TPPを考える国民会議「米国におけるTPPに関する実情調査団」帰国後記者会見 2012.1.16

記事公開日:2012.1.16取材地: テキスト動画
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(IWJ・西村)

※会見内容の文字起こしを会員ページに掲載しました。

 2012年1月16日(月)、東京都千代田区の衆議院第二議員会館で、「TPPを考える国民会議『米国におけるTPPに関する実情調査団』帰国後記者会見」が行われた。同会議の訪米メンバーは、米国政府機関や業界団体、労働組合、上院下院事務所など30カ所以上を訪問した。会見では、TPPが米国でどのように展開しているかについての調査結果、そして、日本側の意向をどのように伝えたかが報告され、今後の課題についても発表があった。

■ハイライト

  • 主催 TPPを考える国民会議

 はじめに、山田正彦元農水相は、今回の調査で米国に何を伝え、どのようなことが明らかになったかを報告した。まず米国に対して、日本でのTPP議論の状況、そして国会内では365名の議員がTPP反対であること、与党内では200名を超える議員がTPPに慎重であることを伝えたという。山田氏は、今回の調査で驚いたこととして、米国内でも、FTAなど自由貿易協定に関しては、2010年9月の世論調査で、米国民の69%が反対であったことを挙げた。さらに、「米国では、NAFTAなどの自由貿易協定により、500万人以上が失業した。米国にとっての自由貿易協定とは、今後も国内の格差を広げ、多国籍企業にだけ有益なものと理解されていることがわかった」と伝えた。

 また、首藤信彦議員は「議会においても、議員の多くは、TPP賛成反対どちらでも、地元からの圧力・意見を聞きながら、ネガティブな側面の理解を深めていることもわかった。さらに、『日本ではTPPは積極的に受け止められている』と米国の政府、諸団体が考えていることもわかったが、それは違うということも伝えた」と報告した。また、「米国の中でUSTR(米国通商代表部)の独走ではなく、2国間同士、議員同士、業界同士の協議が必要だと認識してもらえたことは成果だ」と述べた。一方で、「食肉業者、製薬業界、医療機器産業、ソフトウェア、サービス・金融分野といった知的財産権に関わる団体が、TPPを積極推進していることが明確になった」とも語った。

 さらに両議員は、USTRのカトラー代表補、マランティス次席代表とも面会し、「事前協議の段階で、米国はTPPで日本に何を求めているのか」と質問したという。しかし、両者ともTPPについて踏み込んだ話はなく、「あくまで日本の自由意志だ」と答えたという。また、知的財産権の中身については、「米韓FTAを見れば、それが日本に求めるものと同じ」で、「米韓FTA以上のハイレベルなものを日本には要求するだろう」という回答があったことも明らかにした。この米政府側の意向を知った調査団は、TPPは将来の日本に深刻な禍根を残すものであり、「今後はISD条項を含めた、米韓FTAについての研究・調査が急務だ」と語った。

 そして、山崎まや衆議院議員は「TPP参加によって日本の『国民解放権』が脅かされ、国民制度に多大な影響を及ぼすことが懸念される」と述べた。調査団からは、その他にも、日米の労働団体が連携する必要性があるとの意見が出された。また首藤議員は、TPPを推進しようとする米国(国務省)の真の意図については、「太平洋に安全保障共同体を作り、中国との間に溝を作ることにある」と説明した。さらに訪米時、米国務省は、TPP問題ではなく、イラン問題、北朝鮮問題を持ち出したことについても明らかにした。

 最後に、山田議員が「TPP交渉参加を阻止するために全力を注ぐ意志を固めた。今回の訪米で、TPP参加予定国と参加国の国会議員、各団体らが今年3月に東京で国際フォーラムを開きたいという話が出た」と報告し、「その実現に向けての準備に入りたい」と述べて、会見を締めくくった。

以下、会見内容の文字起こし

【山田議員】

山田「二つありまして、私ども与党民主党の中でTPPについてどんな議論が交わされているか、国会で今どういう状況にあるか、365名の国会議員が反対の請願をしている。与党だけで200名を超える議員が非常に慎重な立場を取っているということを、説明をすること。
 もう一つ。私どもが最も気にしていた『米国が何を日本にTPP交渉に参加して求めているのか、交渉参加までの事前協議で何を言ってくるのか』それを業界団体、医療機器業界、製薬業界、そういう方々と直接お話をして、その内容を明らかにする。そういうことでアメリカに行って、ワシントンで、いろいろな団体にお会いしました。
 政府機関でも世銀、世銀は国際機関ですかね、政府機関としては、通商代表部、国務省そういうところにマランティスさんとか、ズムワルトさん、誰だったかなあ。あのいわゆるキャンベル次官補の筆頭代理 に直接訴えて参りました。

(…会員ページにつづく)

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