10月10日、第48回衆議院選挙が公示されすでに終盤戦へとさしかかっている。この間の政局は混沌を極めた。9月28日の臨時国会での冒頭解散の直後、小池百合子代表率いる「希望の党」による突然の結党宣言から、政局は混沌を極めた。さらには前原誠司代表自らのイニシアチブで、衆院選立候補者を離党させ、希望の党から公認を受けるという、不可解きわまる「解体・合流」騒動が起こった。しかも、「全員が移れる」からと、前原代表は両院議員総会で交渉を一任してくれと言ったのに、小池氏ら希望の幹部は「選別」「排除」を口にし、実際に「踏み絵」を踏まされ、“リベラル派”は切り落とされた。
納得がいかない民進前職らは、新党を立ち上げろ、立て枝野という声を受けて、新党立ち上げに立った枝野幸男氏のもとに参集し、新党「立憲民主党」が結成された。希望の党に一度は合流を決めた旧民進党議員の中からは離脱者が相次ぎ、無所属で立候補するものや枝野新党に合流するもの、さらには選挙の最終週に希望の党の公約に造反する候補者が出るなど「解体・合流」騒動は今もおさまる気配がない。
気になるのは「合流」について旧民進党議員一人ひとりがどんな思いを抱いているかだ。公認候補と取り交わしたという希望の党「政策協定書」では、「現行の安全保障法制については適切に運用する」とある。これまで党是として反対してきた安保法制に、賛成などできるのか。さらには憲法のどの条文をどう改正するのかが示されてないままに、「憲法改正を支持する」よう誓約までさせられているが、いったい、どんな思いでこの協定書にサインしたのだろうか。
IWJは民進党に所属していた前衆議院議員86人にアンケートを送付。締め切りとした衆院選の公示前に届いた回答15件をここに掲載する。
回答を寄せたのは、希望の党への「合流」を批判的に見つめ、公認申請を拒否し、無所属や立憲民主党からの出馬を決めた候補者がほとんどだ。しかし、中には希望の党に移籍した理由として、「穏健な保守中道の政治勢力へと導いていくことができる」と回答した馬淵澄夫氏のような大臣経験のある大物議員もいた。
以下が、アンケートの質問である。
(1)9月28日の両院議員総会において「満場一致」で希望の党への合流と事実上の民進党解党が決まりました。民進・前原代表は希望の党との合流協議について「対等だ」と述べ、「希望者は全員希望の党から立候補させる」旨の説明をされていましたが、希望・小池百合子代表は、リベラル議員を「排除する」「全員を受け入れるということはさらさらない」と明言しています。
以下、(2)の「踏み絵」を踏ませ、踏まない者は「排除」するとのことです。これは民進党の政治理念、政策を放棄し、「転向」せよと迫るに等しいものです。
① 小池百合子知事の「リベラル排除」の決定に賛同し、希望の党から公認を受けて出馬されますか?
② 小池百合子知事の「リベラル排除」の決定に反対し、出馬を見送りますか?
(2)小池百合子氏は、希望者からの立候補希望者に対し、「安保法制を基本的に容認」し、「憲法改正を支持すること」を誓わせる「政策協定書」の提出を求める「踏み絵」を迫っています。民進党が党をあげて「違憲だ」と批判してきた安保法制に賛成し、どの条文を変えるか明記もされていない憲法改正に対して、
① 賛成
② 反対
③ その他、ご見解をお聞かせください
(3)希望の党は民進党の資金力をあてにしているとも見られています。先述の「政策協定書」には、「本選挙に当たり、党の指示する金額を党に提供すること」とありますが、その金額は明記されていません。額も不明な「政策協定書」にサインできるのか、すべきなのか。ご感想をお聞かせください。
① すべき
② してはいけない
その他、ご感想をお示しください.
(4)民進党離党の前衆議院議員に対し、公認申請料と寄付金、計500万円の持参金を要求しているほか、選挙にあたり、「小池氏とツーショットの撮影には3万円が必要」とされていますが、こうした金額設定には納得されているのでしょうか? 代表との撮影に金銭の支払いが必要というのは極めて異例で、「選挙に当選したいがために小池氏の人気にあやかりたい」との批判は免れませんが、反論があればお願いします。
ご見解をお示しください.
(5)自民党も希望の党も憲法改正に前向きですが、自民党がかねてより導入を目指す、自民党改憲草案にある「緊急事態条項」は、憲法秩序を停止し、総理大臣や内閣にあらゆる権限を集中させる「独裁条項」となっています。期間の限定も解除の規定もなく、まさに麻生副総理が口にした「ナチス」の手口そのものの永久独裁条項です。自民党改憲草案にある「緊急事態条項」に対する賛否を表明のうえで、ご自身の見解をお聞かせください。
① 賛成する
② 反対する
その理由
(6)元民進党の枝野幸男氏が「立憲民主党」の立ち上げを発表しましたが、こちらに合流するお考えはありますか?
①希望の党に申請する
②立憲民主党から出馬を目指す
③無所属での出馬を模索する
荒井 聰(あらい さとし)衆議院 北海道3区 比例北海道 7期
▲荒井 聰(あらい さとし)衆議院 北海道3区 比例北海道 7期
(1)10/5付で民進党に離党届けを提出。立憲民主党公認候補として出馬予定
(2)選別排除の論理や改憲の踏み絵を踏ませるといった品位や礼節に欠く言動に強く憤りを感じ、希望の党への公認申請は致しませんでした
(3)非常識の一言に尽きる
(5)質問の趣旨に全く同見解。独裁条項の創設を断固阻止。
(6)公認予定、立憲民主党北海道代表代行に就任
佐々木 隆博(ささき たかひろ)衆議院 北海道6区 3期
▲佐々木 隆博(ささき たかひろ)衆議院 北海道6区 3期
(1)反対する。 立憲民主党より公認を得て、出馬
(2)反対
(3)私は立憲民主党より出馬予定であり、他党の政策協定について応える立場にない。しかし、一般的に考えて、協定の中身が不明であるにも関わらずサインをするという行為についてはいかがなものか、という一般常識な問題だ。
(4)異例な事だと考える。 しかし私は前項でお答えした通り、立憲民主党から出馬予定であり、他党の諸経費について応える立場にないので回答は差し控える。
(5)反対 首相が緊急事態を宣言すれば、内閣の判断で法律と同じ効力を持つ緊急政令を制定できることや、基本的人権の制限、地方自治の制限、集会・結社・言論・報道の自由が制限されるなど国民主権もない。権力者が何でも自由にできる。 国民すべてが公権力に従わなくなるなど、問題が多く反対である。
(6)立憲民主党から出馬を目出す。
逢坂 誠二( おおさか せいじ)衆議院 北海道8区 3期
▲逢坂 誠二( おおさか せいじ)衆議院 北海道8区 3期
(1)無所属で出馬する
(2)反対
(3)無所属出馬のため無関係
(4)無所属出馬のため無関係
(5)現行憲法下での法整備対応可能
(6)立憲民主党に入党するが公認は受けず、無所属で出馬する
福田 昭夫(ふくだ あきお)衆議院 栃木2区 4期
福田 昭夫(ふくだ あきお)衆議院 栃木2区 4期
(1)当然、公認申請しません
(2)反対
(3)協定書ではなく、希望の党 第48回総選挙 公認申請手続きについての中に金額は明記されています
(4)無所属で出馬しますのので、全く関係ありません。何をか言わんやです。
(5)集団的自衛権の行使を容認し、安保法制をつくり、既にいつでも戦争できる国となっています。緊急事態条項をいれたら、すぐに戦争が始まってしまうから
(6)無所属で出馬します。
小宮山 泰子(こみやま やすこ)衆議院 埼玉7区 比例北関東 5期
▲小宮山 泰子 (こみやま やすこ)衆議院 埼玉7区 比例北関東 5期
(1)代表に公認申請は一任した
(2)憲法改正の議論をすることは賛成
(3)双方の信頼関係において行われるべきもの
(5)反対する
(6)希望の党の公認になりました。
篠原 豪(しのはら ごう)衆議院 神奈川1区 比例南関東 1期
▲篠原 豪(しのはら ごう)衆議院 神奈川1区 比例南関東 1期
(1)立憲民主党から出馬します。 ブレず、筋を通して正々堂々とたたかう。
(3)行かないので、他党のことは控えます
(4)行かないので、他党のことは控えます。
(5)反対する
(6)公認済みです
初鹿 明博(はつしか あきひろ)衆議院 東京16区 比例東京 2期
▲初鹿 明博(はつしか あきひろ)衆議院 東京16区 比例東京 2期
(1)小池百合子知事の「リベラル排除」の決定に反対し、出馬を見送る
(2)2(反対)
(3)2(してはいけない)
(4)その通りだと思います。
(5)憲法は、国民が権力者が暴走しないように、国民が権力者を縛るためにある。緊急事態条項は権力者の暴走を招きかねないから絶対に反対です。
(6)3(無所属での出馬を模索する)
西村 智奈美(にしむら ちなみ)衆議院 新潟1区 比例北陸信越 4期
▲西村 智奈美(にしむら ちなみ)衆議院 新潟1区 比例北陸信越 4期
(1)2(反対)
(2)2(反対)
(3)2(反対)
(4)反論に値しない
(5)2(反対する)
(6)無所属での出馬を模索する。
篠原 孝(しのはら たかし) 衆議院 長野1区 5期
▲篠原 孝(しのはら たかし)衆議院 長野1区 5期
(1)無所属で出馬
(2)1 誤解のないように。
憲法でどんなことがあっても絶対に 自衛隊を海外に派遣しないように明記すべく改正する。 従ってPKOもダメ。災害救助のみ。 その代わり、こんな大きな軍を軍と認めない現行の規定は修正し、自衛のため我が国の周辺のみで自衛活動をする自衛隊を軍として認める。
(3)お金を出すetcの文章が政策なのか。署名もせず、提出もしていない。小選挙区当選の見込みがなく、比例復活しか望めない候補者の足元をみてこうした下劣な要求をしてくることは許し難い。 私の許容限度を超えている。
(4)そのとおり、なぜマスコミはこんな酷いやり方がおかしいと批判しないのか、 上記の弱い立場の候補の味方をなぜしてくれないのか
(5)緊急事態条項が必要といいつつも、「国家存立の危機」に それを煽って解散・総選挙するのは大きな矛盾
(6)3 私は既に無所属出馬を明言している。 このドサクサで新しい党に移るのは、有権者を混乱させるだけなので無所属のまま出馬する。
赤松 広隆(あかまつ ひろたか)衆議院 愛知5区 9期
▲赤松 広隆(あかまつ ひろたか)衆議院 愛知5区 9期
(1)立憲民主党で出馬
(2)2(反対)
(3)2(してはいけない)
(5)2(反対する)
(6)2 出馬する
重徳 和彦(しげとく かずひこ)衆議院 愛知12区 2期
▲重徳 和彦(しげとく かずひこ)衆議院 愛知12区 2期
(1)無党派層を含む、全ての「非自民、反共産」層の支持を得て、前回以上の得票を目指す、もちろん出馬します。
(2)憲法改正に賛成、地方自治、環境権、情報公開等、改正すべき点があると思う。国会での議論はもっと必要。
(5)民主的な手続きを無視している。
(6)ありません
馬淵 澄夫(まぶち すみお)衆議院 奈良1区 5期
▲馬淵 澄夫(まぶち すみお)衆議院 奈良1区 5期
(1)希望の等の公認をうけた
(2)民進党の仲間が合流し、穏健な保守中道の政治勢力へと導いていくことが出来ると思っている
(3)政策協定書にサイン済み
(5)その意義や必要性、乱用の恐れなどを慎重に議論すべき。
(6)希望の党から公認を受けた
小川 淳也 (おがわ じゅんや)衆議院 香川1区 比例四国 4期
▲小川 淳也 (おがわ じゅんや)衆議院 香川1区 比例四国 4期
(1)1(希望の党から公認を受けて出馬)
(2)特に国会の在り方や地方自治などについて、憲法を議論することは良いと思います。9条の改悪には明確に反対です。
(3)党の決定に従う
(4)党の決定に従う
(5)現在の憲法の規定で十分に対応出来る
(6)いずれ再合流をめざす