「原発安全神話」のウソがバレ、今度は「電力ないない神話」で原発をキープしようとしている!~岩上安身によるインタビュー 第138回 ゲスト 川内博史衆議院議員 2011.6.24

記事公開日:2011.6.24取材地: テキスト動画独自
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(動画:古田晃司 / 記事:原佑介)

 2011年6月24日に、岩上安身が民主党衆議院議員川内博史氏にインタビューを行った。川内議員は「夏の節電も必要ない。避難所へクーラーも送り、たくさん使ってもらい経済を活性化させる。

 電力会社には、法律で電力を安定的に供給する義務がある。国はそれを監督する。それを“電気を使うな”とは法律違反である」と語気を強めた。また、再生可能エネルギー法案については、結局のところ原発維持と変わらず、必要なのは実行のための具体策と、徐々に取り入れていくことだと語った。

■ハイライト

 至る所でお目に掛かり合っている二人というが、会うのはご無沙汰とのこと。本当に、電力供給は政府の発表通り足りないのか?多くの人が持つこの疑問に、川内議員は、一貫して足りている、と主張している。

 今回のインタビューは、「電力安定供給」&「混乱期にある政局」の二つの焦点に軸を置き、話をうかがった。

 川内議員は「震災直後の計画停電。街はどこも暗く、世の中の人は、『これは大変なことが起きていると思った』だろう。そこに、危機感を感じた」と述べ、日本経済が元気でなければ、復旧、復興も叶わない。経済のライフラインとも言える電車すらも止まり、川内さんは国交省鉄道局の人に、電車を止める必要性を問い正した。そこでわかったことは、鉄道に供給している電力は、せいぜい2~3%であること。電車は加速時のみ電力を使い、ブレーキ時のエネルギーはむしろ、発電出来る仕組みであるという優秀な車両もある。

 大停電に数々の疑問が浮かぶ。川内議員は東電等に、各発電機ごとの発電量データを出させた。電力が足りていないことを示すデータの根拠には、揚水発電の欄が0となっていたからだという。

 もともと揚水発電は、原発の熱を利用したエネルギー。揚水発電とは、水力発電所を挟んで上貯水池と下貯水池を作り、夜間などの余剰電力を利用し、ポンプで水を汲み上げ(この作業を「揚水」と呼ぶ)、昼間の電力使用ピークの時間帯に水を流下させて発電する仕組み。

 しかし、コストは高くなるが、火力発電でもそれは代用出来る。そこを指摘し、行動に移させ、発電量データに揚水発電の600万Kwが上乗せされた。さらに、津波で動かないと言われた広野火力発電所380万Kwも、現地に直接乗り込み、所長が「7月までには動かす」と約束したという。

 「原発安全神話」のウソがバレ、今度は「電力ないない神話」で原発をキープしようとしている。しかし、こちらの神話も、「埋蔵電力」を根拠とし、ウソであると主張。原発なくとも、火力・水力フル稼働で6000万Kwあり、「ガスコンバインドサイクル」という、原発の倍の熱効率の、優秀な発電機がある。先月末、猪瀬直樹副知事が視察に行った川崎天然ガス発電所は、ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた、このコンバインドサイクル方式により、火力発電所の発電効率40%を大きく上回る59%で発電。二基で八十五万Kwと、原発一基相当の出力を誇っている。立地は六万平方メートルと小さく、排熱回収ボイラー内の装置で窒素酸化物(NOx)を水と窒素に分解し、環境への負荷も少ないといわれている。代替エネルギーとして石原都知事も注目している。

 さらに、電力の自由化が起こってから、電力供給可能な個人事業者がIPP、PPSなどによる発電が可能、電力会社が用意した発電機以外にも電力供給源はある。これを埋蔵電力という。川内さん曰く、「節電も必要ない。避難所へもクーラーを。ジャブジャブ使い、経済を活性化させねば。電力会社には、法律で電力を安定的に供給する義務がある。国はそれを監督する。それを『電気を使うな!』など、法律違反」。さらに、「地方には高齢者も多く、お年寄りほど真面目だから、この夏お年寄りの熱中症が多発するのではないかが心配。安定した電力を供給し、安心させることが政府、電力会社の役目」と語った。

【IPP】
 Independent Power Producerの略。独立系発電事業のことをいい、「卸電力事業」とも呼ばれる。 
1995年の電気事業法改正で、一般事業者が電力会社へ電力の卸供給を行うことが認められ、石油・鉄鋼・化学などの業界各社が、IPP事業を新たなビジネスチャンスとし、参入。卸売業者は入札によって決定されるが、特に石油会社は燃料を安く調達でき、製油所における自家発電のノウハウを持っている点で有利な立場にあり、数々の落札実績を挙げている。
 IPPには、余剰電力取引きの活発化効果が期待されいる。

【PPS】
 Power Producer and Supplierの略。特定規模電気事業者。 高圧・高圧受電による契約電力50kW以上の大口需要家へ、一般電気事業者が管理する送電線を通じて小売りを行う事業者。一般電気事業者も同様の条件にて、供給区域外への電力供給が可能。

 再生可能エネルギーの発展を打ち出し、総理の座に留まる菅直人氏の最近の人気。これに対し、川内議員は「再生可能エネルギーだけを言うのであれば、結局原発維持と変わらない。原発を稼動させることでしか補えず、無意味。原発と再生可能エネルギーの並行は、昔から原発推進派も言うには言っていた。必要なのは、再生可能エネルギー実行の具体策。ガスコンバインドサイクルなどを代替エネルギーとして利用しつつ、再生可能エネルギーを徐々に取り入れて行くことなど」だと語った。

 また、初動の遅れやスピーディの非公開について、「ウソにウソを重ね、ミスにミスを重ねた。降りてもらうしかなく、不信任案しかないとなった。しかし、不信任案は忍びない、と、鳩山さんが入り、菅直人氏は自分で辞めるということになったから、野党の出す不信任案は断った。が、そこで手のひら返し。再生可能エネルギーとか、突然言い出した」と吐露した。

 さらに川内議員は菅直人氏を指し、「内ゲバが好きなんだと思う」とし、「小沢一派ということで我々が攻撃され、今度は仲間割れ。私は昔、権力に立ち向かう菅さんが格好イイと思い、大好きだった。しかし、自分が権力になった途端、権力の濫用も甚だしい」と、悲壮な表情で語った。

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