大手広告代理店は第五権力─「電通と原発報道」著者 本間龍氏 記者会見 2012.10.16

記事公開日:2012.10.16取材地: テキスト動画
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(IWJ・原佑介)

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 2012年10月16日(火)、東京都千代田区の日本外国特派員協会で、「電通と原発報道」の著者である本間龍氏の記者会見が行われた。博報堂で営業職を勤めていた本間氏は、独自の視点で原発事故を見る。電通、博報堂などの大手広告代理店が、無自覚なまま原発を推進し、反対派に圧力をかけていたことが、今回の福島第一原発に深く関わっていると指摘し、電通・博報堂らを「第五権力」と称し、その実態を告発した。

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■ハイライト

■全編動画

  • 日時 2012年10月16日(火)
  • 場所 日本外国特派員協会(東京都千代田区)

 本間氏は、広告代理店・博報堂で18年間営業職を勤めながらも、原子力資料情報室の会員として、反原発を訴えてきたという異色の人物。冒頭のスピーチでは、「福島第一原発事故には、身が震えるような思いだった」と語る。「日本のマスコミは、事故の深刻さをほぼ伝えなかった。電力会社の広告収入による影響が大きいが、そこには、広告会社が深く関わっている」とし、広告代理店内部にいた人間独自の視点で、事故について語り始めた。「様々な事故調が事故検証を行なってきたが、メディアの責任について言及されたことはない。まず、メディアに絶大な力を持つ電通、博報堂については語られること自体が少ないが、安全神話は間違いなく広告代理店の仕事である」と主張。曰く、「日本のニュースは、出稿料によって左右されるとも言える。原発関連広告を受注した電通、博報堂は、広告製作だけでなく、危機管理も請け負う。クライアントに不利益となる報道に常に目を光らせ、何か事故が起きたら、そのニュースの扱い方について、メディアに注文をする。メディアは、出稿料の大小により、手加減を加えるか考える。これは、東電などの電力会社だけでなく、大手クライアントに対してはよく見られること。TOYOTAのリコール問題など、ネガティヴ情報を大々的に報じると、その広告を失う恐れがある」。

 日本の広告の7割を電通、博報堂が構成している。この内、電通が5割を占め、この実態がメディアの過剰な規制を生んでいるという。しかし、電通自身に、原発を推進する意思があったかと言えば、話はそう単純ではない。本間氏は、「電通は、何がなんでも原発を推進しようとしていたわけではない」という。「電・博(電通・博報堂)ともに、原発に入れる力は大きくはない。クライアントの言われる通りに、原発担当の部署が広告を作っていただけ。おそらく両社社員で原発事故に責任を感じている人はいない。(結果的に推進してきたのは)日本人特有の無責任さであり、『クライアントを失いたくない』という感情が優先されたため。(広告代理店は)原発について、金の損得だけで考えている。電・博は、第五の権力といえる。電力会社、政府からの広告費欲しさに、電・博は推進側に立ち、自覚もないままメディアを圧迫し、結果、事故が起きた」との見方を示した。

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 最後に、「民意の多くは脱原発に傾いたが、広告代理店は反省せず、原子力ムラは今も温存されたまま。私も無自覚に推進側に居た人間として、この事実は訴えていかねばならないと思う」と本間氏は語り、スピーチを終えた。

 質疑では、「NHKの場合は如何か」という質問に対し、本間氏は「電・博が、直接影響は与えられないが、民放や役所の天下りなど、人的交流はある。震災直後、非常に鋭い指摘を続けた水野アナウンサーに、上層部から『不確定なことは言うな』と、強力な圧力があったとは耳にした」と回答。

 さらに、「広告代理店は(報道内容の変更を)、どのようにメディアに要請するのか」との問いに対し、内部にいた人間独特の生々しい回答が展開された。

 「例えば、大手企業のどこかの工事で火災が発生する。広告代理店にも、すぐにそのニュースが入ってくる。(この事故は)どの規模で報道する予定であるか、まず電話で問い合わせる。そこで、『一面で扱う予定だ』と言われれば、『何とかなりませんか?』と交渉を開始。社会面に持っていく、夕刊に持っていく等の配慮をお願いし、背広を着て交渉しに行く。その時には、『A新聞社に、どれだけの広告料を払ったか』という資料を持っていき、実績を提示。『このニュースをあまり大々的に扱われると、来年からは、これまでのような広告量は少し難しくなります』などと伝える。そこで、相手の機嫌を損ねないよう、飴と鞭が使われ、『(このニュースを小さくしてくれれば)もっと広告を増やす用意がある』などの会話が展開される。

 ”要請”というと、広告代理店以外の方は特殊に思うかもしれないが、広告代理店の営業をやっていた人間としては、空気を吸うことと同様、日常茶飯事のこと。”要請”は、お金を頂いているクライアントのためであり、そこには忠誠心がある」と話し、報道と広告業界の密な関わりを具体的に紹介した。

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