【IWJブログ】京都府知事選、山田啓二候補は取材拒否 尾崎望候補に聞く「府民の生活と安全を守る」政策  

記事公開日:2014.4.6
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特集 京都府知事選挙2014

 本日4月6日に投開票が行われる京都府知事選は、自民党と民主党の京都府連、および公明党が推薦する現職の山田啓二氏(60)と、共産党が推薦する新人で医師の尾崎望氏(59)との一騎打ちとなった。

 IWJは山田啓二候補に対し再三インタビューの申し込みを行っていたが、山田候補陣営は全て拒否。また本日、開票時の選挙事務所での取材申し込みも拒んだ。中継も録画撮影もペン取材もすべて「拒絶」。異常な対応であると言わねばならない。

 当初、IWJの取材申し入れに対して「検討する」と応答していた山田候補の選対事務所だが、その後「非記者クラブのメディアからの取材申し込みが多いので、取材は記者クラブに限定する」などと回答。「非記者クラブのメディア」に対し取材の機会を一切与えない、記者クラブメディア偏重の姿勢をあからさまにした。

 一方、尾崎望候補は3月12日に岩上安身の単独取材に応じ、自身の掲げる「府民の生活と安全を守る」ための主要政策について語った。地域経済の振興、貧困対策、福祉の充実など主要な政策方針を示すと同時に、山田氏が知事として許可を出した米軍施設「Xバンドレーダー」の京都丹後半島への配備計画に対して明確な反対の立場を表明した。

【京都府知事選】府民の「生活」と「安全」を考える政策を ~岩上安身による尾崎望候補インタビュー

  • 記事目次
  • 「全国最悪」の京都経済
  • 「文化は政治で支えないと維持できない」
  • 地域重視の「中小企業振興条例」
  • 貧困の連鎖を断つ:横断的な「子ども貧困対策部署」を設置
  • 安定の福祉
  • 「安全な原発はない」
  • Xバンドレーダーは日本を守らない
  • 「規制緩和」「大企業優先」には反対
  • 現職山田候補との一騎打ち

「全国最悪」の京都経済

岩上安身(以下、岩上)「尾崎さんは、京都の経済は全国で最悪だと指摘されていますが」

尾崎望氏(以下、敬称略)「京都は99%が中小企業の街です。75%の人が中小企業で働いている。しかしここ3年、12万社のうち1万社が廃業している。非正規率は41%。97年から一人あたりの年間給与も75万円下落。
 
 四条河原町など、一見伝統的な町並みだが、昔ながらのお商売人さん(おしょうばいにんさん)の多くは姿を消し、ほとんどが東京・大阪資本。京都はシャッター通りが本当に多い。伝統的な商売を支えるためには行政による支援が大事だが、今の京都府政は残念ながら大企業優遇」

「文化は政治で支えないと維持できない」

岩上「京都には伝統と文化があり、それを基盤として経済活動も育まれてきました。そのような歴史的に厚みのある生活文化に根付いた商業活動が、やすやすと市場競争で打ち負かされるような印象は持てないのですが」

尾崎「現実には、西陣織に代表される京都の着物・反物というのも、アジアから安い織物が輸入されることによって圧倒的に売れなくなっています。また、付加価値の高い宇治茶なども、安いペットボトルにおされて売れなくなっている。文化というのは政治で支えないと維持できないのです」

岩上「では、観光都市としての京都の現状は?」

尾崎「京都全体には、年間で7600万人の観光客が訪れる。しかし彼らに京都を見せるだけでなく、文化と一体となって体験していける場を政治が支えて提供しないと、観光業として成り立たない。単なる通過地点となってしまう。

 実は、京都の宿泊施設も東京資本が多い。文化を政策的に支えて、その生活を体験してもらうような取り組みにしないと、観光客は安くて便利な大資本のホテルに流れてしまいます」

岩上「日本は観光立国を掲げていて、京都などはそのコンテンツとして最たるものですが……」

尾崎「文化財の補修・保護への補助金はかなり少ないのが現状です。これも国や府がもっと支えないといけない」

地域重視の「中小企業振興条例」

岩上「この『最悪』の経済を立て直すために、どのような政策をお考えですか」

尾崎「『中小企業振興条例』として、道路、河川、学校の改修など、府の公共事業を地元の中小企業にお願いする政策を考えています。
 
 また、賃金に関しての政策では、『公契約条例』を採り入れ、公的な発注に関しては下請け孫請けも最低賃金を1000円にします。

 発想の根本にあるのは、商店街を大切にしようという考え。地域のお祭りや運動会は商店街が主体。また高齢化の進む過疎地などでは、大手のショッピングセンターに車で運転して行くのは難しい。これからは地元の商店街の復活が欠かせません」

貧困の連鎖を断つ:横断的な「子ども貧困対策部署」を設置

尾崎「小児科医としてこの5年、子供の貧困問題が深刻であることをひしひしと感じています。喘息などきちっと薬を飲まないといけない病気がある。しかし薬を親が飲ませなれないケースが増えている。

 またお風呂に入れてもらっていない子供もいる。そのような家庭の親は、仕事がなく余裕がない。雇用の不安定が、親から子へのDVやネグレクトにつながっている。京都は恥ずかしいことに子供の貧困率を出していないが、それに代わる統計で就学援助率が20%を超えます。

 この対策として、横断的な子どもの貧困対策の部署を作り、現時点で困難な状況に置かれている子供を直接ケアする態勢を整えます。同時に生活保護の捕捉率を高め、就労訓練を拡充することで、根本から貧困を撲滅する取り組みを強化していきます」

安定の福祉

岩上「医療福祉の安定も重点政策の一つとして挙げられています」

尾崎「福祉切り捨ての政策を政府は進めているが、特に高齢者にしわ寄せがきてします。また生活保護の切り下げに直面し、どうやりくりしているかを調査しましたが、『食事の回数を2回にする』など、途上国並の生活を強いられている。

 国の補助が減っている国民健康保険は、支払いは収入の10%に達しており、払えないという人が増えている。これを府の無駄を省くことで一部負担できると考えている。病気になっても病院に罹れないというケースをできるだけ減らしていきたい」

岩上「一部では福祉に群がる高齢者は金持ちだ、というプロパガンダが広まり、福祉・社会保障の削減が図られていますね」

尾崎「実態とは全然違います。不正受給は全体の1%もない。1%の不正受給があったとしても、貧困で命を失う人を救う方が大事です。高齢者にしても、一部に資産家がいるのは事実だが、多くを占めるのは月に3~4万円で暮らしている高齢者。持ち家があるために生活保護が受給されないなど、かなり苦しい生活を送っている高齢者が多いのです」

「安全な原発はない」

岩上「その他の重点政策として『原発ゼロ』も掲げてらっしゃいます」

尾崎「福島第一原発事故の教訓は、安全な原発はない、ということです。

 私は小児科医として、福島からの避難者を検診させていただいています。親御さんの一番の不安は、放射能を浴びたことによる甲状腺がん。検診した限り、のう胞はあったが幸いがんはなかった。避難者のほとんどが母子避難です。その多くが故郷との股裂き状態にあり、精神的ダメージが大きい。

 そうした状況にありながら、国は原発を『ベースロード電源』として推進の姿勢を捨てないなど、逆行した政策を取っている。福島の教訓を全く活かしていない。

 京都に原発はなく、関電の株主ではないが、隣県の福井県には14基の原発がある。原発立地県ではなくても、原発再稼働に反対を意思表示をすることは大事。大飯・高浜原発20㎞圏内の人口は、福井県民より京都府民の方が多い。しかし避難計画ができていない。

 大飯再稼働の際も、関西広域連合で嘉田滋賀県知事と山田京都府知事が『限定的ならば仕方ない』などとゴーサインを出したことが再稼働へつながってしまった。関西広域連合での福井県知事以外の発言がとても大事になる」

Xバンドレーダーは日本を守らない

岩上「ところで、京丹後市に米軍のXバンドレーダーを配備するという話が出ています。このレーダー施設は北朝鮮からのミサイル攻撃の追尾が可能だとされています。つまり配備がなされれば、国際的な安全保障体制の中で京都に重要な戦略拠点が生まれるということになります。

 今後、安倍内閣の解釈改憲を経て集団的自衛権の行使が容認され、日本が米国と戦争を遂行する事態になった場合、京都のXバンドレーダーが一番最初に攻撃される可能性が出てきます」

尾崎「現知事は『国が安全と言うなら』とXバンドレーダー配備にゴーサインを出してしまった。しかし、米高官もこのレーダーで米国は守れても日本は時間的に難しい、と言っている。

 もし米国が他国と戦争を始めたら、最初にミサイルを打ち込まれるのは日本にある米軍基地。集団的自衛権もXバンドレーダーも全てが米国の核戦略の一つのピース。それに日本が、京都が加わってはいけない。

 一番問題なのは、これだけ国防と府民の安全に関わる問題なのに、現知事が府民にXバンドレーダーの説明を全然していないことです。レーダーと言っても通じない。『米軍基地ができるんですよ』と言ってやっと通じる状態なのです。

 だから原発のこと、Xバンドレーダーのこと、憲法を守ろうと言っている人を知事に選ぶかを、私は今府民に問うている。しかし残念なことに前回の選挙でも有権者200万人のうち、投票に行かれたのは80万人しかいませんでした」

「規制緩和」「大企業優先」には反対

岩上「関西圏に『国際競争力の強化』を掲げて推進される『イノベーション特区』が作られようとしています。グローバルな新自由主義、大企業優先主義が京都にも覆いかぶさっています。その最たるもののTPPや、先駆けとしての国家戦略特区などについて、どういった意見をお持ちですか?」

尾崎「大阪・京都で『イノベーション特区』を作り、税制優遇・規制緩和で大企業優先政策をやろうとしている。これにはもちろん反対。韓国でも医療特区が作られ最新鋭の病院が作られたが、そこを利用できるのは一部の富裕層で地元住民は利用できない状態です。

 大企業への『規制』が生まれた訳は、市場経済を野放しにしていたら一部の企業だけが富を独占し出すという背景があるためです。これを抑えようという歴史の中で『規制』が生まれた」

現職山田候補との一騎打ち

岩上「山田現知事との一騎打ち。山田府政とはここが違うという点はどこでしょうか?」

尾崎「私は原発再稼働に反対であること。そしてXバンドレーダーについては、これを容認しないということをはっきり言っていきたい」(了)

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