日本原子力研究開発機構(以下、JAEA)のもんじゅで、昨年11月、9,679個の機器の点検漏れが発覚した。
2013年5月15日(水)、原子力規制委員会はこの問題を協議。全委員一致で、もんじゅの事実上の運転停止命令を決定した。
日本原子力研究開発機構(以下、JAEA)のもんじゅで、昨年11月、9,679個の機器の点検漏れが発覚した。
2013年5月15日(水)、原子力規制委員会はこの問題を協議。全委員一致で、もんじゅの事実上の運転停止命令を決定した。
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機器の点検は、その方法や頻度を定めた「保全計画」を基に実施する。これは保安規定で定められているが、JAEAはこれを無視し、自ら点検間隔の変更を行ったため、計画からずれた約1万個の機器が点検時期の超過となった。この中には、安全上重要度の高い「クラス1」の機器も含まれている。
この行為は原子炉等規制法に違反すると判断し、規制委は昨年12月、JAEAに対し、未点検機器の点検を早急に実施することや再発防止対策、組織的要因の根本原因の分析等を報告することを命じた。
JAEAはこれを受け、要請のあった報告書を1月末に規制委に提出。しかし、報告書の内容に不備が見られたことから、規制委は、もんじゅへの立入検査とヒアリングを実施した。それにより、過去にも点検時期を超過していた新たな事案が発覚するなど、JAEAの安全に対する認識の低さが露呈した。
「こういう組織が存続していることを許していること自体が、問題ではないか」
15日の会合で、島崎委員がこう苦言を呈し、田中委員長は、「深刻な事態だと受け止めている」と述べた。他3人の委員においても、今回の命令措置は適切という認識を示し、決定を取りまとめた。
規制委は、未点検機器の点検実施や保全計画の見直しの他、再発防止に向けて組織を再構することをJAEAに引き続き求めているが、JAEAがこれを完了し、安全確保を十分に行い得る体制を確認するまでは、出力試験などといった運転準備に向けた作業を停止するよう求める。これは、原子炉等規制法第36条に基づくもので、建設中の原子炉に対して下される、最も厳しい命令だという。