【文化】『発禁新聞』編集部が岩上安身にインタビュー。IWJ佐々木記者がその場で逆取材! 2013.5.27

記事公開日:2013.5.27取材地: テキスト動画
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(取材:佐々木隼也 文:IWJテキストスタッフ・富山/奥松)

 2013年5月27日(月)18時、紙媒体の市民メディア『発禁新聞』編集部の林田光弘氏が、東京都内のIWJ事務所を訪れ、岩上安身にインタビューを行った。岩上は、メディアとジャーナリストの歴史、マスメディアと市民メディア、IWJ設立の経緯などを語った。一方、IWJではメルマガ『IWJウィークリー』で市民メディア特集を組んでいることもあり、今週号のデスクを務める佐々木隼也記者が、林田氏に逆取材を敢行。『発禁新聞』のコンセプトなどを聞いた。

■全編動画

  • 日時 2013年5月27日(月)18:00~
  • 場所 IWJ事務所(東京都港区)

 はじめに、21歳の大学生である林田氏が、クリエイティブ・ディレクターのマエキタミヤコ氏を編集責任者に据え、「タブーのない朝が来た」をコンセプトに掲げる『発禁新聞』を発行するまでの経緯を語った。

 続いて林田氏は、岩上へのインタビューを開始。まず、報道理念について問われた岩上は、「万物には固有の視座が存在し、一人ひとりが固有の視座を有している。ジャーナリストの仕事は、事実を可能な限り正確に伝えることに尽きる。しかし、そこには固有の価値感が必ず入ってくる。ジャーナリストは、自分自身の視座を明らかにし、自身の価値判断を説明しなければいけない。事実は事実としてあるが、価値判断が入り込まない情報伝達はあり得ない」と述べた。

 次に岩上は、近代において誕生した専業ジャーナリストと、印刷媒体から発展していく近代メディアの歴史を解説した。岩上は、情報の送り手であるマスメディアが圧倒的な力を持って権力と結びつき、一方、市民は情報を受け取るだけという関係性を問題視し、「元々、人間がメディア、みんながジャーナリスト。特殊な存在ではない」と市民ジャーナリストの意義を解説した。

 その中で、「筆一本で生活する状況に身を置くと、金銭的に厳しい時もあり、広告に飛びつきたくもなる。そうなると、スポンサーの圧力によって、伝えるべきことが書けなくなる場合もある。兼業ジャーナリストであれば、そういう問題も回避できる。市民メディアを定義する要素は、市民に直接支えられていることと、支えられているが編集権は独立していること」と語った。

 次に、IWJ設立までの経緯を説明した岩上は、日本のマスメディアの特性について触れた。特権的に行政、官僚と結びついている記者クラブ制度の問題点を指摘し、「国家権力と結びついて情報を伝えることが、自分たちの使命であると、彼ら記者クラブの人間は本気で思っている。しかし、メディアは国家のためのものではない。僕らは主権を持っているのか、国家主権は保持されているのか、大変危うい状況にある。国家主権と国民主権、デモクラシーとインディペンデントは不可分である」と述べた。そして、「近代以前のメディアの形は、人々の集いと語らいだった。だから、IWJを立ち上げてネットで情報を伝えると同時に、全国を歩いて、人と対面して情報を伝えている」と話した。

 佐々木記者から、『発禁新聞』が紙媒体にこだわる理由を問われた林田氏は、「ネット環境は、どこにでもあるわけではない。すべての人に届きうる媒体にしたいと思い、紙媒体を選んでいる。昨年の衆院選の、ネット上での盛り上がりが、現実の結果と乖離していた状況を見ても、紙媒体によるメディアは必要だと思う」と述べた。『発禁新聞』の今後の展望については、「20歳以下の若い世代に、いかに上手に伝えていくか」を課題として挙げ、「若い世代が、否応なしに政治に参加させられる状況になってくる中、若い人が政治に関心を持てるようなアクションを続けていきたい。若者だから、政治について勉強しなくてよい、というのは間違っている。若い人たちこそ、考えるべき問題である」と語った。

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