自見金融大臣会見 2010.7.6
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自見大臣「今日は特別ございません。」
問「報道各社の世論調査によりますと、大体、菅内閣の支持率が40%前後ということで、発足から一月で20ポイント近く低下しました。選挙中ということもありますが、内閣の一員としてですね、この現状、原因についてどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。」
自見大臣「私は、内閣の支持率というのは。まあ、もう私も(政治家を)25年やっていますんでね。その時々の世論調査は上がったり下がったりしますよ。当然、国民の世論、あるいは支持というのは、非常に、民主主義社会ですから、尊重はしなければなりませんけど、下がった、上がったということでいちいち、私は、やはり閣僚の一人としてコメントするのは適当ではないと思っています。」
問「大阪府のほうででですね、改正貸金業法に絡んで「貸金特区」という構想が浮上しておりますけれども、その件についての所見をお願いいたします。」
自見大臣「私も、新聞で「大阪府特区構想」という新聞記事は見ましたけれども、具体的な内容はまだ金融庁としても把握しておりませんので、具体的なコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
ただし、一般論として言えばね、ご存じのように、特定の地域においての、出資法の上限金利を上回るような貸付けが刑罰の対象から除外することになれば、出資法の上限金利を引き下げた趣旨を損なうという。一つの日本国でございますから、地域によって刑罰が異なることになり、日本国の中であれば、当然、法治国家でございますから、法の公正性に反するんではないかというふうに一般的には考えております。
また、改正貸金業法は、多重債務問題、ご存じのように、これを解決しようということで、過剰貸付けの問題等に対処し、国民が安心して利用できる消費者金融市場を形成することを目的としたものでありましたが、一部の地域、今、大阪府の特区構想というのは新聞記事では読んでおりますけれども、総量規制等を緩和することは、法のですね。やはり、法というのは、日本国、基本的に平等であるべきですから、法の潜脱につながり適当ではないんではないかというふうに、私は、今、思っております。
ただし、今さっき言いましたように、具体的な内容はまだ把握しておりませんから、何か7月6日か何かが期限で国に出す、各都道府県の特区構想の期限だということをお聞きしておりますので。具体的なことは分かりませんので、コメントは差し控えたいというふうに思っております。」
フリー・岩上「フリーランスの岩上と申します。よろしくお願いします。
先日、G20が行われましたけれども、そちらのほうでですね、日本がですね、先進国の財政赤字削減目標で例外扱いになった件について、「日本はあまりにも赤字がひどいから例外扱いになったのだ」というような報道とか論評というものが随分出回りました。しかし、実際にはどうだったのかというと、「日本はですね、財政状況について差し迫ったリスクは全く見受けられない」と。これはIMF(国際通貨基金)のストロス・カーン専務理事が会見で述べた言葉であって、むしろ日本は健全な財政を保っているためにこの財政健全化問題で例外扱いをされたと。全く違うことが後で分かってきたんですけれども、こういう誤報とか、為にするようなネガティブキャンペーンのような報道が延々続けられていることについて大臣はどうお考えなのか。
また、日本の財政は健全であるとお考えであろうか、この2点をお話し願いたいと思います。」
自見大臣「私はですね、プレスの方がいろいろと言われるのは憲法上の言論の自由ですから。自由主義国家においては、基本的に言論というのは自由ですから、いろいろな解釈の仕方があると思っていますが、私もその辺は詳しく知りませんけども、日本は、ご存じのように、八百数十兆(円)の国債がございますが、内外ともに約250兆(円)ぐらいの海外の資産がございますし、500兆(円)近い金融資産が政府に今ありますし、それから、個人の金融資産も1400兆(円)ぐらいございまして、ご存じのように、国債も95%全部国内で消化をさせていただいております。
そういったことを考えて、いろいろな見方があるかと思いますけれども、必ずしもこれは。G20で大きく問題になったのはギリシャの問題だろうと思うんですけどね、ギリシャは、確か85%ぐらい国債は海外に買ってもらっていたというふうに。経済の大きさがですね、確かギリシャは日本の20分の1ぐらいだと思いますので、そういったことを総合的に見ればですね、確かに、この財政の八百数十兆(円)の国債というのは大きな国債ですけれども、経済全般、あるいは財政全般を広い視野で見ればね、私は、日本が、即、極めて危機的な財政危機になるとは、私は思っておりません。
やはり、経済財政というのは経済の一部ですから、やはりその辺を総合的にですね、広い視野で見ていく必要があると。そこら辺を「日本だけ例外」ということはありましたが、世界で2番目に大きな経済国、今でもやはり、中国に追い抜かれるという話もございますけれども、やはり、現実にアメリカに次いで2番目に大きな経済国家は日本ですからね、そこら辺を総合的に勘案していると思います。ただし、財政規律ということは常に大事なことですから、そういったことはですね、きちんとですね考慮、当然ですけれども、考慮していく必要があると思っています。」
問「大変、日本のデフレというものが心配な状況になってまいりました。地価が大幅に下落をしております。地価の下落というものは、すべての物価の下落の基礎になるものであって、都心ではですね、20%下落しているところもあります。前年度に比べて。これは十数年ぶりのことです。大変なデフレがですね、また改めて深刻化してきたという局面にあるわけですけれども、こうなると財政出動がですね、必要になってくるのではないか、というふうに思われるのですが、そういうタイミングにおいて財政を絞り込んで、そして消費税を上げるという選択肢、こういう政策を掲げる菅政権のあり方というものをいかがご覧になっていらっしゃるでしょうか。」
自見大臣「今の消費税の問題、あるいはデフレという問題は、今の民主党、国民新党、当時、社民党でしたが、デフレということをはっきり認めてですね、デフレを脱却しようということが、今、政府の大きな目的でございますから、それに向かって邁進しているというふうに、私は思っております。当然、デフレですから、どんどん経済が縮小していきますね、ご存じのように、亀井前大臣が言っておられたと思いますが、10年ぐらい前のGDP(国内総生産)に比べれば今の日本のGDPは大変縮小しておりますしね、そういったことから、やはり「拡大均衡」と申しますか、一般論として言えば、経済が拡大均衡していくことを、そういった政策が必要だと思っていますが、よくお分かりのように、財政出動と財政規律というのは、なかなか、相矛盾するところがございましてね、そこら辺が、今の経済政策で非常に、私は難しいところだろうと思っております。」
世界日報社・野村「世界日報社の野村でございますけれども、お世話になります。
菅内閣の支持率が下がった大きな原因として消費税増税の問題があるのんではないか、と個人的には思っておるのですけども、国民新党さんでは、「当面、消費税増税には反対」ということでございまして、民主党さんは、公約に事実上消費税増税ということを盛り込んだような形になっておりますけれども、その消費税の扱いの問題をめぐって、国民新党さんが連立を離脱するというふうな可能性というのはあるのでしょうか。」
自見大臣「ご存じのように、6月4日ですか、菅民主党代表と亀井静香(国民新党)代表が署名しましてね、「三党合意は引き続き尊重する」ということはきちんと入っていますからね、三党合意、その以前の8月16日でしたか、8月30日投(開)票の(衆議院)選挙の、確か4日前に、当面の衆議院選挙に当たっての「共通政策」というのを民主党と社民党、国民新党で作らせていただきました。6項目ございますが、そのとき私は(国民新党の)政調会長でしたのでね、よく内容は覚えておりますが、「当面、消費税は5%から上げない」ということを明記してありますからね。そういった意味でですね、我々は。議題にすること、話題にするということはいろいろあっても、菅総理も「もし消費税を上げるということになれば、次、総選挙をして、衆議院を解散してやる」というようなことを言っておられるというふうに、私、新聞報道、テレビ報道ですけども聞いておりますので、決して、今の三党合意と矛盾したことではないというふうに、私は思っていますね。」
問「今、暴力団とのつながりが指摘されている大相撲の件なんですけれども、公益法人としての適格性について、今、「認可を取り消すべきではないか」みたいな議論がありますけれども、それについてどう思われているのか。
それともう一つ、19人の力士が、今度、週末の名古屋場所を休場することが決まりましたけれども、どういったことに期待するのか。」
自見大臣「反社会的勢力との結びつきというか、私も、新聞、テレビの報道しか知りませんけども、私も小学校のときから大の相撲ファンでございましてね、大変残念なことだと、こう思っております。ただし、いろいろ、私はもうほんとに詳しいことは、文部科学大臣ではございませんから、知りませんけれども、本当に残念なことだと思っていますけれども、しかし、きちんと。理事長代行に東京高検の検事長さんがなられたということは、記事を読みましたけれども、襟を正すところはね、きちんと襟を正して、また再びね失われた。特に、相撲ファン、私も子どものころから大好きでしたから、相撲が。取り戻していただきたいなというふうに、私は思っております。
問「ゆうパックにですね、大量の遅れが出ておりまして、国民の生活にも影響が出ているかと思うんですが、この問題について、報告が遅れた、公表が遅れたことも含めてご所見をお願いいたします。」
自見大臣「これは、基本的に、よくお分かりのように、総務省の管轄でございますからね、今回の混乱、基本的には総務大臣の話だと思っておりますので。私は郵政改革(担当)大臣でございますから。しかし、ご存じのように、ゆうパック事業とペリカン(便)事業につきましては、当時の総務省の日本郵政ガバナンス問題調査専門委員会の報告書にもですね、ゆうパック事業とペリカン(便)事業との統合については、西川日本郵政社長(当時)において、統合について慎重だった郵便事業会社首脳陣に知らせないまま、平成19年10月に日本郵政・日通間の基本合意書を締結するなど、経営判断として合理性を大きく逸脱していると認められる旨、日本郵政ガバナンス問題調査専門委員会の報告書において、これは平成22年5月に指摘されていると思いますが、私は、これは総務大臣の所管でございますから、あまり細部にわたってコメントする立場にないんですけれども、13年前、あるいは12年前郵政大臣をした人間としましてはね、そこら辺が、非常に問題があったのかなと思っております。」
不動産経済研究所・中澤「不動産経済研究所(不動産経済ファンドレビュー)の中澤と申します。よろしくお願い致します。
先般、新生銀行に対して業務改善命令が出されましたけれども、その中で不動産関連のリスク管理の問題が指摘されていましたが、とはいえ、不動産関連融資は、地価の下落の中で、非常に裏・表でですね、不動産関連融資というのがあって初めて地価の下落も食い止められるという側面もあるわけなんですけれども、何かそういう不動産関連融資に対してご所見があれば教えていただきたいと思いますが。」
自見大臣「不動産関連融資についての所見という話ですが、それは個々の企業がね、個々に判断することであって、金融担当大臣としていちいち、それは個々の経営判断ですから。私は、20年前に土地基本法を作ったときに、石井一(参議院議員)さんが国土庁長官で、私は国土政務次官でしたけどね、あのときのいろいろ、政治家としてのいろいろな反省、あるいは勉強をさせていただいたことはございますが、個々の不動産関連の投資についてはコメントする立場にないと思っています。」
不動産経済研究所・中澤「全般的にはどうですか。全般的に、日本の金融市場の中では、やはり不動産というのは担保融資ということがあって、非常に重要な側面を持っているわけですけれども、今のようなデフレの中ではですね、どうしても萎縮していくような環境があるわけですけれども。」
自見大臣「それは、今さっき言いましたように、デフレ脱却ということが今の内閣の大きな目標でございますしね。しかし、私も一政治家としての感想を申し上げれば、20年ぐらい前、海部内閣のときに土地がどんどんどんどん高騰するという。これもやはり、あのときは、一般の真面目に額に汗しておられる方々は一生持ち家を持てない、というような時代でもございましたからね、あの時代は。そういったことを考えれば、やはり土地というのは、当然ですが、ある程度公共性がございますからね、そこら辺で、経済政策でも、当時はね、土地本位制だとか、そんなことまで言われた時代が20年ぐらい前にございました。あれも行き過ぎだし、また、しかし、あんまり。また、それはもう基本的に需要と供給で決まる経済の話でございますからね、そこら辺もやっぱりデフレ脱却ということを考えて、いろいろと考えていかねばならないところもあるのかなと思っていますね。」
問「今日、最高裁の判決で、死亡保険金を分割して年金として受け取る収入保障保険というのがあるのですけれども、「それに所得税を課すのは二重課税に当たる」ということで、国の敗訴が確定しました。大手生保の中には、契約件数が200万件を超えているところもあるようで、システムの変更だとか顧客への説明とか、経営への影響を懸念する声もあるんですが、その辺についてどのように見ていらっしゃいますか。」
自見大臣「最高裁判所の判例が出たという話でございますか。ちょっとそのことは詳しく把握しておりませんので、次回でもきちんと。当然、最高裁判所の判決は重たいものでございますし、しかし、やっぱり生命保険というのは非常に国民に身近なもんでございますから、やはり安心をですね、買うということが基本的に生命保険でございます。また、生命保険をめぐる課税の問題はね、いろいろ、昔から難しいというか、昔から課税当局と保険と、私も自民党のときは税制調査会の副会長を10年近くやっておりましたのでね、いろいろ複雑な問題があるというふうに基本的には認識しておりますが、その個々の問題については、最高裁判所の判決ということは、今、承知しておりませんので、次回、きちんとしたコメントを出したいと思っております。」
東洋経済・浪川「東洋経済の浪川ですけども。
この間、6月18日に出された新成長戦略なのですが、その金融戦略の部分でいろいろ記されているのですけれども、所要の改革を2010年中に行うということだったですね。2010年は今年ですよね。」
自見大臣「実施は先ではないですか。2年先ではなかったですかね。」
東洋経済・浪川「いずれにしても今年で、もう夏で、(今年も)半分終わっちゃってる状況で、これから、例えば、金融庁でどういうような組織というか、受皿の公聴会を開いていくのかとか、そういう具体的なものはあるんでしょうか。」
自見大臣「いわゆる総合取引所といいますか、証券と金融とそれから商品でしょう。その総合的な取引所を作るということをこの前の成長戦略に書いて、それを具体的にどういう道筋で作っていくのか、という質問ですかね。」
東洋経済・浪川「いえ、違います。それはもう工程表が出されておられると思うんですけれども、「中小企業に係る会計基準・内部統制報告制度の見直し、四半期報告の大幅簡素化など、所要の改革を2010年中に行う」というふうに文面があるのです。」
自見大臣「2010年もまだ長いですから。ただし、基本的にね、私は、中小企業というのはやはり、海外から(の資金調達の必要がない)上場しない中小企業は多いですし、私は特に北九州市ですけどね、たくさんの中小企業がありますが、上場していない中小企業、しかし、非常に良い技術を持ってね。中小企業というのは、技術力だとか機動性だとか、そういったところに非常に優れたところがあるわけですからね。一部上場(の)企業でもない、上場していない中小企業もたくさんあるわけですし、そういったところで必ずしもですね、一般の株式上場している大企業とは違う、やはり中小企業庁というのもあるわけですし、中小企業金融円滑化法というのも亀井(前)大臣のもとで作ったわけですからね。そういったことを踏まえつつですね、今、2010年中に具体的なアクション・プランを作成中でございます。もうちょっとお待ちください。」
東洋経済・浪川「それはどこが作成しているのでしょうか。教えてください。」
自見大臣「金融庁です。アクション・プランを作成中でございます。」
東洋経済・浪川「分かりました、どうもありがとうございます。」