自見金融大臣会見 2010.6.22
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自見大臣「おはようございます。」
今日は、閣議、その後に閣僚懇がございまして、(長妻)厚生労働大臣からですね、「我が国の自殺者は12年連続で3万人を超えている事態となっておりますが、政権交代後の9か月間はですね、連続して、(前年)同月比で減少している」という発言がございました。私も、本職は医師でございまして、この自殺率の向上、特に20歳代は、確か、主要死因の1位は自殺でございますから、そのことに大変、自由民主党だったときも胸を痛めておりまして、いろいろやったわけでございますけれども、結果としてですね、9か月間連続自殺者が減ってきたということは大変ですね、ありがたいことだと思っておりますし、(長妻)厚生労働大臣の発言によりますと、政権交代後、「コンクリートから人へ」の方針のもと、内閣府をはじめとする各省庁が、それぞれ緊急雇用対策ですね。これは、確かに、緊急雇用対策を従来の政権に比べればですね、非常に手厚くやっていると、私は思っております。「自殺対策など、人の命を大切にする政治を基本とする施策を積み重ねてきた結果ではないか」という発言がございましたので、一言、紹介させていただいておきます。
それから、金融担当大臣としてでございますが、改正貸金業法については、ご存じのように、先週の金曜日、6月18日に第4段階を経て完全施行されたところでございますが、完全施行に当たっては、改正貸金業法の円滑な実施のために講ずべき施策について検討を行うことを目的としまして、「貸金業制度に関するプロジェクトチーム」、大塚副大臣が座長になっていただいたと思いますが、最終的にですね、「借り手の目線に立った10の方策」、皆様方にも記者会見(等)でもうお配りしたと、こう思うわけでございますが、取りまとめたところでございます。
今回ですね、改正貸金業法を円滑に施行し、必要に応じ、速やかに適切な対応をですね、検討していくために、今日でございますが、金融庁の中、政府の中にですね、この「プロジェクトチーム」を代えてですね、「改正貸金業法フォローアップチーム」というものを設置いたすことに決めました。
「フォローアップチーム」の具体的な実施内容、及び、構成メンバーにつきましてはですね、皆様のお手元に、今、お配りしていると、こう思うわけでございますが、今後の「フォローアップチーム」といたしましては、改正貸金業法に係る、まず制度の周知徹底、これは、どうも前回の記者会見でも、「周知が足らないんじゃないか」とお叱りをいただいたわけでございますが、そういったことをですね、これまでよりも更に徹底していく。新聞、テレビ、あるいはメディア、インターネットを通じて、あるいは金融庁のホームページがございますから、そういったことを通じて徹底していくということと、それから、改正貸金業法の施行状況や影響についての、まず実態はどうなっているかと。いろいろ、新聞、テレビでも私も拝見をさせていただきましたが、実態はどうなっているのか、ということをですね、まずきちんと把握することが必要だとこう思いますし、それから、改正貸金業法に係る制度のフォローアップ・点検、この3本を柱に強力に推進していきたいと思っております。
金融庁といたしましては、このような取組みを通じてですね、改正貸金業法の円滑な施行に万全を期すとともに、改正貸金業法の完全施行後の状況の推移をよくフォローアップして、必要に応じ、速やかに適切な対応をしていきたいというふうに思っております。
ご存じのようにですね、施行を先週の金曜日にした後ですね、すぐ「フォローアップチーム」を作るということは。少なくとも、私も25年この世界におりますけれども、行政府が、そういったですね「フォローアップチーム」を作ったということはあまり記憶にないわけでございますけれども、政権交代したわけでございますから、今さっきも(言いましたが)、「コンクリートから人へ」ということもございますし、やっぱり、借手の目線に立ったですね、行政をやらせていただきたいと、こう思っておりますので、大塚副大臣にお願いしてですね、関係省庁は多数ございますが、金融庁を始め、消費者庁、あるいはですね、そういった意味で厚生労働省、あるいは警察庁、あるいはですね、等々と連携をとりながら、そういった形で事務方にも入っていただいてですね、一つ、金融庁を中心にですね、政府を挙げてこのことに取り組んでいきたいというふうに思っております。
私からの発言は以上でございます。」
問「幹事の朝日新聞から一つだけよろしくお願い致します。今の(改正)貸金業法の「フォローアップチーム」の仕事の内容についてなんですが、制度の周知徹底並びに影響の実態把握ということが書いてあるんですが、その「フォローアップ」という意味においては、何か現在の法律で不都合な点があれば、その見直しや追加の措置等々も踏み込んで、このチームはやっていかれるんでしょうか。その点をお願いいたします。」
自見大臣「大変、まさに核心を得たご質問だと思っております。当然、まず実態を把握することでございますが、そういったこともね、結果が出ればね、やはり借手の目線に立って(ということ)でございますし、特に、ご存じのように、個人事業者、あるいは法人というのは、除外と例外規定を作らせていただきましたけれども、これがなかなか周知徹底していないようなところも、新聞、テレビでもそういった記事、ニュースがございましたのでね、そういったことも視野に入れつつ、速やかに必要に応じてですね、必要な対処をしてまいりたいというふうに思っております。」
保険毎日新聞・園田「保険毎日新聞の園田です。
就任会見のときに、大臣が、「金融機関とか事業者の保護というのが大事だ」ということでおっしゃっていたと思うんですけれども、逆に、消費者の保護とか、ADR(裁判外紛争解決手続)とかも10月から動き出すので、その点についてどういうお考えを持っているのかをお聞かせください。」
自見大臣「両方とも大事だと思いますよ。要するに、やっぱり消費者、利用する人のきちんとした保護、一人一人血の通った人間ですから。あるいは、中小・零細企業であったり、大企業であったり、そういったことのきちんと利用者の目線に立った金融機関、それと同時に、やっぱり金融機関というのは非常にですね、安定していることが大事ですから、当然、経営の健全化だとか、同時にまた、メガバンクに至っては、もう国際金融になっているわけですからね、そういった中でもきちんとですね、使命を果たしていくことが大事で、どちらかとか、AかBか、という話ではなくて、AもBもですね、私は、極めて金融行政として大事だと思っております。」
フリー・岩上「フリーランスの岩上安身と申します。
昨日、菅総理の記者会見が行われまして、そこでもまた菅総理はギリシャのことを引き合いに出して、財政危機のこと、そして、その再建のためにですね、消費税の増税の必要性、その議論の必要性を強く訴えておられました。
しかし、ギリシャと日本というのは経済の基礎条件が全く違います。国債を発行しても自国内で消化することが可能な日本と、それができないギリシャとを混同すること自体、根本的に、何か誤謬(ごびゅう)があると思いますし、そういう形で国民に対して財政危機の不安感を煽るということ自体、非常に不見識ではないか、というふうにも思います。もし、亀井前大臣がおられたならば厳しく批判されているでしょうし、また、「もし消費税を上げれば連立を離脱する」というようなご発言を国民新党の党首としてされているというふうにも聞いております。
自見大臣はですね、国民新党の幹部のお一人として、また、しかし、菅政権の閣僚のお一人として、非常に苦しいお立場かもしれませんが、ご自身の見解、この菅総理がお述べになっているようなお考えについて、どのようにお考えになっていらっしゃるのか。消費税の必要性、議論の必要性ということについて、どうお考えなのかお聞かせいただきたいと思います。」
自見大臣「まさに時宜(じぎ)を得た質問だと思っています。
1点目は、もう皆さん方のほうがずっとご専門でございますが、日本とギリシャの置かれた環境というのはね、日本の国債は大変多額でございますが、95%は国内で消化をいたしております。一方、ギリシャは、日本の大体、経済規模20分の1ぐらいじゃないですか。多分、85%はね、海外で消化をしていたんですね。そういった意味で、大変、経済の規模からいって、また、国家全体でも、大変、日本には国際競争力の優れた企業もたくさんありますし、そういった意味では、一様に違うところもあるけれども、菅総理とされましてはね、ああいった国際会議に行かれて、やっぱり財政規律ということをね、非常に強く印象付けられたのではないかと。我が国民新党も、決して「財政規律はどうでもよい」などと決して言っておりませんで、何といいますか、国債を減らすには、まず経済をね、景気回復して経済を大きくしないと。ご存じのように、経済の全体のGDP(国内総生産)が分母に来て、分子に発行した国債が来ますしね。それから、もうご存じのように、八百数十兆円の国債がございますが、同時に、日本というのは外国にも大変たくさんの官民資産、200兆円以上の金融資産も持っていますし、それから個人の金融資産も1,300兆円、1,400兆円と言われるわけですけど、そういった状況はですね、必ずしもギリシャと同じじゃないですけれども、しかし、「財政規律」ということで言えばね、やはり、確かにそういったことを強く印象付けられたのではないかと。私は、直接、話は聞いておりませんけれども、そう感じております。
もう1点、消費税の問題ですけどもね、昨日の(菅総理の)記者会見を聞きましてね、我々は3党合意で、ご存知のように、この4年間はですね。当時、民主党、社民党、国民新党で、これは選挙の前にきちんと共通政策として6項目出しましたが、政権を獲得した場合、「政権を獲得した間は消費税を上げない」ということを明記いたしておりましてね、しかしながら、当然、菅総理の話もですね、これは言うなれば、今日も話がございましたが、一つの、やはり社会保障、今から高齢化社会に向かって「安定的財源が必要だ」ということは、もう皆さん方もみんなご承知のことだと思いますけど、そういった中でですね「消費税を含む税制改革をやりたい」ということでございますけども、私は、昨日のテレビしか見てませんけれども、「これは2年か3年か、場合によってはそれ以上かかる」というようなことを言ってましたのでね、同じ信義を。連立を組んでいる政党といたしましてね、何も菅総理から事前に連絡はございませんでしたが、これはこれでね、やはり政党の党首として、内閣総理大臣として、そういった問題提起をするということは、そこまでは、我々は、この連立の信義で、ほかの政党のことですから、そこまで我々がとやかく言うことは、やっぱり見識に欠けると思っておりますから。しかし、我が党といたしましては、ご存じのように、まず景気回復だと。その後、こういった、もうご存知の、小泉(元総理)さんの時代に国民の1人平均所得が100万円減ったということは、これはもう麻生内閣のときに公式に政府から発表していますからね。やっぱり、小泉(元総理)さんは「構造改革」と言いながら、結局はデフレになって、非常に、国民の所得も減る、経済も収縮したということは、皆さん方、ご存じだと思いますんで、そういったことをですね、「まずきちんと景気回復をして、その後、抜本的な恒久的財源を含むことをやろう」というのが、基本的に、国民新党のスタンスでございますから、そういった意味ではですね、私は、今日も総理が発言しておられましたが、「実施は2、3年後」ということを言っていましたのでね、そんな点では一致点があるのかなというふうに思っています。
昨日、亀井(国民新党)代表の話を私は聞いていましたけどね、「賢明な菅総理だから、すぐは実行には移されないだろうと思う」ということを言っていましたんでね。どうも最初の発言を聞くと、「もう、すぐに消費税を実行に移しそうだ」という話のようでございましたが、私も、この前テレビで、日曜日の「新報道2001」で言わせていただきましたけどね、橋本内閣のとき、消費税をですね、3%から5%に上げたときに閣僚でございましてね、まさにあのときにダーンと。それから、医療保険の自己負担分を上げましてね、合計で国民負担を11兆円増やしたんです。それまで「少し景気が好い」と言っていた。まあ、これは大蔵省等々の推計でございますが、「(景気が)好い」と言っていたのがね、ドーンと、もう奈落の底に沈みましてね、山一証券が崩壊する、北海道拓殖銀行が破綻するというような、実際、そういった目に遭っていますからね。やっぱり、そこら辺は、「経済の全体の動向等を踏まえてですね、国民負担ということは慎重に考えていく必要がある」というふうに、私は、日曜日にも申し上げましたけどね、そういったことはきちんと、やっぱり経済があって税収が増えるわけです。
橋本(元総理)さんのときにね、2%消費税を上げましたんでね、大体、あのころは少し経済が小さかったので、2%上げて4兆円増税になったんです。そうしたら景気が悪くなりましてね、法人税と個人所得税が減りましてね、(税収が)6兆5,000億円減ったのです。そうしたら、差し引きが、結局、歳入で減っちゃったんですよ。そういうこともございますからね、やはり、常に経済を拡大させる、拡大均衡させていくという前提のもとでね、やはりこういう税制というのは考えていく必要があると、私は思っております。」
世界日報・野村「世界日報の野村と申します。
消費税の増税(の話)が先行されているような感じなんですけれども、「やはり景気回復」ということを先ほどおっしゃられたんですけれども、そのために国民新党が、景気対策ということで、特別会計の見直しを中心としたですね、景気対策を打ち出されていらっしゃると思うんですけれども、「そういう財政構造、あるいは特別会計の見直しといったことが、もっと先にあって然るべきではないか」という意見がありまして、私もそのように思いますけれども、この点についてはいかがでございましょうか。」
自見大臣「その辺は、ご存じのように、事実として申し上げれば、平成21年度の補正予算ですね。政府が出した原案は2.7兆円でございましたが、国民新党はこういったデフレの中で…。完全失業者も300万人近くいますし、雇用調整助成金を貰っている方も200万人(*金融庁HPでは100万人)近くおられるわけですからね。景気も、決して「自律的回復をした」というような状況でないということは皆さん方が一番よくご存じだと思いますから、そういった中で、やっぱり、「2.7兆円では少な過ぎる」ということで、あのとき、基本政策閣僚委員会で亀井静香大臣(国民新党代表)が大変強く主張しましてね、7.2兆円に景気対策の補正予算が増えた、ということは、皆さん方、記憶に新しいと思いますけれども、そういった意味でですね、折に触れてきちんとですね、そういう路線は主張していきたいというふうに思っております。
特に、また特別会計の話はね、もう言われるとおり、3年前ですか、財務省は「日本国に霞が関の埋蔵金など一切ありません」と断言して、私もよく覚えておりますけど、当時の園田博之自民党政調会長代理が「そのとおりです」と、新聞のどこかの囲み記事に載っていましたけどもね、あれから既に、ご存じのように、外国為替(資金)特別会計、あるいは財政投融資特別会計等々から、もう20兆円出てきたのではないですか。本年度予算、それからその前の予算もね。ですから、やはり、私は、特別会計というのはしっかり考えていくべきだと思っております。」
東洋経済・浪川「東洋経済の浪川と申します。
成長戦略を出されましたね、政府が。その中で、金融戦略というものも出されたわけですけれども、その中で、「金融自身も成長産業として発展できるよう、市場や取引所の整備、金融法制の改革等を進め」という文面があるんですが、この文面に沿ったものは、この間、金融庁はこの検討に加わっていたのかということと、もう一つ、この「金融法制の改革」というのは、今後、どういう形で、どう検討していくという方法があるのかということを。」
自見大臣「分かりました。それは、この間も申し上げたかと思いますが、総合取引所と申しますか、今、証券、金融、商品ですね。ご存じのように、「商品」と言いますと、大体、これは農水省と経産省でございますが、そういった垣根を取り払った総合的な、要するに、「総合取引所を作ろう」という考えでございましてね、今まで会議はまだあんまり進んでいないんだな。」
大塚副大臣「まあこの検討自体はやっています。」
自見大臣「政務(大塚副大臣、田村大臣政務官)を中心にやってきているということでございますけれども、これは、いよいよ具体化をきちんとですね、成長戦略を閣議決定させていただいたわけでございますから、鋭意、取り組んでいきたいというふうに思っております。」
問「確認です。取引所の総合化のため(だけ)の金融法制の改革ではないですよね。「取引所の総合化と並行して、他にも金融法制の改革をやっていこう」という理解でよろしいのですか。」
自見大臣「要するに、今までバラバラであった取引所をですね。例えば、先物取引であれば農林水産省と経産省の所管だったと思いますし、証券、金融というのは、主に、昔で言う大蔵省、今の金融庁が所管でございますが、その辺の「一体的な、総合的な取引所を作ろう」、「省庁の垣根を越えてね、きちんと作ろう」という考えでございます。」
問「もう一度確認します。「金融法制の改革等を進める」というのは、総合的な取引所を作るための法制の改革なのですか。」
自見大臣「そうですね。それも一つ、当然、入ってきます。
問「ほかにもあるんですよね。」
自見大臣「それは、いろいろ。やっぱり、金融そのものが成長戦略という、金融そのものが大きくなることが成長でございますので、それは、もう浪川さんのほうがよくご存じだと思いますけども、総合的な取引所の創設と制度、それからプロ向けの社債の発行だとか流通市場の整備、それから将来の成長可能性を重視した金融機関の取組みの促進、個人連帯保証に依存しない金融慣行の確立ですね。これは、もうご存じのように、中小企業というのは、大体、社長がお金を借りるときは家屋敷を担保に入れてますからね、倒産をすれば。まあ、私の親戚でもたくさんそういう例がございますが、家屋敷がなくなってね、再び立ち上がれないという日本の経営者、それが今の金融の実態でございまして、そういった中で、やはり個人の連帯保証に依存しない金融慣行、「目利き」と申しますか、「この人が優れた経営者だ」と。戦前は、そういうことが普通だったらしいんですけどもね。いつの間にやら、土地さえあれば金を貸すということになりまして、逆に、金融機関の「目利き」と申しますか、「その企業を見る目というのがですね、だんだん退化していった」とは言いませんけれども、「非常にその能力が少なくなってきた」という話も仄聞(そくぶん)するわけでございますね。そういった意味で、これは、もうご存じのように、なかなか、言うは簡単で行うは難しい話でございますけれどもね、やはり、気長にそういうことをやっていくことがですね、必要だというふうに思っております。」
問「刑事告発した日本振興銀行に関してなんですが、日本振興銀行の社外取締役には自民党の議員が名を連ねていると。(社外取締役を)お辞めになっていたら、こういう質問をするのは失礼なので、今朝、ホームページで確認しましたけれども、まだお名前があったんですけれども、こういうことについて、大臣はどういうふうな感想をお持ちでいらっしゃいますか。」
自見大臣「私も、その事実というのは書類では見ましたけどもね、それは、それぞれの議員の。議員というのは国権の最高機関でございましてね、議員でございますし、それぞれの選挙民から選ばれたわけですから、それは、それなりのきちんとした、本人がしっかりですね、本人のことはきちんと本人で考えるべきだと思っていますよ。」