岩上安身によるインタビュー 第54回 ゲスト 元大阪高等検察庁公安部長・三井環氏 2010.10.2

記事公開日:2010.10.2 テキスト動画独自
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(IWJテキストスタッフ・関根かんじ)

 2010年10月2日(土)、岩上安身が、三井環氏へインタビューを行った。FDの日付改ざんに端を発した検察の不祥事は、担当の主任検事逮捕から前特捜部長、副部長逮捕という事態に発展した。岩上が、事件の構図、検察の問題、検察改革の可能性などについて、元大阪高等検察庁公安部長である三井環氏に、いろいろと話を聞いた。

■ハイライト

 冒頭、岩上は「検察とは、国民にとって無謬の神話に包まれていたが、ここに来てガラガラと、その神話が崩れてきた。今回の郵便不正事件の無罪判決と、前田主任検事、上司の大坪特捜部長、佐賀特捜副部長の逮捕となった」と話し、三井氏にそれらの構図や、印象を聞いた。三井氏は「特殊な事件ではない。以前も、同様なことは行われてきた。それは、裁判官は、検面調書(検事がつくる取り調べ書)を、証拠として信用してきた経緯がある。検察も、法廷の発言など影響なく、検面調書だけを作っていれば、勝てた。今回は、被告が収監中に書き記した被疑者ノートが、公判での証言と一致したので、検面調書を却下し、被疑者ノートを証拠にした」と説明した。

 三井氏は「郵便不正事件は、検察の組織と、FDの改ざんの、2つに分けて考えなくてはいけない。議員案件などは裏付けをしないといけないのに、すぐに村木局長を逮捕した。これは大きな検察のミス。法律では、官僚を逮捕する場合は、その是非を事前協議をしなくてはいけない。地検、高検、最高検ごとに事前協議を行う」と、起訴へいたる流れを説明した。今回は、前田主任検事の単独犯だと言われているが、検察官の資格を問えるところは、3年に一回開催される、検察官適格審査会だけが、形骸化して存在している。それで三井氏は、1058名の賛同者を集め、検察官適格審査会に、検事罷免の検察審査申立書を提出。同時に、7名の検事への告発状も3通提出、その内容を説明した。

 また、三井氏は「検察は内部すべてで、裏金つくりはやっている。マスコミは一切、報道しない。今一番、危険な組織は検察だ。いま、最高検を、捜査、逮捕するところがない。第三者の捜査機関を、議員立法でつくるしかない。改ざんの報告が、どこまで検察内で浸透していたのかは、注目に値する。大阪地検は、罪の巣窟だ。FD改ざん、虚偽偽証、そして、捜査メモの破棄は、公用文書毀棄、証拠隠滅にあたる」などと話した。続いて、FDの改ざんについて三井氏は「公判から半年後に、検察が証拠を返すことは、絶対にあり得ないし、独断ではできない。なぜ、返却したのか。そこで、彼女の弁護団から提出される場合と、裁判所から要請の、2つの状況がある。ゆえに裁判所からの提出要請を、検察側は、狙っていたとしか思えない」と検察の不可解な行動を指摘した。

 「今まで、証拠隠滅などは、よくあった。高検刑事部で体験した、道頓堀川事件があった。目撃者は4人いて、都合の悪い調書2通を隠して、裁判をした。そのとき、自分は真実を追求をするのが、検察だと叱責、不利な調書も提出させた。そうしたら一人は無罪になった。裏金つくりも村木事件も、体質は同じで隠ぺいし続ける。本来、これだけお粗末な捜査をしながら、裁判官から一切、批判がないのはおかしい。今回、逮捕された検事たちは、とくに検察内で変わった人格だったり、特殊な存在ではない。特捜廃止論については、存在した方がいいが、改革されるべきだ。最高検、検事総長などトップの選挙制、全面可視化、押収品目録、残記録の全面開示などをする必要がある。政治家は、政治主導というが、法務検察での経験がない者が、仕事をすることはできない」など、諸々、検察に対する私見を述べた。

 岩上は、ネットで寄せられた質問を読み上げ、それらに三井氏が答えていった。「今回の事件は、ウミがでてよかったと思う。法務大臣が、最高検と第三者委員会を立ち上げる案があるが、人選がポイントになる」。アメリカはどうやって検察を操るのか、との質問には、岩上が「特捜部は、隠匿物資特捜部だった」と言い、三井氏は「出発点はどうであれ、本来の機能を果たせば、それでいい。獣道(けものみち)という自民党時代に、検察と自民党の癒着、貸し借りができた。ここで、検察の裏金つくりも反古にされ、鈴木宗男、日歯連、西松建設、陸山会事件などが起こった。小沢一郎議員が、検事総長の国会合意人事、民間人の適用、ムダ使いの調査を表明したら、潰すしかない、と考えるのは当然だ」などと、検察の本音を語った。

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「岩上安身によるインタビュー 第54回 ゲスト 元大阪高等検察庁公安部長・三井環氏」への1件のフィードバック

  1. 岩貞 一三 より:

    題名に直結した記事を書いてほしい。

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