2013年5月22日(水)18時30分より、福島県福島市の飯舘村役場飯野出張所で、飯舘村の除染についての住民説明会「平成25年度行政区懇談会(小宮区)」が開かれた。飯舘村の菅野村長は「除染も始まる。村としては26年秋には帰村宣言をしたい」と語った。住民から「帰村の目安になる放射線量について明記がない」と質問が出ると、村長は「年間5ミリシーベルト以下を帰村の目標値にしている」と答えた。また、環境省担当者の説明が要領を得ず、「飯舘村の村民をバカにするのか!」と怒声が飛ぶ場面もあった。
(IWJテキストスタッフ・関根/奥松)
2013年5月22日(水)18時30分より、福島県福島市の飯舘村役場飯野出張所で、飯舘村の除染についての住民説明会「平成25年度行政区懇談会(小宮区)」が開かれた。飯舘村の菅野村長は「除染も始まる。村としては26年秋には帰村宣言をしたい」と語った。住民から「帰村の目安になる放射線量について明記がない」と質問が出ると、村長は「年間5ミリシーベルト以下を帰村の目標値にしている」と答えた。また、環境省担当者の説明が要領を得ず、「飯舘村の村民をバカにするのか!」と怒声が飛ぶ場面もあった。
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飯舘村村長の菅野典雄氏の挨拶で懇談会が始まった。菅野村長は「除染に関しては環境省の担当者が、賠償については東電の担当者が、復興計画などについては行政の担当者が、説明と質疑応答をする」と説明し、「火山の噴火で全島避難した三宅島と、中越地震で全村避難した山古志村の元村長を招いて勉強会を催した。帰村率が65%だったと聞いて、ショックを受けた。飯舘村の村民には、なるべく戻ってほしい」と述べた。また、財物賠償が遅れた理由について、「村としては村民全員に賠償を受けてもらいたい。登記をしていないと支払われない条件だったので、調整するのに時間がかかった」とした。続いて、4月1日に環境省と除染の契約を行い、小宮地区は40町歩、1年契約ごとに4027万8000円の契約であることが報告された。
次に、村職員から復興計画第3版について説明があった。「23年度12月、8月に引き続いて第3版を発表した。住宅、学校、再生可能エネルギー施設の新設などを計画している。新しいライフスタイルの確立を目指し、雇用を増やす。県営住宅の供給の要請をしている。土地利用の見直しとして、森林20年、農地3年で除染を実施、維持する仕組みを考える。復興スケジュールは、除染の状況によるが、26年秋から帰村宣言をする。今後の課題として、除染の結果確認、公共施設の見直し、雇用の拡大を進めていく」とした。
復興対策課長より、除染について報告があった。「現在、二枚橋・須萱地区、長沼地区が4月から除染に入っている。小宮区はモニタリング中。今後、説明会を開催していく」と話し、客土の調達方法、計画の透明性の拡大、仮置き場の問題、家庭の汚染物焼却問題などを説明した。続いて環境省担当者が、「除染の範囲は、建物壁面、奥行き10メートル。3メートル以上の常緑樹、通常の森林除染は、家の後ろ奥行き20メートルとする。農地の除染は、モニタリング、除草、転圧、除染、客土などの順で行う」などと説明した。その後、財物賠償請求について、複雑な仕組みの説明があった。
質疑応答では、最初に住民から「除染の定義と目的は何か」という質問があった。環境省担当者は「住民が、安全安心な生活ができる環境作りのために」などと答えたが、住民は「伐採した汚染木材は所有者の敷地に置き、伐採の影響による土砂崩れは保障しないという。これで除染が成り立つのか」と反論した。担当者は「伐採した木の枝葉は環境省で処理するが、丸太や幹材などは汚染が低いので、各所有者で保管を願う」と答え、「では、どうやって保管すればいいのか」と問われると、具体的な回答はできなかった。
「26年秋に帰村宣言をするというが、帰村の目安の放射線量が書いていない。飯舘村は年間1ミリシーベルト以下には絶対ならない、という意見もある。目標の数値はいくらか」と住民が尋ねると、菅野村長は「除染で年間5ミリシーベルト以下になることを願っている。1回除染をして、その結果で帰村の検討をしたい」と答えた。それに対し住民は、「年間5ミリシーベルトは、国との合意なのか。それは放射線管理区域の基準値だ。年間5ミリシーベルトで帰村させるのなら、それを公表するべき。しかし、(その基準値なら)子どもや孫は村に戻さない」と告げた。
また、環境省の発表では「除染で竹は切らない」と報道されており、その理由を訊ねられた環境省担当者が、はっきり回答せずに言い訳に始終したため、「タケノコに汚染が出ているのに、竹に汚染はないというのか」「環境省は、飯舘村の村民をバカだと思っているのではないか!」と住民が怒りをあらわにする一幕もあった。