「キツいなら『助けて』と言って欲しい。我々はいくらでも助ける」!!「路上で排外主義に対峙してきた流れを信用して欲しい」!! 民進党蓮舫代表の国籍問題会見直前に弁護士・学者らが声明!! 2017.7.18

記事公開日:2017.7.18取材地: テキスト動画
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(取材・文:城石裕幸 記事構成:岩上安身)

 「戸籍開示を迫られ、その記載内容によって何らかの判断を下されるというのは、まさに憲法14条違反。人権をめぐる歴史の時計の針を100年、巻き戻そうとする愚挙でしかない」、「法的に自明である『日本人であること』の証明を求める声が出るのは、憂うべき事態と言わざるをえない」――。

 民進党蓮舫代表が「自身がすでに台湾国籍を有していないことがわかる、戸籍の一部を含めた関連の資料」を開示した2017年7月18日、蓮舫氏の会見に先立ち、学者と弁護士グループが民進党に対し、憲法や人権上の観点から、戸籍関連の公表を控えるよう申し入れを行うとともに、参議院議員会館で記者会見を行なった。

 民進党に申し入れを行ったのは、佐藤学氏(学習院大学教授)、西谷修氏(立教大学教授)、山口二郎氏(法政大学教授)、中野晃一氏(上智大学教授)、香山リカ氏(立教大学教授)、伊藤和子氏(NGOヒューマンライツ・ナウ)、神原元氏(神奈川弁護士会)、原田學植氏(第一東京弁護士会)、小田川綾音氏(第一東京弁護士会、全国難民弁護団連絡会議)、金竜介氏(東京弁護士会、在日コリアン弁護士協会)の、学者5名と弁護士5名。

▲記者会見にのぞむ学者、弁護士ら

■ハイライト

  • 出席者 西谷修氏(立教大学特任教授)、金竜介氏(在日コリアン弁護士協会理事)、神原元氏(神奈川弁護士会)、香山リカ氏(立教大学教授)、山口二郎氏(法政大学教授)、小田川綾音氏(弁護士)
  • 日時 2017年7月18日(火)10:30〜
  • 場所 参議院議員会館(東京都千代田区)

個人情報の開示を求めること自体、出自による差別を禁じている憲法第14条及び人種差別撤廃条約の趣旨に反する行為!!

 2017年7月2日投開票の東京都議選での民進党の大敗を受けて、「党内から蓮舫代表の『二重国籍問題』が投票結果に影響しているのではないかと指摘され、蓮舫氏が戸籍を公開すると発言した」という報道が流れたのが7月11日。

 2日後の7月13日には代表定例会見で蓮舫氏自身の口から「戸籍謄本そのものではない。自身がすでに台湾籍を有していないことがわかる部分を(7月18日に)示す」と発表された。

 この間、戸籍公開を迫ったのは、極右メディアやレイシストばかりではない。身内であるはずの民進党議員からも公開を求める声が上がった。結果的にそうした声を受け入れた形となった蓮舫氏や、民進党執行部を非難する声が次々に湧き上がった。被差別部落、アイヌ差別、在日外国人などの差別問題との戦いを通して戸籍などの個人情報が守られるようになった歴史の流れに逆行し、悪しき前例となってしまうからだ。

 蓮舫代表に個人情報の開示を求めること自体、出自による差別を禁じている憲法第14条及び人種差別撤廃条約の趣旨に反する行為である。

本当に二重国籍なのか!?中華人民共和国と台湾、どちらの国籍法を適用するのか日本政府、法務省が見解を明らかにすべき!!

 そもそも、蓮舫氏の「二重国籍疑惑」なるものには、なんら違法性も問題もない。IWJでは2016年9月の民進党代表選で極右言論サイト「アゴラ」が「疑惑」を指摘し、産経新聞などが追随して排外主義者らを煽り立てて以来、一貫してそのことを指摘・批判してきた。

 会見でも冒頭、弁護士の小田川綾音氏は次のように語った。

 「そもそも、本当に『二重国籍』なのか。台湾は政府が承認していない国家。台湾の国籍があるかどうかは台湾の国籍法を適用するかどうかです。日中国交正常化によって日本は中華人民共和国を唯一の中国政府だと言っている。だとすると、中華人民共和国の国籍法を適用すれば、蓮舫氏が日本国籍を取得した時点で自動的に中国籍がなくなる。そうであれば二重国籍の問題はない。

 日本政府は中華人民共和国か台湾どちらの国籍法を適用するのかを明確にすべきだ。仮に台湾の国籍法を適用するなら二重国籍ということになるのだろうが、少なくともこれまでの行政実務では台湾の国籍法を適用するという運用はされてこなかったはずだ。

 二重国籍かどうかは、蓮舫氏個人ではなく、日本政府、法務省がどういう見解を持っているのかということが説明されなければならない問題だ」

▲弁護士・小田川綾音氏

「我々在日コリアンは『蓮舫頑張れ』と思っている。『あなたはできる(差別と戦える)立場にいるじゃないか』と」

 そもそもこの問題の最大の被害者は蓮舫氏自身のはずだ。

 民進党への批判より、卑劣な差別主義者らによる、蓮舫氏に対するいわれなきバッシングをまっさきに糾弾するべきではないのか。IWJ記者はその点についてたずねた。

 会見に臨んだ香山リカ氏や神原元氏は、ヘイトデモのたびに常に路上で、先頭に立ってレイシストに対峙してきた人物である。

(…会員ページにつづく)

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