ヨガ講師の「反核」Tシャツを認めず鹿児島市が契約打ち切り!?平和都市宣言で「核廃絶」を誓った都市がなぜ?〜梓澤弁護士は「安倍政権の意向を忖度した表現規制」の広がりに危機感 2016.4.13

記事公開日:2016.4.13 テキスト
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(文:原佑介)

 「反核」「反戦」のアピールが政治的中立性を欠くとして、鹿児島市が主催する市民向けヨガスクールのインストラクター・白澤葉月さんが3月8日、契約更新を拒否されていたことが発覚した。西日本新聞が報じた。なぜ核に反対し、戦争に反対することが政治的な中立を欠くのか。憲法が保障した「表現の自由」のあり方が問われる事件だ。

 白澤さんはIWJの取材に対し、鹿児島市が出している「平和都市宣言」の中で核廃絶を訴えていることを指摘。「なぜ、政治的に偏っていると言われるのか」と批判した。梓澤和幸弁護士は、「安倍政権の意向を忖度し、公の場における『表現の自由』を規制する動きが広がっている」と危機感を示した。

記事目次

問われる表現の自由「私服で着ていただけの何が問題なのか」

▲問題視されたパーカーを着た白澤葉月さん(白澤さん提供)

▲問題視されたパーカーを着た白澤葉月さん(白澤さん提供)

 白澤さんは昨年の2月から今年3月まで計16回、市勤労青少年ホームで週1回開かれるヨガ講座で(鹿児島市主催)で講師を務めた。しかし今年3月8日、市勤労青少年ホームの川崎栄夫館長が、「反核」と書かれたTシャツやパーカーを着て施設を出入りしていたことを問題視し、白澤さんの講師としての起用は打ち切りとなった。

 白澤さんはIWJの取材に、当時の様子をこう振り返る。

 「館長からは、『(反核を)アピールしているのを外していただけなければ来季から契約できません』『来季も続けていただきたいが、続けるには外していただかないといけない』と言われました」

 さらに白澤さんは、「一度、ヨガの最中に着替え忘れてそのまま着ていたこともあった」としながらも、「基本的に私服で着ていただけですし、仮に講座中に着ていたとしても、それの何が問題なのでしょう」と館長の要請の不当性を指摘した。

「私が一番言いたいのは、鹿児島市が『平和都市宣言』を出していて、その中で核廃絶を訴えていること」

▲白澤さんが移動の際に乗っている車(白澤さん提供)

▲白澤さんが移動の際に乗っている車(白澤さん提供)

 白澤さんはこう続ける。

 「私が一番言いたいのは、鹿児島市が『平和都市宣言』を出していて、その中で核廃絶を訴えていることです」

 実は鹿児島市は、1990年に「平和都市宣言」を発表し、その中で「あらゆる国の核兵器の全面廃絶と国是である非核三原則の遵守を希求し、世界の恒久平和の達成を願い、ここに『平和都市』を宣言する」と誓っている。この宣言は市勤労青少年ホームの施設内でも額縁に入れて飾られている。ということは、白澤さんは本来、「模範的鹿児島市民」ということになる。それなのに、なぜ?

 「私の反核アピールが強すぎるということだと思いますが、反核は『平和都市宣言』に書いてあるんです。なのに、なぜ、政治的に偏っていると言われるのでしょう。

 今の政権にとって、反核・反戦の訴えが『不都合』ということでしょうが、私は、そんな政権をみて『怖い』と思わない一般人が怖いです。館長さんもそういう感じなのでしょう。(表現の自由を)何の気なしで規制するというのは、上からの指示で規制するより怖いことだと思います」

川崎館長「Tシャツやパーカーを着ないのであれば来季もお願いするつもりでした」

 川崎栄夫館長はIWJの取材に対し、「(「反核」の)Tシャツやパーカーを着ないのであれば来季もお願いするつもりでした」と認め、「ここは公の施設であり、講師の方々の影響力は強いんです。市の施設として、政治的な中立性を保たなければいけないという私個人の判断です。市に何か規定があるわけではなりません」と持論を展開した。

 しかし、白澤さんの「反核」の意思表示は、施設で掲げる、鹿児島市の「平和都市宣言」の趣旨そのものではないか。

(…会員ページにつづく)

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