「日米同盟をおろそかにする総理は生き残れない」「歴史問題には『ノーコメント』で十分」 CIA協力者として知られるカーティス教授、参院選直前にあからさまな脅し ~FCCJ主催 記者会見 2013.7.1

記事公開日:2013.7.1取材地: テキスト 動画
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(IWJ・野村佳男、佐々木隼也)

※質疑応答の文字起こしを会員ページに掲載しました。

 「安倍総理の歴史認識をめぐる発言は米国との緊張関係につながる」――。知日派のジェラルド・カーティス氏は、安倍総理の歴史問題への対応に苦言を呈した。

 2013年7月1日(月)13時より、東京・有楽町で日本外国特派員協会主催「ジェラルド・カーティス コロンビア大学政治学教授&中野晃一 上智大学教授 記者会見」が行われた。会見はすべて英語で行われた。

 カーティス氏は、日本の選挙・政治の研究者であり、自民党政権時代より、「歴代首相の指南役」などとして知られる人物。同時に、米国で日本の官僚や政治家の留学生を受入れる際の、水先案内人、つなぎ役として世話をしてきたといわれ、小泉進次郎衆議院議員(自民党)をコロンビア大学で教えたのもカーティス氏である。

■ハイライト (会見は全編英語となっております)

 また、CIAの上級オフィサーだったロバート・クロウリーが残した「クロウリー・ファイル」に、船橋洋一氏(元朝日新聞主筆)と共に、CIAの情報提供者(インフォーマント)として名を連ねている。

(*注) クロウリー・ファイル ⇒ http://cryptome.org/cia-2619.htm

 会見では始めに、中野氏により、今月行われる参議院選挙の結果予測が示された。直近の衆議院選挙や東京都議会選挙での投票率が大きく低迷したことから、おそらく参議院選挙でも投票率は同様の傾向を見せるだろうと述べた。自民党への投票率も、それぞれ全有権者の16%、15.4%と低迷しており、議席数における地滑り的勝利にもかかわらず、自民党の支持基盤はそれほど強いわけではないと指摘した。

 今回の参議院選挙では、自民党は改選議席121のうち、72議席以上で単独過半数、53議席以上で公明党との連立過半数を獲得する見込みであると分析。自民党は比例代表(改選48議席)で14から18議席、小選挙区(改選73議席)で57から66議席を獲得するだろうと予測した。

 続いて、カーティス氏により、参院選後の見通しについての分析が行われた。第一に、直近の東京都議会選挙は、2つの点で日本の政治制度の病が明白になった選挙だったと述べた。

 第1点は、事実上野党勢力の崩壊であり、戦後初めて、自民党に対抗できる野党がいないという状況だということである。民主党の人気が下がり、維新の会代表の橋下氏が政治的自殺行為を行ったことを考えれば、自民党の大勝利は驚くことではないが、自民党と公明党の候補者全員が当選するという事態は、競争原理が働いていないということであり、健全な政治制度ではないと述べた。

 第2点は、投票率が前回よりも10ポイント以上下がったということである。そのため、自民党は投票獲得数が減少したにもかかわらず、全員が当選するという結果になった。以上の2点から、都議選での自民党の大勝は、アベノミクスへの熱狂的な期待による自民党への強い支持と、政治が国民の要求に応えていないという国民感情が入り混じった結果であると評価した。

 参議院選挙については、これまでのどの選挙よりも予測が簡単であり、政権を担うような支持を得ている野党は一つもないことから、自民党の大勝利以外にはあり得ないと主張した。自民党と公明党で、非改選議席は併せて59議席であり、過半数獲得には63議席以上必要であるが、公明党の11候補者はおそらくほぼ全員当選するので、自民党は53議席程度獲得すればよく、それは容易に達成できるだろうと解説した。

 一方、憲法改正に必要な3分の2以上の議席を獲得できるかどうかに関しては、自民党の候補者78人、公明党の候補者11人が全員当選したとしても、非改選議席と併せて148議席にしかならず、3分の2である162議席には届かないので不可能であると分析。同じく改憲推進の維新の会はおそらく大敗するだろうから、3分の2の獲得は問題とならないと指摘した。

(*注) 今回の参院選には、公明党は21名(選挙区4名、比例17名)の候補者を選出しており(【2013参院選 党派別立候補者数】 http://senkyo.mainichi.jp/2013san/)、カーティス氏の述べている「11人」というのは、氏の勘違いであると思われる。よって、カーティス氏の選挙予測は、前提条件に誤りがあることを指摘しておく。

 参院選後の見通しについては、第一に連立与党の勝利によってねじれ国会が解消され、安倍総理は気分を良くするだろうが、彼が望んでいる改憲や戦後レジームの脱却はすぐにはできないだろうと語った。

 改憲に対しては、議員や国民の過半数が賛同するだろうが、実際に何を改正するのかについてはコンセンサスがないと指摘。96条の改正という最初のステップでさえ、それによって何を改正したいのかが明確にならなければ、国民的合意は得られないだろうと述べた。加えて、参議院で3分の2の過半数を獲得していないことから、次の参議院選挙までの3年間は改憲の発動も不可能だろうと解説した。それでも改憲に邁進し、経済政策から目を離すようなことがあれば、アベノミクスへの熱狂は蒸発するだろうと述べた。

 一方、集団的自衛権に関しては、安倍総理はこの秋にも、権利行使を可能にするような憲法9条の再解釈を発表するかもしれないと述べた。そうなれば、日米安保条約も改訂すべきだという反応が出てくるかもしれないと予測した。

 最後に経済政策に関して、自民党議員や浜田宏一氏のようなリフレ派経済学者の中には、景気回復の腰を折り、党への支持を失うことになりかねない増税を延期すべきという声が強い一方、増税しなければ市場は財務規律を放棄したと見るだろうと指摘。10兆円の補正予算やインフレターゲットによる名目成長率の増加を受けて、安倍総理は間違いなく消費税を上げるだろうと予測した。

 最も重要なのは、安倍総理がいわゆる「第三の矢」で実際にどのような政策を打ち出すかという点であると強調した。諮問委員会やスタディーグループを作ることに大胆であることと、実際に大胆な政策を打ち出すことは違うことであり、9月10月に実際に政策が出せなければ、アベノミクスへの批判が高まるだろうと予測。今こそ政治的に痛みを伴う政策を進める時だと主張した。

 講演終了後、質疑応答が行われたが、その内容を以下に掲載する。なお、当日の講演および質疑応答はすべて英語で行われたが、主催側の意向により、同時通訳音声の収録ができないため、IWJによって日本語に意訳したものを掲載する。当日の同時通訳の内容と必ずしも一致しないことを、あらかじめご了承願いたい。

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