2017年1月24日、衆議院内で民進党の山尾志桜里衆議院議員、有田芳生参議院議員、玉木雄一郎衆議院議員、辻元清美衆議院議員、緒方林太郎衆議院議員らが関係省庁から「共謀罪」についてヒアリングを行った。政府側からは外務省の宮本新吾氏(総合外交政策局室長)、法務省の加藤俊治氏(刑事局官房審議官)、堤良行氏(刑事局参事官)らが参加した。
(取材・文:阿部洋地)
特集 共謀罪(テロ等準備罪)法案シリーズ
※1月26日、テキストを追加しました。
2017年1月24日、衆議院内で民進党の山尾志桜里衆議院議員、有田芳生参議院議員、玉木雄一郎衆議院議員、辻元清美衆議院議員、緒方林太郎衆議院議員らが関係省庁から「共謀罪」についてヒアリングを行った。政府側からは外務省の宮本新吾氏(総合外交政策局室長)、法務省の加藤俊治氏(刑事局官房審議官)、堤良行氏(刑事局参事官)らが参加した。
■ハイライト
前回の2017年1月19日のヒアリング(※)で、民進党が外務省・法務省へ文書で回答を求めた質問「日本の現行法ではカバーできず不都合が生じる事例」に対し、下記の事案を提出した。
※前回の1月19日のヒアリングの模様はこちら
提出された事案に対し、有田芳生参議院議員は、「一つ目の化学薬品の問題だが、例えばサリン事件の時は、93年からオウムは70トンのサリンをつくるという話を内々にやっていて、それを警察が知って、長野県警、神奈川県警、山梨県警は独自に捜査し、『これは危ないぞ』とわかっていたにも関わらず、縦割り行政で、殺人予備罪を適用できなかった。これはもう明らか。だから現行法でできる」と反論した。
法務省の加藤俊治氏は、「ただ今の事例(サリン事件)に、現行法を当てはめた場合に、何らかの犯罪が成立して、それによって捜査が可能だったかどうか、という点については、仮定の話になってしまいますので、ここでお答えすることはできない」と述べ、逃走をはかったが、有田氏は、「仮定の話ではなく、警察庁レベルの具体的な総括になっている。現行法で取り締まれるわけですよ。これはサリン事件で明らかなことだ」と重ねて指摘した。
緒方林太郎議員の、「(共謀罪で)何を罰するのか」との問いに、加藤氏は、「実行準備行為だけあれば処罰されるわけではない。計画行為があり、その後、実行準備行為があった時にはじめて処罰されるのであって、処罰は全体が評価される」と回答した。
そこで弁護士でもある階猛(しなたけし)議員が、「(実行)準備行為なるものが、処罰条件なのか、犯罪構成要件なのか、というところを明確にしてほしい」と問うと、加藤氏は「具体的な条文の立て付けを検討する段階で、具体的には検討中」と述べた。
ヒアリングの終盤、玉木議員は、「図っただけで、目配せしただけで犯罪になるような共謀罪であれば色んなことを考えなければいけないんだけれど、皆さん自身(宮本新吾氏・加藤俊治氏・堤良行氏)が我が国の伝統的な刑法体系・処罰体系の行為を求めるところまで歩み寄ってきている」と主張。「だったら、現行法でいいのではないか。現行法で抜けているところを、新たに予備罪を新設するとかして、条約(パレルモ条約)上の義務を果たせば、十分批准できるのではないか」と指摘した。
加藤氏は、「ご議論としては理解します」としながらも、「テロ等準備罪(共謀罪)によって、組織的犯罪集団の団体の活動に限って、実行準備行為も伴ったものを処罰できるようにして対処するのが適切であると、ご提案申し上げているということです」と述べ、あくまで共謀罪の必要性を強調した。
日本の刑法体系を大きく変質させかねない共謀罪法案。今国会での提出はほぼ確実視されているのに、まだ具体的な中身さえ決まっていないのである。このような状況では、可決成立はおろか、国会に上程することさえ拙速だと言わざるをえない。
論理は破城してるのに、あくまでも共謀罪ありきの法務省。安倍政権の意向を受けてのことだろうが、これでは自ら法治国家であることを放棄しているようなものだ。「公僕」というのは死語なのだろう。 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/358753 … @iwakamiyasumi
https://twitter.com/55kurosuke/status/824383733633462272