1月2日のTOKYO MX「ニュース女子」が、虚偽の情報やヘイト発言を報じてから一ヶ月経った。この間、IWJは、同番組内で流された悪質な虚偽報道を検証し続けてきた。
非難されるべきは、番組を制作したDHCシアター、スポンサーとなったDHC、放映したTOKYO MX、武器輸入商社双日エアロスペースの社員でありながら、「ジャーナリスト」を自称して、事実とはいえない情報をレポートした井上和彦氏だけではない。報道情報番組におけるMC(司会)の責任は重大である。
(取材協力:ぎぎまき 文:岩上安身)
特集 ニュース女子
1月2日のTOKYO MX「ニュース女子」が、虚偽の情報やヘイト発言を報じてから一ヶ月経った。この間、IWJは、同番組内で流された悪質な虚偽報道を検証し続けてきた。
非難されるべきは、番組を制作したDHCシアター、スポンサーとなったDHC、放映したTOKYO MX、武器輸入商社双日エアロスペースの社員でありながら、「ジャーナリスト」を自称して、事実とはいえない情報をレポートした井上和彦氏だけではない。報道情報番組におけるMC(司会)の責任は重大である。
同番組の司会を務めたのは、東京・中日新聞論説副主幹の肩書をもつ長谷川幸洋氏。長谷川氏はなぜ、虚偽の情報を流し、ヘイト感情を煽る番組の司会をつとめたのか。わきあがる批判に対して、なぜジャーナリストとして事実に基づいた説明や対応をしないのか。
また、東京・中日両新聞に対しても疑問が残る。この「ニュース女子」のあまりにもひどい番組内容を批判する記事を掲載しながら、自社の論説副主幹が、その肩書きのまま番組の司会を務めることには全く触れていない。同社内で長谷川氏に対して何らかの注意や処分が行われたという発表もない。
他社(TOKYO MX)については批判するが、自社の人間がかかわる部分はスルーするというのは、報道機関として不公平であり、フェアであるとは到底いえない。また、東京・中日新聞両社は長谷川氏が番組に関わっていた時点で、当事者なのだから、過ちがあれば速やかに訂正や謝罪を発表し、長谷川氏への処分を行なうべきではなかったか。
ところがいつまでたっても等閑視を続けているので、一体東京・中日新聞はどう考えているのかと、1月17日、東京新聞の「問い合わせ窓口」と「こちら特報部」宛に長谷川氏を論説副主幹に据えている責任を問いただす内容のファックスを送ったが、返事がない。
そこで、1月30日、今度は同社の論説室を通して、長谷川氏個人に「質問状」を送付したが、回答は長谷川氏からも東京・中日新聞からも返ってこない。長谷川氏には、2月2日までに回答がない場合、「公開質問状」に切り替える旨を伝えておいた。
すると2日付けの朝刊で、東京新聞が社の見解を発表した。
一面に、「『ニュース女子』問題 深く反省」という見出しで書かれた謝罪記事は深田実氏という論説主幹の名で出され、1月2日放送分の「ニュース女子」の内容は、これまでの東京新聞の報道姿勢や主張とは異なると明言している。また、事実に基づかない論評は到底同意できないと批判した上で、長谷川副主幹が出演していた事実については「重く受け止め、対処します」と述べた。
中面では「読者部長」も登場し、番組司会を長谷川氏が務めていたことに対し、読者部に電話やファックス、メールや手紙が250件を超えていたことを明かした。そして、新聞は事実に基づいて、本当のことを伝えるのが使命だとし、今後も、沖縄で何が起きているのか、本当のことを伝える努力を続けていく、と締めくくっている。東京新聞は2日の紙面から、「『沖縄ヘイト』言説を問う」という識者によるインタビュー連載をスタートするなど、長谷川副主幹が招いた世間からの批判に、番組放送から1ヶ月経ってからやっと対応する姿勢をのぞかせた。
しかし、長谷川幸洋氏本人はいったいどこへ消えたのだろうか。これだけ社会問題化してもなお、沈黙を続けている。東京新聞の謝罪表明を隠れ蓑に、長谷川自身の説明責任が見過ごされていいのか。そんなはずはない。IWJは、論説室に直接連絡を取ったが、長谷川氏は「不在」とのこと。かわって長谷川氏の上司にもあたり、今回の謝罪記事を執筆した深田実論説主幹本人に直接、話を聞いた。
まずは、長谷川氏が、IWJの質問上に全く回答しないままでいる点について質問した。長谷川氏がIWJの質問状に回答を寄せるかどうかは、長谷川氏本人に任せるしかないのか。深田氏にそう問うと「まぁ、そうですね」と、煮え切らない回答が返ってきた。論説主幹である深田氏は、副主幹である長谷川氏の上司であろう。監督責任のある立場にいるのではないだろうか。
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