自民党・大西英男議員への質問とその回答 2013.5.14

記事公開日:2013.5.14 テキスト
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 本日(2013年5月14日)14時から、岩上安身が自民党の大西英男議員へインタビューを行う。

 このインタビューに先立ち、IWJは4月4日に大西議員に対して質問をし、4月11日に回答をいただいた。ここでその内容を公開したい。本日のインタビューへの予習として、昨日公開した下記の記事と合わせてご覧いただきたい。

■以下、質問とその回答
(質問)
 2013年3月21日の衆議院総務委員会で大西議員が行なった質問について、質問のそもそもの意図は何か?

(大西議員からの回答) 
 平成25年3月21日の総務委員会の質問につきましては、NHKをはじめ報道機関の報道における公平性、正確性を確認することが質問の趣旨です。

 尖閣諸島などの領土問題、TPPのような専門知識を要する政策テーマを、報道機関が取り扱う際に、一人の専門家のみを呼ぶ、もしくは一人の専門家のみをメインキャストとして扱った場合、視聴者、読者は、一人の専門家の考え方があたかも事実のすべてであるかのような誤解、誤認をする可能性があります。

 またそのテーマにおいて一人の専門家のみを呼び、その見解を述べさせた場合、その番組ひいては報道機関そのものが、そのテーマにおいてその専門家の意見のみを是認しているものと看做される怖れもあると考えます。

 質問の中でも述べておりますが、専門家の方が複数出演し討論する形で、そのテーマの議論を深める中で、様々な方がお考えを述べることは全く否定しておりません。

 こうしたなかで、報道機関の公共性の高さ、特に公共放送であるNHKの公共性の高さを考え、NHKの姿勢を確認する質問をいたしました。

(質問)
 その衆議院総務委員会の中で、大西議員は「NEWS WEB 24 尖閣や竹島に日本はどう対応する(平成24年9月)」と「NHKスペシャル 2013 世界とどう向き合うか(平成25年1月)」という2つの番組を取り上げ、「一方的に自己の、我々にとっては正確を欠いている、正しい認識とは思えないような主張を延々と続けていく、こういう事が許されていいのかどうか」と述べられていますが、これは、孫崎氏のどの発言を指しているのでしょうか?

(大西議員からの回答)
 孫崎氏は、岡本行夫氏とのやり取りの中で、「日中の間で、棚上げの合意というものについては確かに文書というものはない。しかし、文書にはなってないけども、政府間の合意があったことは事実である」と発言されております。また、著書「日本の国境問題(ちくま新書)」の中でも、「中国側は実質的には「棚上げ」を提案し、日本側はこれを受け入れている。」(75ページ)と述べられています。

 しかし、日本政府の公式見解としては、「棚上げ論」を中国側が一方的に主張(提案)することはあっても、「政府間の合意」や日本側が「受け入れている」という事実はありません。この点を「事実」として扱うのは正確性を欠き、適切ではないと考えます。

 孫崎氏が、「『棚上げ論』はあった」ということを主張すること、一つの考え方とされることは何の問題もありません。しかし、「事実」として扱うのはいかがなものでしょう。

 そもそも、「棚上げ論」に関して言えば、日本は情報公開の進んだ国であり、会談のやり取りや資料をある程度公開しています。一方で、中国は情報公開については一切行っておらず、自国の主張をするばかりです。

 こうした2国がある中で、中国の主張を事実として取り扱うには相当の論拠があってしかるべきです。

 私は、国際法上対抗力のない証拠をひたすら主張することが、中国にとっても国際社会における信用・信頼を損なうばかりで、将来的に得にならないということを、日本は示すべきであると考えます。

 孫崎氏はなぜ、文書に残っている証拠より、文書には残っていないことを「事実」としているのでしょうか。

(質問)
 2013年3月27日のご自身のブログの中で、「孫崎享氏は、自身のツイッターで、2012年7月10日に『尖閣諸島は日本固有の領土とは言えない』旨、発言しており、事実上『尖閣は中国のもの』と言っているに等しい」と述べられています。

 これは、孫崎氏のどのツイートを指しているのか?

(大西議員からの回答)
 2012年7月11日にツイートしておられます。「7月10日」としていたことは当方の確認不足でした。

(質問)
 自民党が2012年4月27日に発表した「日本国憲法改正草案」では、第21条(表現の自由)の第2項が書き加えられており、そこには「前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない」と記されています。

 これは、現行憲法が保障する表現の自由の枠から大きく後退していると考えざるを得ませんが、こうした内容についてどう考えるか?

(大西議員からの回答)
 党が公開しております、「日本国憲法改正草案Q&A」(現在、サイトは閉鎖)14ページにもあるように、「公の秩序」とは「社会秩序」のことであり、平穏な社会生活のことを意味します。個人が人権を主張する場合に、他人に迷惑を掛けてはいけないのは、当然のことです。そのことをより明示的に規定しただけであり、これにより人権が大きく制約されるものではありません。

 また、Q&A17ページにもあるように、オウム真理教に対して破壊活動防止法が適用できなかったことの反省などを踏まえ、一定の制限を加えるものです。ここでは、「公益や公の秩序を害することを目的とした」活動と規定しており、単に「公益や公の秩序に反する」活動を規制したものではありません。

 「社会秩序」を「害する」活動や結社を、一定程度制限することを明示したからと言って、「表現の自由の枠から大きく後退している」とは言えないと考えます。

 但し、表現者が萎縮することのないように、しっかりと条文の趣旨を説明していく努力をしてまいります。

(大西議員の衆議院議員総選挙時におけるTPPに対する考え方について)
 孫崎享氏や貴社の岩上安身さまは、「大西英男はTPP反対で立候補したにもかかわらず、賛成の立場に回った」という御趣旨のことをツイッター、ブログマガジン等でおっしゃっておられます。

 これは、衆議院総選挙時の毎日新聞におけるアンケートの「反対」という回答を論拠にしておられるかと存じます。このアンケートは、「賛成・反対」の2択であった上に、設問自体が「輸出入関税を原則ゼロにする環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への参加に賛成ですか、反対ですか」となっており、「輸出入関税を原則ゼロにするTPP」には反対であるので、「反対」と回答しております。

 大西英男は、選挙当時から現在に至るまでTPPの必要性は認めつつ、農産物などの例外品目を認めさせるべきという立場で活動しております。

< 平成24年衆議院選挙時における、TPPに関わるアンケートと大西議員の回答 >

■朝日新聞
(質問)
環太平洋経済連携協定(TPP)に参加すべきだ、という意見に賛成か?(※賛成・どちらかと言えば賛成・どちらとも言えない・どちらかと言えば反対・反対、の5つの中から選択)
(大西議員の回答)
どちらかと言えば賛成

■読売新聞
(質問)
日本は、環太平洋経済連携協定「TPP」に参加すべきだと思いますか、そうは思いませんか(※賛成・やや賛成・どちらともいえない・やや反対・反対、の5つの中から選択)。
(大西議員の回答)
やや賛成

(質問)
TPPへの参加について、あなたの考えは次のAとBどちらに近いですか。
A:海外の需要を取り込み、経済成長が望めるのでよいことだ
B:日本の農家の収入を脅かすのでよくないことだ
(大西議員の回答)
ややAに近い

■毎日新聞
(質問)
輸出入関税を原則ゼロにする環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への参加に賛成ですか、反対ですか(※賛成・反対、どちらかを選択)。
(大西議員の回答)
反対

(質問)
TPPの農業分野への対応について、あなたの考えに近いものを一つ選んでください。
(大西議員の回答)
コメなど可能な限り多くの例外品目を設けるべきだ

■Yahoo!みんなの政治
(質問)
TPP(環太平洋経済連携協定)交渉について、参加すべきか(※交渉に参加すべきではない・交渉に参加すべき・その他、の3つの中から選択)。
(大西議員の回答)
その他。聖域なき関税撤廃を前提にする限り、TPP交渉には参加すべきでない。自由貿易の推進は日本の通商政策の柱ですが、TPP交渉に際しては、可能な限り国益に即して、メリットを追求する交渉力を必要とする。

■言論NPO
(質問)
TPPへの交渉参加に対するあなたの態度を明らかにしていただけますか(※TPPの交渉に参加すべき・TPPの交渉に参加すべきでない・わからない、の3つの中から選択)。
(大西議員の回答)
TPPの交渉に参加すべき

■東京保険医協会
(質問)
TPP(環太平洋連携協定)への参加について、いかが考えますか?(※賛成・反対・その他、の3つの中から選択)
(大西議員の回答)
賛成

■テレビ朝日「モーニングバード」
(質問)
TPP交渉に参加することについて賛成ですか?反対ですか?(※賛成・反対、どちらかを選択)
(大西議員の回答)
賛成  ※聖域なき関税撤廃を前提にする限り、参加すべきでない。

(質問)
その理由は?
(大西議員の回答)
自由貿易の推進は日本の通商政策の柱ですが、TPP交渉に際しては、可能な限り国益に即してメリットを追求する交渉力を必要とするため。

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