国会で論戦続く共謀罪、「テロ対策法整備なら『テロ等準備罪』の『等』を取れ」——元衆議院議員・保坂展人世田谷区長が民進党法務部門会議で共謀罪を批判 2017.2.2

記事公開日:2017.2.2取材地: テキスト動画
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(取材・文:城石裕幸)

特集 共謀罪(テロ等準備罪)法案シリーズ
※2月13日、テキストを追加しました。

 今国会で最大の争点となっている「共謀罪」(テロ等準備罪)。連日、予算委員会を中心に与野党で激しい論戦が繰り広げられる中、2017年2月2日(木)、参議院議員会館で民進党・法務部門会議の勉強会が行なわれた。

 この日の会議では、民進党の有田芳生参議院議員、山尾志桜里衆議院議員らが、保坂展人(ほさか のぶと)世田谷区長からヒアリングを行った。保坂氏は共謀罪が国会に提出された2005年から2006年にかけ、社民党所属の衆議院議員として国会で反対の急先鋒に立った経験を持つ。

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▲保坂展人・世田谷区長

■ハイライト

「どんな法案なのか分からずに議論」——保坂氏が政府側の混乱した答弁を痛烈に批判

 安倍総理は、1月25日に衆院本会議で行われた代表質問で、同法案は「テロ等準備罪」であり「共謀罪と呼ぶのはまったくの誤りだ」と断言した。

 また、金田勝年法務大臣も1月26日の衆議院予算委員会で、山尾志桜里議員の質問に対し、「テロ等準備罪というのは、共謀したことで処罰されることとされておりました従前の共謀罪とは全くの別物だ」と答弁している。

 その一方、岸田文雄外務大臣は2月3日の衆議院予算委員会で「TOC条約(国際組織犯罪防止条約)第5条に、重大な犯罪の合意罪、そしていわゆる参加罪、このどちらかを犯罪とすることを条約上明確に義務付けられている」と答弁。「共謀罪」を「重大な犯罪の合意罪」と言い換えながらも、政府がこれまで主張し続けてきた条約批准のための「共謀罪」に他ならないことを認めている。

 以上のように政府側の答弁が混乱していることをふまえ、保坂氏は「ここまで連日ニュースになり、報道解説などもされ、新聞等で伝えられながら、どんな法案なのか、何が提案されるかわからないで議論している」と語り、国会論議を通しても法案骨子すら示すことができない政府を強く批判した。

 さらに保坂氏は「共謀罪」を「劇薬」にたとえ、「逮捕・勾留どころか長期に渡って服役しなければいけないような、刑事法制の根幹を変える原則変更。それを強行採決で決めさせていいのか」と強い懸念を示した。

▲民進党・山尾志桜里衆議院議員

▲民進党・山尾志桜里衆議院議員

保坂氏「『おまかせください』と言うほどのどかな法案ではない」、今後の国会論戦の行方は?

 一連の報告を受けた後、有田芳生参議院議員は「安倍総理が『テロを防ぐための法案だ』と言い続けた結果、世論調査では『必要だ』という意見が多くなってしまった。これに対して、『中身は全く以前と変わらない共謀罪だ』と言って戦ったほうが良いのか」と保坂氏に意見を求めた。

 それに対して保坂氏は次のように述べ、今後の国会論戦の方向性を示唆した。

 「『テロ等準備罪』から『等』を取れ、と言ったらどうか。『テロ対策について現行法では穴があり、どうしてもオリンピックが開けないんだ』と言っているのなら、その必要性がどこまであるのかは疑問だが、テロが発生しないように法制度を整えればいい。

 しかし、『等』の中に何が含まれるのかの説明も資料も出さず、体系も示さず、『おまかせください』と言うほどのどかな法案ではない、という議論をしていくべきだ」

▲民進党・有田芳生参議院議員

▲民進党・有田芳生参議院議員

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