2013年6月27日(木)15時から、東京都千代田区にある日本外国特派員協会で、茂木敏充経済産業大臣の記者会見が開かれた。茂木大臣は、安倍政権が進める経済政策「アベノミクス」の成果を強調。また、産業競争力の強化を狙った税制について触れ、海外戦略に関しては、「世界に経済連携の網を張り、魚を獲っていく」と意気込んでみせた。
(IWJテキストスタッフ・富田/奥松)
2013年6月27日(木)15時から、東京都千代田区にある日本外国特派員協会で、茂木敏充経済産業大臣の記者会見が開かれた。茂木大臣は、安倍政権が進める経済政策「アベノミクス」の成果を強調。また、産業競争力の強化を狙った税制について触れ、海外戦略に関しては、「世界に経済連携の網を張り、魚を獲っていく」と意気込んでみせた。
■ハイライト
「安倍政権が発足して半年が経過した今、日本経済には明らかに回復の兆しが見える」。こう切り出した茂木大臣は、「前政権下の昨年7~9月期が、年率でマイナス3.6%だったのに対し、今年の1~3月期はプラス4.1%だった」と力説。過度な円高の是正を背景とした、輸出の好調さなどを要因に挙げ、デフレマインドは解消されつつあるとの認識を示した。
その一方で、「設備投資には、数字の上では改善が見られるものの、引き続きマイナスのまま。思い切った政策でプラスに転換させ、民間主導の持続的経済成長を実現させることが当面の課題」とも述べており、そのためには過小投資、過剰規制、過当競争の解消が急務と位置づけた。「企業の投資拡大が収益力を向上させ、それが賃金アップとなって個人の所得を押し上げ、それが消費を増やし、再び企業の投資を拡大させる好循環を実現させたい」。
茂木大臣は「産業競争力強化のための税制を用意している」と伝えた。まず、民間設備投資の喚起につながるものとして、老朽設備から生産性やエネルギー効率が高い先端設備へのシフトを促すために、「即時焼却支援制度」などの新たな支援策を導入する考えを明示。「今後3年間で、設備投資をリーマンショック前の水準に戻したい」と語った。さらには、新規の事業創出を盛り上げるために、「企業のベンチャー投資や、大企業からのスピンアウト・カーブアウト(独立)を、税の面から応援する」とし、過当競争の解消に向けては、税制や金融措置で、企業の事業再編を後押ししていく意向を表明。「米国には、会社が事業を切り出して新会社を作る場合、新会社の赤字を出資企業が損益計上できる、LCCと呼ばれる制度がある。日本にも、同様の措置を導入することを検討する」と話した。
そして、「雇用の流動化」の推進にも言及し、「設備や事業だけでなく『人』も動かす。雇用政策の軸足を、労働移動支援型の方向へ大きく移し、成熟産業から、人材を必要とする成長産業へと、労働力に移動を促す」と述べた。その際、労働者のスキルアップ・スキルチェンジを徹底させ、「失業なき労働力移動の実現を目指す」と強調。「この点については、厚労省とも協議を進めている」とした。
海外展開については、「諸外国の成長を取り込む『国際展開戦略』も大きな柱」とし、「多角的な経済連携交渉を、前向きに進める。TPPだけでなく、アジア、欧州のすべてを取り込んで、世界に『経済連携の網』を張る」と発言。そして、張った網で実際に「魚」を捕るために、これまでは一括でとらえてきた新興国市場を、産業集積の度合いなどで3グループに分け、グループごとに戦略的な市場開拓を実施していく考えを示した。