【東京選挙区】「おおさか維新は改憲勢力なのか?」 IWJが田中康夫候補に直撃インタビュー!田中氏は「レッテル貼りだ」と反論! 2016.6.28

記事公開日:2016.6.28取材地: テキスト動画
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(取材・文:青木浩文、記事構成:佐々木隼也・岩上安身、文責:岩上安身)

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※7月9日テキストを追加しました!

 「憲法改正という言葉を言っただけで、安倍さんの補完勢力だと言われる。でも、松井(おおさか維新代表・松井一郎氏)さんは、安倍さんが出している自民党の憲法改正案には反対だって言ってるんだよ」

 参議院選挙・東京選挙区におおさか維新から立候補している田中康夫候補は、2016年6月28日、JR中野駅前の街頭演説で訴えた。

 おおさか維新を、安倍自民党の改憲草案を推し進めようとする同じ改憲派だとするのは、マスメディアによる「レッテル貼りだ!」と反論したのだ。

▲中野駅前で街頭演説をする田中康夫候補

▲中野駅前で街頭演説をする田中康夫候補

 その後、中野駅の商店街を練り歩いた田中氏は、IWJの中継中のカメラにおもむろに近づき、こう語った。

 「IWJの人はですねえ、未だに半信半疑な、地頭(じあたま)のちょっと足らない方がいるんで、頭をちょっと解きほぐしてほしいと思います」

 「半信半疑」??これは、おおさか維新のこれまでの政策や、動きを見知っている人であれば当然抱く思いである。むしろ、「疑い」の思いの方が強いかもしれない。

 もちろん、「地頭」の出来が素晴らしいに違いない田中康夫氏への世上の評価は、おおさか維新とは違って、低かろうはずはない。しかし、今回の参院選の候補者として問われているのは、おおさか維新に入った田中康夫氏を信じられるのか、という点である。なぜあの田中康夫がよりによって、あのおおさか維新から立候補なのかと惜しむ声、いぶかしむ声は少なくない。

 IWJは、田中氏に詳しく話を聞くことにした。

■ハイライト

■田中康夫候補インタビュー

  • タイトル参院選 東京選挙区 田中康夫候補 街頭演説 ~練り歩き
  • 日時 2016年6月28日(火)18:00~
  • 場所 JR中野駅北口(東京都中野区)

「松井代表は『自民党の改憲案は反対』」、「片山共同代表は『今、9条改正は早過ぎる』『緊急事態条項も必要ない』」と明言――それでも安倍政権の補完勢力だというのは「レッテル貼りだ!」

 田中氏は、IWJのインタビューに、強い口調で次のように語った。

 「私はずっと憲法9条を守り、育む、と言ってきた。党首討論で党の共同代表(片山虎之助衆議院議員)が、憲法9条は今いじるべきじゃないと、緊急事態条項なんて不要だと、今の憲法で良い所は残すんだと(明言している)」(※1)

 「そして党の代表(松井一郎氏)も秋葉原で若い子に聞かれて、『自民党の改憲案は反対だ』と言っているんだよ!」(※2)

 「これを言っても『違う』っておっしゃるんだったら、それは皆さんも安倍さんと同じ『レッテル貼り』をしたいってことだ!!」

(※1)おおさか維新の共同代表である片山虎之助は、5月18日の国家基本政策委員会両院合同審査会で行なわれた党首討論で、次のように発言している。

 「憲法の全面改正なんて難しい。憲法の良いところは残さないといけない」「憲法裁判所があれば、安保法制の議論はなくなるんです。そういうことをきっちりやってください」「今9条改正は早過ぎる。やるべきではありません」「緊急事態条項も、熊本を見ても大丈夫なんだから、現状で必要はないと思います」

(※2)大阪府知事でおおさか維新の代表である松井一郎氏は、6月26日に秋葉原に行なわれた街頭演説会で、19歳の男性の質問に対して、次のように明言している。

(19歳の男性)
「松井さんは今、おおさか維新の会で、代表やられていて、『現在の自民党』の安倍政権に思想的に共鳴している部分とか、政策して協力していく部分がすごくあると思うんです。ぼくは『従来の自民党』というのは、現在の憲法の上に、戦争しないための解釈を70年間積み重ねも含めて、今の日本国憲法になっていると思う。現在松井さんは憲法改正に賛成していると思います。(『現在の自民党』は)『従来の自民党』の保守の考え方からと、ちょっとずれてきているところがあると思うんですけれど、それについてはいかが思いますか」

(松井氏)
「憲法については権力を縛るのが憲法なんです。皆さんに何かを押し付けるのが憲法ではありません。自民党の憲法草案、僕は反対。というのは『家族はこうあるべき』とかね、一人ひとりの価値観にまで踏み込む、それは憲法ではありません。一人ひとりの価値観というのに、踏み入れていくのは、ちょっとおかしいと思っている」

 松井代表が街頭演説会で19歳の男性の質問に答え、「自民党の憲法草案、僕は反対」と明言したにも関わらず、どの新聞も記事にしないことに対して田中氏は、「それは、新聞が今まで改憲勢力とひとくくりにしていたことの『レッテル貼り』が壊れちゃうからでしょ」と憤った。

▲片山虎之助氏の次男で参議院兵庫選挙区候補である片山大介氏(左)の応援演説をする、松井一郎氏(右)

▲片山虎之助氏の次男で参議院兵庫選挙区候補である片山大介氏(左)の応援演説をする、松井一郎氏(右)

おおさか維新に対する市民の不信感??派遣法改正案、安保法制で見せた「裏切り」と安倍政権の「後方支援」

 田中氏がいくら「自民党の改憲反対」を主張しても、党の共同代表が自民党の改憲を否定しても、おおさか維新に対しては、拭い切れない不信感がある。おおさか維新はかつて、「野党共闘」を裏切り、安倍政権の強力な「後方支援」にまわった「前科」があるからだ。

 昨年6月。安保法制をめぐる国会審議で紛糾が続くなか、派遣法改正案の審議も紛糾を極めていた。 「事実上、人を入れ替えれば企業が派遣社員をずっと使える仕組みに変わる」この法案に対し、野党は「審議が不十分だ」として採決を拒否してきた。

 安倍政権としては、派遣法改正案の審議がもたつくことによって、安保法制の審議も長引き、国会会期中に安保法制の採決にこぎつけないことを、非常に恐れていた。

 しかしここで、松野頼久代表のもと「野党共闘」を掲げてきた当時の維新の党が突然、他の野党と協議せずに独断で自民党に歩み寄り、採決に応じる構えをみせた。その後、与党単独採決という「汚名」を免れた安倍政権は強気の姿勢で、衆院での採決に踏み切った。そうやって、安保法制審議の「妨げ」が一つ、取り除かれたのである。

 この動きを主導したのが、維新内の「大阪維新組」(現・おおさか維新)と言われている。

 そして彼らは、安保法制国会で対案の提出を主導。維新は与党との修正協議に加わり、「与党単独の強行採決」に踏み切って批判を浴びるのを避けたいという安倍総理の狙いに、ものの見事にはまって補完役を果たした。かつて維新の党に所属し、現在は民進党に移った真山勇一氏(神奈川選挙区候補)は、当時、維新分裂の最大の要因は、この「安保法制に対する考え方の違いだった」と述懐している。

 彼ら「大阪維新組」は、憲法観についても安倍総理に同調している。当時、維新の党最高顧問として「大阪維新組」を率いていた橋下徹氏は、「内閣における憲法の有権解釈者は内閣総理大臣。憲法解釈が時代とともに変遷するのは当然のこと」「重要なことは日本国における憲法の最終有権解釈者は最高裁であること」などとツイートし、安倍政権による「解釈改憲」を肯定、後方支援につとめている。

 これが、彼ら「大阪維新組」??即ち、現在のおおさか維新が自民党の「補完勢力」と言われる所以だ。多くの市民は松井氏らが今度は憲法でいくら甘言を弄しても、これまでの彼らの「裏切り」を決して忘れることはない。

「それは党議拘束をかけるんですか?」――「党議拘束なんていう言葉自体が個人を認めていないこと」

 田中氏は別の街宣で、「『自民党の憲法改正案には反対』『緊急事態条項は不要』『憲法9条は守る』がおおさか維新の考え方だ」と訴えていた時、聴衆の一人に「それは党議拘束かけるんですか?」と聞かれたことがあったという。

 いくら田中氏がおおさか維新は「安倍自民党と同じ改憲勢力ではない」と主張しても、その保証はあるのか? また彼ら(おおさか維新)は前言を翻し、裏切るのではないか? その時、党議拘束をかけられた時、田中氏はそれに抗うことができるのか? この疑念は当然だ。

 この聴衆の質問に対して、田中氏は反論した。

 「党議拘束なんていう言葉自体が個人を認めていないことじゃないですか。比例(代表選挙)で通ったならともかくだよ、個人の名前を書いてもらった人が党議拘束なんていうことがアメリカはないから、党議拘束ってこと自体がまるで会社の右向け右、左向け左じゃないですか」

 田中氏が党議拘束という考え方や制度に反対なのは理解できた。しかし、何より重要なことは、実際におおさか維新において、憲法改正にからんで党議拘束がかけられたとき、田中氏は、どうするのか。党から厳しい処分??たとえば除籍??を受けたとしても、改憲に反対を貫くのか。

 この点について、田中氏の言葉は、率直にこたえるものではなかった。動画を見直して確認したが、やはり田中氏は党議拘束をかけられた時にどうするつもりか、率直に答えてはいない。田中氏にはこの点について、再度取材を行い、真意を明確に語っていただいたうえで、本記事に追記したい。

自民党が憲法改正したいと言ってきた時に、自民党はおおさか維新の三案をのむのか!?

 おおさか維新の憲法改正案の柱は3つだ。6月3日に発表された同党の参院選公約には、(1)幼児教育から大学まで教育無償化(2)道州制実現のための統治機構改革(3)憲法裁判所の設置であると明記されている。

 田中氏はこの3案に絡み、次のように説明した。

 「じゃあ仮に(自民党が)憲法改正したいと言ってきた時に、我々の三案をのむんですかと。我々はあなたたち(自民党)が出している生煮えの国民の義務を押し付けるようなものは、反対だと代表が言っているんだよ、選挙期間中に」

 この発言は、聞きようによっては、おおさか維新の改憲案を飲む交換条件として、自民党の改憲案を受け入れることもありうる、と聞こえる。

 うがちすぎだ、幼稚が過ぎる、という反論があるかもしれないが、決して邪推ではない。

 事実、おおさか維新の馬場伸幸幹事長は、6月12日のNHK番組では「我々は憲法9条(戦争の放棄)改正や緊急事態条項の創設に与するものではない」などと語りながらも、外国特派員協会での会見では、仮に、おおさか維新の会が掲げる教育の無償化や統治機構改革のための憲法改正と9条の改正が同時に提案された場合には「賛成する可能性を全否定するものではない」などと述べている。

 おおさか維新は選挙前にして、すでにお約束の「軟化」をちら見せし始めているのだ。

 そもそも、おおさか維新が主張している3点は、憲法に書き込む必要のあるようなものではない。必要なら、法律レベルで制定すればいいだけの話だ。こうした批判が、おおさか維新の憲法草案に対してほうぼうから投げかけられている。

 田中氏はこうした指摘に対しては、「政権が変わったら政策もころころ変わってしまう。裁量行政である以上、奨学金の免除を決める事務機構ができて、族議員や族官僚の天下りができるだけ」??だから、憲法で定める必要があると反論する。

 田中氏の主張に一理ある、と認めるとしても、しかし、だからといって、この3点と引き換えに、国民の人権を停止し、無期限・無制限に内閣に立法権と予算権を集中し、地方自治も廃止し、強大な権力によって国民に命令を下すことのできる緊急事態条項の導入を含む自民党改憲草案に同調されたら、たまったものではない。

社民党・福島瑞穂氏の予想――「自民党の改憲案とおおさか維新の会の改憲案など、良さそうなものも含めゴチャ混ぜにして、憲法改正の発議がされる」

 

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