつけたというお話もいただきました。中国とのこの長い回廊は、これから非常に重大な意味を持つことになるでしょう。

 アフガニスタンの諸民族の分布と関係、そしてこれからの中国との関係、パンジシールにいる反タリバン戦力、タジキスタンと東トルキスタン=新疆ウイグル自治区の中国からの分離独立を求める過激派ETIMとタリバンとISの関係、弱まっていく可能性があるイスラエルと米国のそれぞれの国力と両国の関係など、多岐にわたって密度の高いお話をいただきました。

 タリバン政権が安定した社会を構築した方向に向かうのか、それとも、米軍を追い出したことで「調子に乗って」、武力を持って支配領域を拡張していく方向に向かうのでしょうか。

 岩上は「タリバンは女性の人権をある程度認める、国際社会と仲良くしていきたいというメッセージを出すなど、以前とは異なる柔軟な姿勢を見せているようですが」と、問いました。

 高橋氏は五分五分だと言います。

高橋氏「今はひとつの進歩、タリバンも変わってきたということもあるのではないか。タリバンの指導者層の中でもせめぎ合いがあるでしょう。

 国際社会もあまり気の短いことをいってはいけないのではないかな、と思います。アメリカだって、女性の政治家としてオルブライト国務長官が出てくるまで、200年かかったわけでしょう。アフガニスタンの指導者たちは、そう言っています。

 これからアフガニスタンの人権問題をタリバンがどうするか。40年も戦い続けてきて国民は疲れていると思うのか、もうさらなる戦争をしないで社会を安定させて豊かになろうと思うのか。

 それともタリバンはアメリカに勝った、その前のムジャヒディンはソ連に勝った。自分たちには神様がついているから、と思い上がり、イスラム原理主義をテロとともに輸出し、タリバン運動を頑張るのか。

 タリバン政府として頑張るか、タリバン運動に頑張るのか。どういう決断をし、どちらに行くのか今のところ、五分五分だと思いますね。

 比較的穏健なバラダル師(※)が新政府の首班になると言われていますが、まだ出てきていませんね。揉めているのだろうと思います」

※バラダル師:アブドル・ガニ・バラダル師。穏健派とされる。8月15日のカーブル陥落の際には、バラダル師はドーハから勝利宣言のビデオメッセージを発表、8月17日にアフガニスタンに帰国した。8月23日、極秘裏にカーブル入りしたバーンズCIA長官と会談したと報じられており、米国とのパイプがあるため、バラダル師がアフガニスタン大統領に就任することは、新政権の国際的な承認を得るために有利だと見られている。

 アフガニスタンについて、他では聞けない密度の高いお話をいただきました。ぜひ、IWJの会員となって、近日中にIWJサイトにアップされる会員限定部分のインタビューも御覧ください。冒頭オープン部は以下で御覧になることができます。

※冒頭オープン【9/5 20時30分頃~ライブ配信】岩上安身による 放送大学 高橋和夫名誉教授インタビュー
https://www.youtube.com/watch?v=rHbcIZJfYlY

 岩上安身による放送大学名誉教授・高橋和夫氏の直近のインタビューは以下です。この機会にどうぞ御覧ください。

※イスラエル建国時の隠された暴力=ナクバ(大災厄)から73年!ガザ攻撃から見えてきたイスラエル政治の混迷と中東諸国をめぐる国際情勢の大変動!〜岩上安身によるインタビュー 第1042回 ゲスト 放送大学 高橋和夫名誉教授 2021.6.3
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/492760

※レバノン首都ベイルートの大規模爆発で注目される中東情勢!相次ぐ火災や爆発の正体は!? 岩上安身によるインタビュー 第1011回 ゲスト 放送大学名誉教授・高橋和夫氏 2020.9.11
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/480939

※米イスラエルとイランの全面戦争の危機は去ったのか!?〜イランの国民的英雄を爆殺しておいて、反撃を食らうと態度が一変したトランプの謎 ~ 岩上安身によるインタビュー 第978回 ゲスト 放送大学 高橋和夫名誉教授 2020.1.11
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/464955

※戦争する国は弱くなる! 戦争しない国は栄える! 米国が無益な戦争のために金と血を流し続けてきた間に中国が台頭した! 日本は対イラン戦争のために中東有志連合に自衛隊を派遣するのか!? ~岩上安身によるインタビュー 第952回 ゲスト 放送大学 高橋和夫名誉教授 2019.8.2
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/454778

 また、このアフガニスタンの陥落と米軍の撤退は、アフガニスタンという小国で内戦がひとまず終わった、という話で終わることではありません。インタビュー中、「撤退した米軍は、今度は東アジアへシフトするんです」と高橋先生は言われました。

 ヒラリー・クリントンが国務長官だった時代に唱えられた「ピボット・トゥ・アジア(アジア回帰政策)」が実体を伴って、東アジアに米軍がやってくる、ということを意味します。東アジアを中心として繰り広げられる米中戦争は、直接的に私たち日本人の生活や人生や生命や財産を脅かします。

 アフガンの人々に、平和が戻ってくるのだとしたら、それは喜ばしいことに違いありません。

 しかし、次に「戦場」にされ、米国の軍産総合体にとっておいしい「ビジネスとしての戦争」が繰り広げられて、泣かなければならないのは、日本人かもしれないのです。

 真剣にこの問題と格闘していかなくてはいけません。近日中、柳澤協二さん、孫崎享さんに岩上安身がインタビューし、この、日本人にとって死活的な問題を考える機会をお届けしたいと存じます。

■菅総理、総裁選への出馬断念で、安倍・菅政権の「日本を滅ぼす方程式」が見えてきた! IWJの取材に上昌広医師がコメント! 官邸に権力を集中させて官僚人事に手を突っ込み、族議員を干し、メディアを支配したがために、間違ったコロナ対策の修正ができなかった!上昌広医師は「独裁、専制主義でやったことで、菅総理は我が身を滅ぼした」と明言!

 菅義偉総理が3日、自民党総裁選へ立候補しないことを表明した際に、理由としてあげたのは「新型コロナ対策に専念をしたい」ということでした。

 菅総理は「私自身、出馬を予定する中で、このコロナ対策と選挙活動、こうしたことを考えた時に、実際、莫大なエネルギーが必要でありました。そういう中で、やはり両立はできないと。どちらかに選択すべきであると」と述べ、感染拡大防止に専念したいと表明しました。

※ 【IWJ号外1!2021.09.03 18:00】「菅総理が総裁選不出馬を表明! 野党は政権交代を訴え!」 2021.9.3
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/495892

 しかし就任以来1年近く、ここまで国内のコロナ対策で、「GoTo キャンペーン」と東京五輪で感染を広げながら、ワクチンの推進以外、何もしてこなかったに等しい菅総理が、1ヶ月にも満たない残された任期で、コロナ対策に専念して、いったい何を成し遂げようというのでしょうか?

 IWJ記者は3日、医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師に、安倍・菅政権のコロナ対応の何が問題だったのか、お話をうかがいました。

IWJ記者「菅総理が総裁選不出馬を表明し、コロナ対策に専念したいという発言なんですけれども、そのそもこれまでの菅政権のコロナ対策に問題があったのではないでしょうか? 上先生はこの件についてどのようにお感じになっていらっしゃいますか?」

上医師「コロナ対策は、安倍さんからくる官邸強化のウィークポイントなんですよ。

 日本の統治機構は霞ヶ関が原案を作るんですね。この場合は、医学公衆衛生の専門家である医系技監が原案を作るんです。彼らの問題が大きいのですが、従来は専門家がチェックするとして、チェックは議会とメディアなんです。あるいは専門家・学者なんですが、安倍菅政権では『族議員』が完全に干されるんですよ。

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■ワクチン2回接種しても感染する「ブレイクスルー感染」、しかも死に至る例が首都圏高齢者中心に続々報告! ところが政府の分科会は、現実をまったく見ずに、2回接種で「出張や旅行」「大規模イベント」「大人数の会食」を可能とする緩和案提言! 提言公表は、旅行・観光関連業界の目先の票集めのためか!?

 東京都の9月5日日曜日の新型コロナの新規感染者数は、1853人と東京都が発表しました。前週の日曜8月29日の3081人に比べれば約60%になっており、第5波の感染拡大の波は、東京都においてはやや沈静化しつつあるようにも見えます。

※新型コロナウイルスに関連した患者の発生について(第2437報)(東京都福祉保健局、2021年9月5日)
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/hodo/saishin/corona2437.files/2437-2.pdf

 しかし、その一方で気になるのが、新型コロナウイルスワクチンを2回接種完了しても感染する「ブレイクスルー感染」です。しかも感染はしても重症化しないというふれこみだったのに、重症化を飛びこえて、死亡にまで至る事例が、日本でも首都圏の高齢者を中心に続々と報告され始めていることです。

 千葉県内で9月4日に死亡が確認された6人の感染者のうち、市原市の70代男性と90代以上の男性(居住地非公表)が、ワクチン接種を2回完了済みでした。4日付け東京新聞が報じています。

※<新型コロナ>千葉県で新たに1204人が感染 6人死亡、うち2人はワクチン2回接種済み(東京新聞、2021年9月4日)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/128966

 このうち市原市の70代男性については、計9人のクラスター(感染者集団)が発生した千葉市内の医療機関に入院しており、濃厚接触者として検査して陽性が判明。死因は新型コロナ感染症だったと4日付け千葉日報が報じています。

※【速報】千葉市で245人感染発表 ワクチン2回接種済みの70代男性死亡 新型コロナ(千葉日報、2021年9月4日)
https://www.chibanippo.co.jp/news/national/827722

 東京でも、9月3日に確認された10名の死亡者のうち、90代の男性がワクチンを2回接種していたことを、3日付け日テレが報じました。2回接種済みの方の死亡は、都が把握している中では16人に上っているとのことです。

※東京“2回接種”も感染し死亡、16人に(日テレNEWS24、2021年9月3日)
https://www.news24.jp/articles/2021/09/03/07934461.html

 埼玉県では、9月2日に県が発表した80代女性の死者も、ワクチンを2回接種済みだったことを、2日付け東京新聞が報じています。

※<新型コロナ>埼玉県で新たに1115人感染、ワクチン2回接種の80代女性が死亡(東京新聞、2021年9月2日)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/128518

 また、神奈川県横浜市では、90代男性が、8月6日に2回目のワクチン接種を終え、14日に発熱し、27日に死亡しています。8月31日付けの東京新聞が報じています。

※<新型コロナ>神奈川県で新たに1541人感染 ワクチン2回接種の90代男性ら11人死亡(東京新聞、2021年8月31日)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/128040

 一方、関西でも、兵庫県尼崎市で亡くなった80代女性の感染者は、ワクチンを2回接種済みだったことが明らかになっています。8月28日付け神戸新聞が報じました。

※ワクチン2回接種済みの女性が新型コロナ感染で死亡 新たな感染者は134人 尼崎(神戸新聞NEXT、2021年8月28日)
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202108/0014631424.shtml

 IWJは「ブレイクスルー感染」の問題について、これまでいち早く海外での事例やデータを紹介してきました。

 下記の記事では、1月にワクチンの2回目接種を完了した人が、約半年後の6月20日から7月17日に行った調査で、ワクチンの感染予防効果と発症抑制効果が84%下がっていたというイスラエル保健省の発表を報じました。

 ただし、この時点でデータでは、入院と重症化の抑制効果は、それぞれ82%、86%と、依然として高い水準を維持しているとのことでした。しかし、死に至る事例が、日本でこうも目立つようになると、油断はしてられません。

※デルタ株の感染の強さの理由みえてきた!デルタ株感染者の体内のウイルス量はオリジナル株感染者の1260倍! 潜伏期間はオリジナル株の約3分の2! 複製の速度が違う! ワクチンの感染予防と発症抑制効果は約半年で84%無効に! 2021.8.26
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/495472

 また、「ブレイクスルー感染」の原因については、IWJは最新研究のレポートもいち早くお届けしています!

 大阪大学の荒瀬尚教授らが、新型コロナウイルスに感染した際に、「善玉」である中和抗体だけでなく、感染を増強させる「悪玉」感染増強抗体も産出されることを世界で初めて発見したことを、下記の記事でお伝えしました。

 感染増強抗体が中和抗体を弱らせ、ワクチンの効果を薄めてしまう可能性が示唆されているのです。

※世界初の研究報告! 大阪大学の荒瀬尚(あらせ ひさし)教授らの研究グループが、新型コロナに感染すると「悪玉」である感染増強抗体が産生されることを発見! ワクチンで感染増強抗体が産出されると、逆にコロナに感染しやすくなってしまう可能性が!! これでワクチンを接種した人が再び感染するブレイクスルー感染の謎に一定の説明がつく! 2021.8.18
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/495367

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■【同時多発テロから20年。「対テロ戦争」の欺瞞を告発する シリーズ特集】本日午後8時から、2016年収録「第1回イラク戦争公聴会 ~元内閣官房副長官補・柳澤協二氏による証言・意見陳述ほか」をフルオープンで再配信します!

 米国は8月31日、アフガニスタンから米軍の撤退を完了しました。

 当時のブッシュ(子)米大統領は、アフガンのタリバン政権が、2001年の9.11米中枢同時多発テロの首謀者であるウサマ・ビン・ラディンとアルカイダをかくまっているとして侵攻。米国は、2002年のアフガン新政権移行、2011年のパキスタンでのビン・ラディン殺害後も、駐留を続けました。

 一方、ブッシュ大統領は2002年初頭の一般教書演説で、イラン、イラク、北朝鮮が大量破壊兵器を保有するテロ支援国家の「悪の枢軸国」であると発言し、2003年3月に、イラクへ侵攻しました。

 米国は、「イラクが大量破壊兵器を保有している可能性がある」、「サダム・フセイン大統領(当時)とアルカイダが協力関係にある」などの理由で開戦を正当化しましたが、2004年10月に米国の大量破壊兵器調査団は、「イラクに大量破壊兵器は存在しない」との最終報告を議会に提出しています。また、2008年には米国防総省が正式に「フセインとアルカーイダの関係を示す決定的証拠はない」との報告書をまとめています。

 一方、日本は米国のイラク戦争を支持し、2003年に当時の小泉純一郎総理が「イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法」を成立させ、「非戦闘地域での人道復興支援」を名目に、2009年まで自衛隊をイラクに派遣しました。

 2015年の安保法制成立後、市民団体「イラク戦争の検証を求めるネットワーク」と「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」は、「日本政府が(日本が米国の戦争に協力を強いられた前例として)イラク戦争の検証を怠ってきたことが『安保法制』強行という暴挙の伏線になっている」と訴え、2016年に市民、研究者、法律家、超党派議員による委員が検証を行う「イラク戦争公聴会」を行いました。

 本日午後8時から、2016年5月31日に行われた、「第1回 イラク戦争公聴会」を再配信します。

 この公聴会では、2004年から2009年まで、内閣官房副長官補として安全保障・危機管理を担当した柳澤協二氏が、証言と意見陳述を行いました。

 柳澤氏は、当時の自身の立場について、次のように語っています。

 「軍事作戦というのは、それをやらせようとする政治の意思があって、それを幕僚が支えて、そして部隊が活動する。決してイラクのサマワにいた部隊だけの話ではない。

 私自身は、その中の重要な一つのピースだったと思っています。

 私は総理に軍事作戦の事実をどう認識していただくか、どういうリスクがあるかということを正しく認識していただかなければならない。

 部隊の方には、やたら勇ましくあっても困るし、やたら慎重であっても困るし、政治が何を求めているかという、その辺の勘所を伝える、そういう政治と軍事のちょうどつなぎ目だった。

 そういう役割を果たしてきた人間として、しかし実際ひとつの軍事作戦に深く関わってきた人間として、この問題を振り返らなきゃいけないと、ずっと現職のころから思っていた」。

 また、NPO法人情報公開クリアリングハウス理事長の三木由希子氏が「『対テロ戦争には終わりがない』という、従来の戦争の在り方との違いについて、当時の日本政府や内閣の中で、考えていたのか」と質問すると、柳澤氏は次のように答えました。

 「イラク戦争がいつ終わったかはわからない。戦争の目的が大量破壊兵器の武装解除であれば、戦争する前からできていた。戦争をやらなくてもよかった。

 じゃあ、査察に応じないサダム・フセイン体制を倒すということであれば、5月に終わったのかもしれないし、フセインを穴蔵から引っ張り出した12月に終わったのかもしれないけど、誰も無条件降伏していない。その意味では実は終わっていない。

 当時、『もしかしたらちょっと困るかな』と思ったのは、自衛隊を出したのは、戦争が終わって国連がイラク復興を決議したことを根拠にしたから、戦闘ではないという話をしていた。

 だけど、厳密にいうと、戦争はいつ終わったのか。戦う主体が少しずつシフトしながらいまだに続いていると、言えなくもない。

 相手はもう『国または国準』では、すでにないから、『戦争』ではないという話なんだけど、そのへんが非常に混乱していた。

 それは、従来の戦争というのは、国家と国家が、自分の意思を相手に強制するための組織的暴力の使用だったから、どちらかの国家が降伏する、あるいは相手の軍隊を壊滅させた段階ではっきり終わりがあった。

 これは終わらない、新らしい種類の戦争なんだと思います。その意味では、アメリカがサダム・フセインをやっつければ解決すると思っちゃったところが、戦争論としては一番の間違いだったんだろうと思います。

 それが実は、新たな戦争を次々に生み出しているというのが、今日の実態なんだろうと思います。

 で、そういう認識があったか? ぜんぜんなかったと、私は思います」。

 詳しくはぜひ、午後8時からの再配信をご視聴ください。

 公共性に鑑み、フルオープンで再配信します。

 なお、まだ会員登録されていない方は、ぜひ、会員登録をよろしくお願いします。まだ会員に未登録の方は、ぜひ、会員登録をお急ぎください! 会員でも会費が未納になっている方、いらっしゃいませんか? なる早で会費を納付し、ご一報いただければ、なる早で、会員向けサービス再開ができるようにします。

 柳澤協二氏には、近日中に、岩上安身が緊急単独インタビューを行います。その「予習」のためにも、ぜひご視聴ください。

※会員のご登録はこちらからお願いします。
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【同時多発テロから20年。「対テロ戦争」の欺瞞を告発する シリーズ特集 ・IWJ_YouTube Live】20:00~
「第1回イラク戦争公聴会 ~元内閣官房副長官補・柳澤協二氏による証言・意見陳述ほか」
視聴URL(冒頭以降は会員限定): https://iwj.co.jp/wj/open/archives/420867

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※第1回イラク戦争公聴会 ~元内閣官房副長官補・柳澤協二氏による証言・意見陳述ほか 2016.5.31
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/305049

 それでは、本日も1日よろしくお願いします。

※日刊IWJガイドのフルバージョン(会員版)は下記URLより御覧ください。
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IWJ編集部(岩上安身、仲川正紀、渡会裕、城石裕幸、六反田千恵、木原匡康、中村尚貴)

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