「『事象』という言葉を用いる『インチキ』をせず、『事故』と言うように改める企業風土はないのか」~「東京電力と共に脱原発をめざす会」による東電交渉 2013.6.11

記事公開日:2013.6.11取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・久保元)

 2013年6月11日(火)13時、東京都港区の東新ビルにおいて、市民団体「東京電力と共に脱原発をめざす会」が、東京電力に対して直接交渉を行った。

■ハイライト

  • 意見交換
    1.原発と安全
  • 事前質問
    2.真っ暗ビデオについて/3.川内ビデオについて/4.ICについて/5.汚染水問題/6.仮説電源設備など/7.作業環境について/8.使用済核燃料取り出しについて/9.フィルターベントについて/10.乾式キャスクの仮保管設備
  • 主催 東京電力と共に脱原発をめざす会

 冒頭に行った意見交換では、参加者から、「東京電力は放射能の影響を遠ざけるように努力すると言っている。ならば、一般公衆の許容被曝線量である1mSv(ミリシーベルト)/年以内に収めるような数値目標を示してほしい」という意見が出た。担当者は、「1mSv/年は、一つの目安だと考えているが、具体的なものはまだ決まっていない」と回答したが、参加者が、「1mSv以内にするということで原発を造ったのではないのか」と反論するなど、両者の隔たりは埋まらなかった。また、参加者が、原発の安全対策についての見解を質(ただ)したところ、担当者は、「すべての原因究明が行われないと、対策を講じてはいけないのか」と居直りとも取れる発言をする場面もあった。このほか、「東京電力は『事象』という言葉を用いる『インチキ』をせず、『事故』と言うように改める企業風土はないのか」という意見や、使用済み核燃料の取り扱いに関する意見などが出た。

 続いて、東京電力が、事前質問への回答を行った。今年3月に民主党の川内博史前衆議院議員が福島第一原発1号機を視察した際、東京電力側が撮影したビデオに視察映像が記録されていなかったとされる、いわゆる「真っ暗ビデオ事件」について、東京電力側が釈明した。担当者は、放射性物質の付着を防止するために実施した養生作業(ビデオカメラをビニールで覆う作業)で用いた養生テープが剥がれ、開閉式のレンズカバーに付着してカバーが開かなかったのが原因とする見解を示した。これに対して、参加者から、「撮影中にモニター画面を見ないのか」などの質問が出たが、担当者は、「注意がいかなかったということだと思う」「録画中は赤いランプが点灯するので録画できていると考えたと聞いている」などの不自然な弁解に終始し、「わざと撮影しなかったのではないか」という参加者の疑問を払拭するには至らなかった。

 このほかにも、汚染水や仮設電源、使用済み核燃料の取り出しに関する課題点などの8項目について、東京電力側が回答したが、要領を得ない回答に対して参加者から厳しい質問や反論が相次いだことから、直接交渉は開始から5時間以上が経過した18時40分に終了した。

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