「過失も因果関係も明白なのに、なぜ検察は強制捜査をしないのか」 ~強制捜査はまだか!! 告訴受理から1年を迎えて~福島原発告訴団による集会とデモ 2013.8.4

記事公開日:2013.8.4取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・関根/奥松)

 「最近の東京電力のタスクフォースの報告書からは、反省の弁が見え、過失を認めはじめている。実はこの裏には、柏崎刈羽原発再稼働へのしたたかな計算がある」──。河合弘之弁護士は、そのからくりを語った。

 2013年8月4日(日)13時より、福島県いわき市のいわき市文化センターで、福島原発告訴団による集会「強制捜査はまだか!!告訴受理から1年を迎えて」が開かれた。広瀬隆氏は、双葉町、大熊町、浪江町の現地調査で目にしたゴーストタウン化した町の様子、いまだ毎時320マイクロシーベルトに達する高線量放射能汚染の実態などを報告した。河合氏、海渡氏、保田氏ら弁護団は、「戦後最大の国難、被害を起こしておきながら、誰も刑事処罰を受けていない」と、東電と検察を糾弾した。

■全編動画 集会



■全編動画 デモ

  • ゲストスピーチ 広瀬隆氏
  • 弁護団スピーチ 河合弘之氏、保田行雄氏、海渡雄一氏
  • 告訴団スピーチ 福島県民から
  • 講談 神田香織氏、ミニコンサート 李政美氏
  • デモ いわき市文化センター → いわき駅前

 集会は、福島原発告訴団長の武藤類子氏のスピーチで始まった。武藤氏は「告訴した1年前に較べて、原発再稼働や輸出など、脱原発とはまったく逆の方向に進み、原発問題は悪くなる一方だ。しかし、負けずにがんばっていこう」と挨拶した。

 広瀬隆氏が登壇、「ゴーストタウン2013年7月の惨状」というテーマでスピーチをした。「7月に、DAYS JAPAN 編集長の広河隆一氏、元慶応大学教授の藤田祐幸氏と共に、福島の帰還困難区域である双葉町、浪江町、大熊町に入って調査した」と、広瀬氏はゴーストタウン化した町の写真をスクリーンに投影した。

 次に、空間放射線量について「原発から3キロメートル離れた双葉町では、毎時20マイクロシーベルトあった。土壌では1キログラムあたり7万ベクレル(1平方メートルあたり460万ベクレル)だ。これは、チェルノブイリでは、完全封鎖区域にあたる」と驚くべき数値を報告した。

 さらに、「原発から2キロメートル離れた大熊町では、毎時320マイクロシーベルト(2年半で6シーベルトの致死量)もあり、すぐに逃げ出した」と話し、チェルノブイリの染色体異常など、子どもたちの健康被害のデータを示して、汚染地域の子どもたちや原発作業員の健康被害に警鐘を鳴らした。そして、「安倍内閣と日本政府は、この町に住民を帰還させようとしている。正気ではない。国会議員たちを、ここに住まわせるべきだ」と声を荒げた。

 次に、河合弘之弁護士が「戦後最大の国難、被害を起こしておきながら、誰も刑事処罰を受けていない。とても不思議なことだ。もし、われわれが告発しなかったら、今は忘れ去られていたことだろう。これだけ国民に、肉体的、経済的、精神的、人権的な被害を与えておきながら、誰も刑罰を受けていない」と批判した。また、「最近の東京電力のタスクフォースの報告書からは、反省の弁が見え、過失を認めはじめている。実はこの裏には、柏崎刈羽原発再稼働へのしたたかな計算がある」と、そのからくりを語った。

 そして、「東電は、防潮堤などの過失を認めている。それを訴えているにもかかわらず、検察は動かない。理解できない」と言い、不起訴の可能性や違う角度からの裁判の攻め方を説明。「絶対に、強制捜査をやらせる」と決意を表明した。

 告訴団の福島県民メンバーで、相馬郡の旧小高町(現南相馬市)から横浜市へ移住した村田弘氏が登壇し、「この1年半ほど、10回の公判を行なってきた」と、今までの裁判の感想を語った。いわきの初期被曝を追求するママの会代表、千葉由美氏は「原発事故までは、何も意識のない生き方をしてきて、とても反省している。これからは母性を奮い立たせ、戦っていきたい」と話し、母親の立場から脱原発と再稼働中止を訴えた。

 いわき市出身の講談師、神田香織氏が、北海道、青森県大間、大阪、九州天草などを講演で駆け回り、脱原発の立場から感じたことを、ユーモアを混じえて語り聞かせた。神田氏は「あきれはてても、あきらめない」とエールを送り、ある被災者の詩を2篇、紹介した。また、李政美氏は、スピーチを交え、ギター、タンブーラ(インドの弦楽器)、チャンゴ(韓国の打楽器)を奏でながら歌うミニ・コンサートを行なった。

 その後、海渡雄一弁護士がスピーチに立った。「浪江町請戸(うけど)の浜の悲劇を繰り返してはならない。請戸は、原発事故のため強制退避区域となり、震災後の救出作業が中断。助かったかもしれない多くの被災者を見捨ててしまった。スピーディが公開されていれば、早期の捜索で救えた命もあった」と、2013年4月5日に浪江町に入ったときの写真を見せながら、その悲劇を語った。

 そして、「過失も因果関係も明白なのに、なぜ検察は強制捜査をしないのか」と疑問を呈した上で、共同通信による不起訴見込み記事を紹介し、その無責任な内容に憤った。海渡弁護士は「東電の責任を証明することは可能だ」と述べ、すでに紛争解決センターで賠償責任が認められた、請戸の浜の件、須賀川のキャベツ農家事件などを紹介した。

 さらに、「マスコミは、すでに不起訴なったと決めつけてコメントを求めてくる。しかし、マスコミには『不起訴はおかしい』と書いてほしい」と言うと、会場から大きな拍手が起こった。続けて、海渡氏は「不起訴処分に対しては、検察審査会への申し立てができる」と述べ、その仕組みや、過去に経験した検察審査会の様子を話した。そして「絶対にあきらめないで、戦い続けよう」と力強くスピーチを結んだ。

 最後に保田行雄弁護士が登壇し、「検察はまったく強制捜査をしない」と声を荒げ、東電の過失責任を根拠を挙げて糾弾した。自身がかつて経験した薬害エイズ事件を例に、「厚生省、検察などの対応が、今回も類似する」と述べ、東電への強制捜査の必要性について訴えた。

 集会の終了後、参加者は会場からいわき駅へデモ行進をし、「検察の強制捜査を」と訴えた。デモ終了後は、武藤類子氏らが短くインタビューに応じた。

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