「アベノミクスは必ず成功します。成功するまでやり続けるからです!」 ~日本外国特派員協会主催 甘利明経済再生担当兼TPP担当大臣 記者会見 2013.6.20

記事公開日:2013.6.20取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・関根/奥松)

特集 TPP問題

 2013年6月20日(木)16時30分より、東京都千代田区にある日本外国特派員協会にて、甘利明経済再生担当兼TPP担当大臣の記者会見が行われた。甘利大臣は、まず、安倍政権になってから経済は改善していることを、実体経済の数値を挙げながら強調した。また、日本版NHIの創設、大学教員の年棒制、国家公務員試験にTOEFLの導入、各省庁の事務次官の上に権限をもったCIO(チーフ・インフォメーション・オフィサー)の設置、公共データ・ビックデータの開放など語り、最後に「アベノミクスは必ず成功する。なぜなら、成功するまでやり続けるからだ」とスピーチをまとめた。

■ハイライト

 冒頭、協会筆頭副社長のマーティン・ケーリング氏が、甘利明大臣を紹介。この会見の招待状に、TPP担当大臣という甘利氏の肩書きを書き忘れたことを謝り、「肩書きは日本では重要だ。日本を取り戻す(Japan is back)」の意味などを話してもらいたい」と挨拶した。

 それを受けて、甘利大臣は「肩書きがどんどん増えてしまい、名刺にTPP担当大臣を入れられなかった。安倍首相には『何を頼んでいいか、わからなくなる』とも言われた」と前置きし、「アベノミクス(成長戦略)のスローガンは、Japan is BACK。Not Japan move back(後戻り)ではない」とスピーチを始めた。

 そして、安倍政権になって、どれだけ実体経済が上向いているかを強調した。「日本経済は、事実としてV字回復をしている。雇用、消費、輸出も改善され、マイナス分野は設備投資だけだ。設備投資は、GDP全体の13%を占めている。2年で1割上昇させ、リーマンショック前に戻す。同時にGDPが1.3%上がる。そのために、臨時国会で、設備投資を増大させるための政策を提出する」と述べた。

 続いて、アベノミクスの3つの政策である、金融、財政出動、成長戦略について、「今までの経済政策は、財政と成長戦略だけで、デフレ脱却を考慮していなかった。今回、過去に取り組んだことのない金融政策によって、マインド(意識)を変え、財政出動で需給ギャップを埋めていく。デフレを脱却する推進力をつけ、民需主導の経済体制を作る」と解説した。

 続けて、そのための具体的な成長戦略を、以下のように述べた。「日本の産業の足腰強化、産業基盤強化。日本の産業設備を、一挙に効率のいい省エネ性能の高い設備・施設に更新する。不採算部門を切り出し、統合し、採算部門に変えていく。産業の新陳代謝を一気に図る。そのための税制改正を、今秋に実施する」。

 「電子政府の推進。法律を変えて、民間からCIO(チーフ・インフォメーション・オフィサー)を招聘、各省庁の事務次官より上のポストに設置し、権限をもった各省の指揮官とする。統計などの公共データや、ビッグデータも民間に開放する。科学技術分野では、無駄な重複研究が多いので統合し、効率を上げるための司令塔を作る。そのため、来年度から内閣官房の総合技術会議に予算をつけ、権限を持たせる」。

 「ライフサイエンスに関しては、日本版NHI(国立衛生研究所)を作る。人材基盤の強化では、大学改革をし、大学自治と教授会を切り離す。外国研究者が入ってきやすいように、年俸制にする。2年後に、キャリア公務員試験にTOEFLなどの英語試験を加える。民間企業もそれに習うだろう。大学入試が変わり、高校も変わる。小学校3年から英語教育を実施する」。

 また、国内の市場開拓(国内フロンティア)の設定については、「日本が持つ社会課題を戦略目標にする。少子高齢化の問題では、戦略や予算配分の決定権限を持つ日本版NHIの創設。健康寿命を平均寿命に近づけるため、科学技術がそれを解決する道を探り、生涯現役時代を目指す。創薬、医療機器などの研究から商品化の許可期間を一気に縮める。将来、アメリカ、EU、中国も同様な問題を抱えることになる。それに先駆け、インフラを開発し、パッケージ商品にして売る」と話した。

 甘利大臣は、次に海外の市場開拓(国際フロンティア)について「TPP、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)、FTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)、日欧EPAなどの、経済連携を進める中で、原発以外でも、インフラなどのトップセールスを推進する。海外でのアニメなどのコンテンツ戦略と、ヴィジット(日本の観光)戦略をつなげていく」と話し、最後に「アベノミクスは250項目からなる。政策目標毎に、達成度指標を設定し、毎年の進捗分析をし、達成していないものに対しては、原因を解明して政策を変更する。アベノミクスは絶対成功する、なぜなら、成功するまで続けるからだ」とまとめ、スピーチを終えた。

 質疑応答に移り、「主な企業は、海外に拠点を移して、国内の産業の空洞化が進んでいるが」と問われると、甘利大臣は「国内投資を誘導する税制と、基盤作りをしている」と答えた。

 また、「『来年、消費税が上がると、税収が落ちる可能性がある。その手だてをしなければならない』との、財務官僚の発言があったが、そのための補正予算を組むのか」と訊かれると、甘利大臣は「消費税を上げても、経済への影響が最小ですむ環境づくりが先だ。新税率導入後の経済の落ち込みについての対策はある」と述べた。さらに、「導入延期はあるのか」と問われて、「消費増税の実施延期は、国債の信任性の低下につながるので、最大限に影響が少ない環境にすることだ」と述べた。

 「原発事故の総括は」との質問に対しては、「自民党の原子力政策に、過信があったことは認めなければならない」とした。さらに、「捕鯨調査に対する見解を」「日本版NHIは、科学者の独自性の排除や、政府のトップダウンにならないか」など、質問は続いた。

 最後に、「民間企業は内部留保を増やし続けている。なぜなら、自らの方向性が見えていないからだ。規制緩和、基礎研究などへの開発投資、税制変更は、民間企業にはできない。それらの実施を織り込んだロードマップを政府が提示し、民間企業は、それに沿ってリスクをかけて経営することが重要だ。自由にやりたい、という企業もいるが、だったら好きなように、自由にすればいい」と述べて、記者会見を終えた。

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