2015/12/18 【沖縄】「沖縄は“カネ”に困っている」と印象操作して「沖縄以外で選挙に勝てばいい」? 宜野湾市長選における政府の「魂胆」を古賀茂明氏が暴露!  

記事公開日:2016.1.22
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 「政府は『最後は金目』と言うが、もう沖縄では効力がない。だから、ディズニーランド誘致をちらつかせ、『沖縄は金に困っているから、基地があっても仕方がない』と本土の人間をだます。そうやって、沖縄以外で選挙に勝てばいいと思っている」――元経済産業省官僚の古賀茂明氏は、こう政府の思惑を糾弾した。

 2015年12月18日、沖縄県宜野湾市・宜野湾市民会館で、新外交イニシアティブ (ND)主催によるシンポジウム「宜野湾から沖縄の未来を考える ―基地・経済・地方自治―」が開かれた。古賀茂明氏が講演し、続いて、呉屋守將氏(ごや もりまさ・金秀グループ会長)、當山智士氏(とうやま さとし・かりゆし代表取締役社長)、石川達也氏(沖縄タイムス編集局次長兼報道本部長)とともにパネル・ディスカッションを行った。

 古賀氏は、昨年のテレビ朝日「報道ステーション」降板のきっかけとなった「アイ・アム・ノット・アベ」発言について、「私たち日本人は『安倍首相とは違う』ということを、世界に知らしめなければいけない、という思いだった」と振り返り、自民党のあからさまな報道規制を批判。「気がついたら、今、マスメディアは沖縄の状況を報道しなくなっている。国民も洗脳されて、独裁政権の誕生へと進んでしまう」と警鐘を鳴らした。

 そして、60年安保から、本土は経済偏重の政治に変わり、バブル崩壊後の低迷、改革派か守旧派かという対立軸から、安倍政権でタカ派かハト派かとなり、沖縄が対立軸になった、との持論を展開。今、その沖縄が覚醒し、古賀氏自ら立ち上げた運動「フォーラム4」の趣旨にある「改革を望むが、平和主義」に近づきつつあると述べた。

 後半のパネル・ディスカッションでは、沖縄の経済や基地、海兵隊の問題などについて語り合った。

 呉屋氏は、「沖縄は経済を大事にするからこそ、新基地は必要ない」と主張。「基地前で(反基地の)座り込みをしたら、『金秀グループは基地工事はやらない』と言いふらされて、困ってしまった」と笑いを誘い、「基地工事はやる。ただし、撤去工事だけ」と、さらに会場を沸かせる場面もあった。

 沖縄県ホテル協会会長も務める當山氏は、「(基地反対を表明していても)大きな旅行会社との付き合いに支障はない」と明言。また、政府が打ち出したディズニーランド誘致計画に関しては「選挙対策だ」と断じ、「沖縄の自然、気候、文化の中にテーマパークは必要ない」と斬り捨てた。

 米海兵隊に詳しい屋良氏は、「軍事力は安全保障の一部分に過ぎない。ほとんどが人的なつながりだ」と訴える。「海兵隊はアジア周辺国を巡回し、各国で人道支援や災害救助の訓練をしている。2015年2月の、タイでの訓練には中国軍も参加した」と海兵隊の実態を明かし、中国脅威論に疑問を呈した。

 会場には、宜野湾市長選(2016年1月24日投開票)に出馬し、激しい選挙戦をたたかっている、志村恵一郎候補も訪れ、会場から大きな拍手を受けた。

■Twitcasting録画
・1/3(19:15〜 1時間0分)

0分〜 古賀氏講演/42分〜 パネルディスカッション

・2/3(20:15〜 3分間)

・3/3(20:18〜 1時間2分)

  • 講演 古賀茂明氏(元経済産業省官僚、フォーラム4提唱者)
  • パネルディスカッション
    パネリスト 古賀茂明氏/呉屋守將氏(金秀グループ会長、辺野古基金共同代表)/當山智士氏(かりゆし代表取締役社長、沖縄県ホテル協会会長)/石川達也氏(沖縄タイムス編集局次長兼報道本部長)/コーディネーター 屋良朝博氏(ND評議員、元沖縄タイムス論説委員)
  • 全体司会 林千賀子氏(ND沖縄、弁護士)
  • タイトル NDシンポジウム 宜野湾から沖縄の未来を考える ―基地・経済・地方自治―
  • 日時 2015年12月18日(金)19:00〜21:00
  • 場所 宜野湾市民会館(沖縄県宜野湾市)
  • 主催 新外交イニシアティブ (ND)(詳細

「列強と肩を並べて世界を仕切る」のが安倍首相の野望

 古賀氏は、沖縄に特別な思いを寄せた故菅原文太氏の形見のネクタイを身につけて登壇した。

 「菅原文太さんは『政治の役割は国民を飢えさせないこと。絶対に戦争をしないこと』と言われたが、安倍首相の政治は違うようだ。いったい何をやろうとしているのか。いろいろ考えてみたが、安倍さんは列強国と肩を並べて、世界を仕切る野望を抱いているのではないか」

 古賀氏は、国家安全保障会議の設置、特定秘密保護法の可決、防衛装備移転三原則で武器輸出を解禁、集団的自衛権の行使容認、集団安全保障、ODAの軍事的利用など、安倍政権が進めてきた政策を列挙。憲法改正で日本版CIA創設、国防軍創設、基本的人権の制限や徴兵制も視野に入れているのではないかと推察し、安倍首相が官房副長官時代に、「憲法上、原子爆弾も問題ない」(サンデー毎日・2002年6月2日号)と発言していたことから、核武装願望もあるのではないかと問題視した。

 2015年2月12日の安倍首相の施政方針演説で、「日本は小さい国かもしれないが、国民みんなが心をひとつにして、国力を盛んにするならば、世界で活躍する国になることも決して困難ではない」という岩倉具視の言葉を、列強国を目指す意味で使ったことや、2015年8月の戦後70年談話で、「日露戦争は、植民地支配のもとにあった多くのアジアやアフリカの人々を勇気づけた」という部分に、大日本帝国回帰の思いを含ませている、と指摘した。

私たち日本国民は平和を愛する。だから「アイ・アム・ノット・アベ」

 次に古賀氏は、2015年1月23日のテレビ朝日「報道ステーション」で「アイ・アム・ノット・アベ」(I am not ABE)と発言した真意を語った。

 2015年1月、後藤健二さんと湯川遥菜さんが「イスラム国」(IS)の捕虜になったとわかった時、安倍首相は、エジプト、ヨルダン、イスラエルなど中東を歴訪中だった。エジプトの演説では、ISと闘う国への2億ドル拠出を発表。「これは宣戦布告に等しい」と古賀氏は言う。

 日本政府は当時、邦人人質事件の対策本部を、ISとの交渉に長けたトルコではなく、あえて米CIAの拠点のあるヨルダンに置いた。「それは、日本がテロに屈しない姿勢をアメリカなどに示して、オバマ大統領への忠誠心を見せつけるためだ」と古賀氏は看破する。

 「日本は70年もの間、憲法9条を守り、平和ブランドを育て上げ、中東アラブ諸国との信頼と友交関係を築き上げた。それを、安倍首相のたった数日間の言動が破壊した。だから、『アイ・アム・ノット・アベ』なのだ。私たち日本人は安倍首相とは違うことを、世界に知らしめなければいけない、という思いだった」

マスコミを萎縮させ、真実を報道させず、独裁政権の誕生へ

 古賀氏が「アイ・アム・ノット・アベ」と発言した直後の生放送中に、テレビ朝日には菅官房長官の秘書官から抗議が入り、局内は大騒動だったという。

 他局は、「懸命にテロと闘っている安倍首相を批判することは、テロを応援するのと同じだ」という論調を掲げ、古賀氏の発言を一斉に批判、報道自粛に走る。そして3月27日、古賀氏は「報道ステーション」最後の出演時に、再び「I am not ABE」のパネルを掲げた。

 安倍政権のメディアへの介入は、これが最初ではない。

 2014年の衆院解散総選挙前、自民党総裁特別補佐の萩生田光一筆頭副幹事長は、各在京テレビ局に、選挙関連の報道について中立を要請する文書を送付(2014年11月20日)した。さらに、テレビ朝日「報道ステーション」2014年11月24日放送分について、福井照自民党報道局長名で、「放送法第4条に照らして、アベノミクスの評価について偏った報道があった」と警告。これらを振り返った古賀氏は、「結局、(2015年3月に)プロデューサーと自分は番組を降ろされた。安倍政権は、こうやってマスコミをどんどん萎縮させ、真実を報道できなくしている」と指摘した。

 「あなたがすることのほとんどは無意味であるが、それでもしなくてはならない。そうしたことをするのは、世界を変えるためではなく、世界によって自分が変えられないようにするためである」――。

 「報道ステーション」の最終出演回の最後に、ガンジーの言葉を提示した古賀氏。「しかし気がついたら、政府に睨まれたマスメディアは、今、沖縄の状況を報道しなくなっている。国民も洗脳され、独裁政権の誕生へと進んでしまう」と警鐘を鳴らした。

「宜野湾市長選は死闘。大空の彼方で菅原文太も闘志」と菅原文子氏

 古賀氏は、「経済政策などの改革はするが、戦争はしないという政党がない」という理由から、市民運動のプラットフォーム「フォーラム4」を立ち上げた。戦後の政治がたどってきた道筋を次のように話した。

 「沖縄では常に米軍がいて、安全保障を忘れることはないが、本土の人間は、60年代、70年代の安保闘争が終わると、お金にしか目がいかなくなり、選挙でも外交と安保が票にならなくなった。90年代にバブルがはじけ、世論は日本の低迷に疑問を持ち始め、既得権をなくして改革を模索するようになる。その流れで民主党が政権を取ったがうまくいかず、維新、みんなの党も期待にそぐわず、そこに安倍首相が登場した。

 すると従来の、改革か守旧派かの対立軸ではなく、タカ派かハト派か、沖縄(基地問題)を対立軸にして変わっていった。公明党も平和の党だったのが、政権に居続けたいがため、タカ派へと変節。野党は、民主党や維新のようにタカ派とハト派で分裂。一方、共産党は勢力を延ばすが、まだまだ経済政策は不安で、共産主義化を懸念する人も多い」

 古賀氏は、「今、沖縄は、基地がなくても経済が成り立つことに覚醒した。フォーラム4の趣旨の『改革を望むが、平和主義』に近づきつつある」と力を込めると、「安倍政権の考えていることは、『沖縄の連中は、どうせ最後は金だろ』ということだ。今度の宜野湾市長選挙には、沖縄の尊厳がかかっている」と聴衆に向かってエールを送った。

 最後に古賀氏は、菅原文太氏の妻で、辺野古基金共同代表を務める菅原文子氏から預かったメッセージを読み上げた。

 「宜野湾市長選は死闘だ。志村恵一郎(候補)さんの、生半可ではない覚悟を讃え、勝利を見守っている。大空の彼方で、菅原文太も闘志を抱いている」

 会場には、その志村恵一郎氏も登場し、聴衆から盛大な拍手を受けた。

経済を大事にする沖縄に、新基地は必要ない

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 後半は、ステージに古賀氏と呉屋守將氏、當山智士氏、石川達也氏がパネリストとして登壇、元沖縄タイムス論説委員の屋良朝博氏がコーディネーターを務めて、基地、経済などをテーマに話し合った。

 沖縄の経済問題について呉屋氏は、「沖縄は経済を大事にするからこそ、新基地は必要ないし、平和と民主主義が大事になる」と発言。また、基地前で反対の座り込みをしたら、「金秀グループは基地工事はやらない、と言いふらされ、困ってしまった」と笑いを誘い、「基地工事はやる。ただし、撤去工事だけだ」と、さらに会場を沸かせた。

 そして、「普天間基地は世界一危険だというが、世界一危険にしたのは誰なのか」と疑問を投げかけ、「宜野湾市から普天間基地をなくしても、新基地を辺野古に作り、私たちの苦しみを辺野古の人たちに付け替えることは、同じウチナンチュ(沖縄人)として決して認めるわけにはいかない」と口調を強めた。

 観光業の當山氏は、「(基地反対を表明していて)業界からの締め付けなどはないのか」と尋ねられ、「大きな旅行会社との付き合いに支障はない」と断言。2015年に沖縄を訪れた観光客は760万人、うち外国人が140万人近くいて、1000万人達成もさほど遠い話ではないという。

 その上で、「沖縄の観光業界のタブーは、基地の観光だ。沖縄本島の一番良いところに基地はある。これが返還されたら、観光業も飛躍的に伸びる」と続けた。政府が打ち出したディズニーランド誘致に関しては、「選挙対策だ」と一刀両断にし、沖縄の自然、気候、文化の中にテーマパークは必要ないと明言した。

 古賀氏は、かつて沖縄の県民所得が最下位だった頃と、今は時代が変わったとし、「本土は人手不足だ。沖縄は、失業率が高い。逆に言うと、本土から沖縄に、人手不足の企業が移転してくる可能性がある。また、観光、農業、自然エネルギーなど、以前は価値のなかったものが脚光を浴び、その流れの中に沖縄は入りつつある」とコメントした。

政府は本土の人間を騙し、沖縄以外で選挙に勝てばいいと考えている

 基地問題について呉屋氏は、菅義偉官房長官とキャロライン・ケネディ駐日米大使が、(2015年12月4日)普天間基地の東側約4ヘクタールの返還に合意したことを挙げ、「普天間基地は危険だと言いながら、バッファーゾーン(緩衝地帯)を返還すると、より危険になる」と憂慮を示した。

 1995年の米兵による少女暴行事件の後、当時のペリー国防長官は、「日本が望むあらゆることを、検討する用意がある」と米連邦議会で発言している。国防次官補だったジョセフ・ナイ氏も、沖縄から撤退する旨を言明した。

 石川氏は、「しかし日本政府が、海兵隊が沖縄にいることを望んだ。今、日米安保を容認する国民は9割近くもいる。安保は容認するが、基地が近くにあっては困るという姿勢で話ができるのだろうか」と疑問を呈した。

 在日米軍、特に海兵隊に詳しく、自身を「海兵隊ストーカー」と呼ぶ屋良氏は、安全保障は防衛体制のことではないとし、「軍事力は一部。安全保障のほとんどが人的なつながりだ。海兵隊は、アジア周辺国を巡回し、各国で人道支援や、災害救助の訓練をしている。2015年2月のタイでの訓練には中国軍も参加した」と話す。

 石川氏は、「ほとんどの国民は、普天間基地がなくなると、沖縄から米軍がいなくなると誤解している」と言い、當山氏は、「基地問題は、日本が沖縄に甘え切っている。片務性の問題だ」と指摘した。

 古賀氏は、「政府は『最後は金目』と言うが、それも、もう沖縄では効力がないとわかっている。ディズニーランド誘致など、いろいろな『アメ』を出してくるのは、本土の人間に『沖縄は金に困っているから、基地があっても仕方がないんだな』と思わせるため。そうやって本土の人間をだまして、たとえ沖縄で選挙に負けても、沖縄以外で勝てばいいと思っている。原発問題も似たようなものだ」と看破した。

(IWJテキストスタッフ・関根かんじ)

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