「比例枠で『立憲民主党』を作る!」 来年夏の参院選に向け、民主党・阿部知子衆議院議員が秘策を披露~立憲主義と民主主義回復への道程について岩上安身が聞く  2015.10.23

記事公開日:2015.10.26地域: テキスト 動画 独自
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(青木浩文、平山茂樹)

 「比例区だけでも、『立憲民主党』という枠を作って、そこにいろいろな党の候補者を入れ込んだらどうか、と思っているのです」――

 ほとんどの憲法学者、元内閣法制局長官、元最高裁判事、さらには元最高裁判所長官らが「違憲」と断じた、集団的自衛権行使容認にもとづく安全保障関連法案。日本を米国とともに「戦争のできる国」へと変えてしまうこの「戦争法案」を、自民・公明の与党は、数の力と「採決の強奪」によって、無理やり「可決・成立」させた。

 今回の安保法案は、単なる外交・安全保障政策上の一法案ではない。これが通ってしまったことにより、日本の民主主義と立憲主義が蹂躙されてしまったのだ――。法案の「可決・成立」直後に、野党による暫定政権の樹立を目指す「国民連合政府」構想を提唱した日本共産党をはじめ、国民の間からはこのような声が上がり始めた。

 そのような中で、腰が座らないのが最大野党の民主党である。岡田克也代表は9月25日に共産党の志位和夫委員長と会談したものの、党内、とりわけ「右派」と呼ばれる前原誠司議員や細野豪志議員、金子洋一議員、長島昭久議員らからは、共産党に対する強い拒否反応が表明されている。それもかなり早い段階で、明確かつ強い姿勢で。それに対して、リベラル左派からは目立った発言はほとんど聞かれなかった。

 民主党の右派は少数でも声が大きいと言われる。そうはいっても、民主党は実際の所、野党共闘に後ろ向きなのではないのか――。そのような見方が強まる中、党内のリベラル・左派から声が遅まきながら上がり始めた。かつて社民党・未来の党に所属し、現在は民主党で活動する阿部知子衆議院議員が、自身のTwitterで、共産党の提案を前向きに検討すべきだと主張したのである。

 阿部議員の提案は画期的だ。来年夏の参院選で、政府・与党によって踏みつけにされた民主主義と立憲主義の回復を旗頭に、比例枠に「立憲民主党」という「届出団体」を作る。民主党員でも共産党員でも無所属でも、比例ではこの「立憲民主党」から出るような体制にすればよい、というのである。

 阿部議員は、具体的には、「学者の会」の大学人が「立憲民主党」から立候補し、それをSEALDs(シールズ)が応援するような流れを作りたいのだという。

 「業界団体の人で、例えば日歯連は業界の票を持っているので、比例区では上に行ってしまう。でも、それを上回る国民の票、国民が立憲主義は私たちのものだという思いで、例えばSEALDsが学者の先生を立てて日本中で運動するとか、そういったことを私は期待しているんです」

 来年の参院選に向けて、政府・与党によって蹂躙された立憲主義と民主主義をいかにして取り戻し、国政の場に活かすか。そのために、今、野党がするべきこととは何か。民主党の内部事情も含め、2015年10月23日、岩上安身が話を聞いた。

■イントロ

  • タイトル 岩上安身による民主党・阿部知子衆院議員インタビュー
  • 日時 2015年10月23日(金)9:30〜
  • 場所 衆議院第一議員会館(東京・永田町)

「民主党は”動く民意”を受けとめられていない」――日本共産党の「国民連合政府構想」にどう応じるか

▲岩上安身のインタビューに応じる民主党の阿部知子衆議院議員
▲岩上安身のインタビューに応じる民主党の阿部知子衆議院議員

岩上安身(以下、岩上)「安保法制が『成立』した直後、日本共産党の志位委員長は、『国民連合政府』構想を提唱しました。最大野党の民主党が共産党とうまく橋を架けられるかということが、大きな焦点になっています」

阿部知子議員(以下、阿部)「鉄は熱いうちに打てと言いますが、志位さんは政治を知っているなあと思います。国会の外で起きた『民主主義ってなんだ!』という声を受け止めて、こういう提案をすぐに出してきましたね。

 他方、民主党は、政策は知っているかもしれないが、政治というダイナミズム、動く民意を受け止めるという部分を身につけていないのではないでしょうか。国民の政治離れが進んでいるなかで、もう一度国民を取り込もうとするメッセージを送ることが一番大事だと思います。

 私は民主党に入党して、まだ、9、10ヵ月です。社民党、未来の党などの小政党で活動し、小選挙区の20年間を見てきましたが、国民と政治がすごく離れしまったと感じています。国民と一緒に作る政治、言葉で言うとかっこいいですが、民主党を『国民政党』にする覚悟でこの党に入れてもらいました。

 今回の志位委員長の動きについて、民主党は読み違えていると思います。イデオロギーの問題だと捉えているから、『共産党とは一緒にやれないね』などと言っているのではないでしょうか。

 慶應義塾大学名誉教授の小林節氏が、『今は、お国のためだから手をつなごう。たかが閣議決定で憲法を踏みにじった政治を許してはいけない。主権者が声を出さなければだめ』と言っています。民主党は6月の憲法審査会で彼を参考人として呼んだのですから、その声を受け止めるべきです。

 国民を入れ込まない論議をやっても、政治なんか腐っていくだけです。多様な時代だから、一緒に考え解決策を見つけようというのが、『混ぜご飯のようにばらばら』と揶揄された多様な民主党の強みだと言っていいと思います」

▲日本共産党の番組にゲストとして出演した小林節氏
▲日本共産党の番組にゲストとして出演した小林節氏

左派、右派、中道、それぞれが論議をするための土台となる政党づくりを

岩上「インタビューが始まる前の打ち合わせで阿部さんは、民主党には中道左派が多いが、右派の声の方が大きく、執行部は右派に引っ張られているとおっしゃっていました。この点についてお話いただけますか」

阿部「長島昭久議員たちは、日米同盟主軸で、今後それをさらに発展させ、軍事も含めて日本が一部(国連PKOや有志国連合などの軍事)を担って行くという考え方を明確に持っています。

 長島議員のようなはっきりした主張を持つコアメンバーは、10人位です。維新との政策協議を担っている方は、どちらかというそちら系です。前原誠司議員、細野豪志議員などですね。金子洋一議員は、党のなかの論議ではあまり意見をおっしゃらない方です(※注)。

 長島さんなどは骨格がはっきりしているので、党内でも議論しやすい、と言えます。それに対して、リベラル・左派は、自分たちの骨格を表さないようにして、分裂を防ごうとするわけです。私は左派も、考えをしっかり出した上で論戦すべきだと思います。昔の社会党だって、右派と左派があったわけですよね。

 左派の側も、村山政権が『自衛隊は合憲』と言ったところで終わっていて、自衛隊をどうするか、国民が何を期待するか、そういったことについてずーっと論議してきませんでした。今、大事なのは、国民が自衛隊に何をして欲しいか、自分たちはこの時代をどう生きたいか、ということです。新たなステージが始まっているのではないかと思います。

 左派的リベラル派と右派、中道リベラル、各々自分をちゃんと主張しながら、論議ができる土台の政党づくりをしたらよいと思います」

(※注)民主党の金子洋一議員は、9月20日に自身のTwitterで「共産党などとの協力には大反対だ。根本的な考え方が違う。左右の全体主義に反対するのがわれわれの役目ではなかったのか」と発言している。その後、桜木町の演説会で市民から「野党共闘、お願いしますよ」と声をかけられた後、「これからはガードマン付けようかと思います。うちの元秘書に極真空手七段がいますが、彼に頼もうかな(笑)飯代掛かりそうだな(笑)」とツイートした。

民主党はもっと前に出て、胸襟を開き、「新しい酒の革袋」を作ることが大事

岩上「そのためにも、『臨時国会を開け』と声をあげることが大切ですね。それから、自民党が、あの自民党改憲草案をもとに明文改憲をやろうとしていることも阻止しなくてはなりません」

阿部「自民党は安保法制ができたその日から、『次の参議院選挙で3分の2を取って、改憲をやってやるぞ』といった具合に、次の戦略を持っています。他方、残念なことに今、維新の党は、政党助成金をめぐって内紛になっています。あれを見せつけられた国民は、野党に期待などできないと思います。

 維新の混乱状態において、もっと民主党は前に出て、胸襟を開いて、『新しい酒の革袋』を作り、『立憲民主』という枠で自らやろうと。譲ったっていいんです。それが、野党第一党の役割だと思うんです。

 野党をみじめにしているのも、民主党のこの英断のなさ、決断のなさ。一方、共産党はすごく踏み出したと思います。ここにきて、私たちはどうするのかが問われている。イデオロギー的には、間口が広くていいと思います。これからは、議論を出し合って作り上げていくという構えが必要ではないでしょうか」

「国民の声を取り込まないと、政治が終わってしまう」~比例区に「立憲民主党」という枠を作るべき

岩上「阿部さんはご自身のツイートの中で、『いっそのこと立憲主義だけを共通に、この指止まれで新しい政党になればよいのに』と書き込んでおられます」

▲10月15日の阿部知子議員のツイート
▲10月15日の阿部知子議員のツイート

阿部「合体した一つの政党になるというのが一番分かりやすいのだと思いますが、政党というのは歴史やいろいろな関わりあいがありますから、それは必ずしも容易でないと思います。だから、比例区だけでも、『立憲民主党』という枠を作って、そこにいろいろな党の候補者を入れ込んだらどうか、と思っているのです。

 この方法だと、団体系の候補者が得票数が多いため上に来てしまう。それでも、比例区の『立憲民主党』に、今回国会周辺での抗議活動に来ていた方々から候補者が出ればいい。私は国民の声をいったん入れ込まないと、政治が終わるという強い危機感を持っています」

岩上「なるほど。民主党でも共産党の応援団でもなく、立憲主義と民主主義の応援団だという方は、今回、たくさん現れました」

阿部「政治が危機的で、三権分立のうち、行政だけが肥大化しています。それ自身が戦争への道なんです。戦前は、大本営政府連絡会議で日米開戦を決めたわけです。議会、国民はそれに対してなにも関与できませんでした。司法も、なにも止められませんでした」

岩上「そして、メディアがそのお先棒を担いだ。今だってそうですよ。NHKがいちばんひどい」

阿部「多くの国民は、安保法政の廃案を求めていますが、その方法が分からないのだと思います。次の参議院選挙は、今の野党の政党支持率では勝てません。この選挙を国民参加で勝つための仕組みを、政党だったら提案すべきなんです。

 国民の野党に対する期待を盛り上げるための仕組みが必要だと思います。一人区は日本の保守政党・地域政党である自民党の影響が強い。そこで勝つためには、国民の野党に対する大きな期待が必要です」

一番大事なのは、国民が主権在民の状態を取り戻すこと

阿部「自民党の憲法改正草案は、人権蹂躙のオンパレードです。人権なんて概念はそもそもないんだと。戦後憲法の三本柱である、基本的人権の尊重、平和主義、国民主権をもろともつぶしていこうとするものです」

岩上「かつて右派と言われていた人は、明治憲法を理想化したりしますが、その中身は、国民一人一人の位置づけは『国民』でも『人民』でもなく『臣民』でした。天皇の永遠に忠誠を誓う従属物、ということです。人権ゼロだから、赤紙の一銭五厘で戦地へ行かされたのです。それを美化するのが、今の自民党じゃないですか」

阿部「国民が、自分たちの人権や、主権在民の状態を取り戻すことが一番大事です。平和の中身は、もちろん戦争をせず、恐怖や欠乏から免れるということですが、そこに至る道はいろいろあると思います。そこは、論議できる土壌をまず作らないといけないと思います」

岩上「安倍総理が発表した『新3本の矢』では、出生率1.8を目標としています。これについて、どのようにお考えですか」

阿部「『産め、産め』と言うけれど、女性達に産んで欲しかったら、安心して産めるような働き方、つまり、非正規雇用じゃないこと、(労働者が)簡単に首を切られないことが大事です。

 非正規雇用の方は国民健康保険ですが、育児休暇どころか、産前産後の有給休暇もありません。無給で休むなら別ですが、霞を食っては生きていけない。誰かの奥さんでそこで保証されているなら別ですが、出産の時は働けない。どうやって生きていけというのでしょうか?

 共産党は、確かにイデオロギー政党だとは言っていいと思います。でも、全体主義だという言い方で、この民主主義を取り戻そうという提案に反対するのは、私はおかしいと思う。すごく残念です。

 民主党では、臨時国会の開催要求街宣を各地でやりましょうということになっています。詳しくは党本部に聞いて下さい。近くでは11月4日、お昼ごろ、神奈川で街宣があります。

 比例区においては、この選挙で何が問われているのかわかりやすく示すチャンスだと思い、私は比例区の枠に『立憲民主党』を置き、本籍民主の人も『立憲民主党』の枠の中に名前を並べていく方法を提案しています。正しくは『届出団体』と言います。

 前の参議院選挙で、緑の党、みどりの風、未来の党がばらばらにやったので絶対当選しないだろうと思い、これを『みどり連合』という届出団体名を作って、原籍はみどりの風でも、緑の党でもいい、という枠を作ろうとして、できなかったんです。

 『立憲民主党』は、連合政府の橋渡しの役割を果たすものです。『その柱は何?』と言われたら、立憲主義と民主主義。だから『立憲民主の会』でもいいんです。参議院の比例区のための『届出団体名』です」

▲「立憲民主党」の構想について語る阿部知子議員
▲「立憲民主党」の構想について語る阿部知子議員

構想としては、小沢一郎氏が提唱する「オリーブの木」に近い

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コメント “「比例枠で『立憲民主党』を作る!」 来年夏の参院選に向け、民主党・阿部知子衆議院議員が秘策を披露~立憲主義と民主主義回復への道程について岩上安身が聞く

  1. ご意見に全面的に賛成申し上げます。今こそ小異を捨てて大同に付き。立憲民主主義の旗の元に団結すべきです。
    それが良心を持つ政治家とその集合体である政党の責任かと存じます。
    そうしないと、日本は道を踏み外し取り返しのつかない方向へ向かってしまうようで、恐ろしくてなりません。

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