阪神・市民放射能測定所 開設のつどい 2013.5.6

記事公開日:2013.5.6取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・富山/奥松)

 2013年5月6日(月)13時30分から、兵庫県西宮市の西宮市民会館にて「阪神・市民放射能測定所 開設のつどい」が行われた。福島の原発事故により、関西に移住した避難者も多いことから、安全な食材提供を通して、地域の市民と被災者とが共につながろうと、市民放射能測定所の開設が進められてきた。

 この集まりでは、測定所開設までの経緯、今後の取り組みなどが説明された。講演を行った守田敏也氏は、「市民の手に、科学を取り戻すことが必要である」と述べ、放射能の危険性について説明した。この測定所は、5月7日からスタートした。

■全編動画
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  • 講演 「原発事故による放射能汚染と市民測定所の意義」守田敏也氏(市民と科学者の内部被曝問題研究会 常任理事)
  • 日時 2013年5月6日(月)13時30分~
  • 場所 西宮市民会館(兵庫県西宮市)
  • 詳細 阪神・市民放射能測定所
  • 主催 阪神・市民放射能測定所開設準備会

 はじめに、阪神・市民放射能測定所代表の安東克明氏が、測定所を開設するまでの経緯を説明した。その中で、「被災地から避難した人と、西宮市に住んでいる人との間で、放射能に対する考え方に温度差があり、放射能汚染の恐ろしさを正しく認識できていなかった」と指摘。「測定所を開設し、われわれ関西の人間が、避難している人と共に、一緒に生活する人間として、この問題を考えていきたい」と語った。また、福島第一原発事故が起きたにもかかわらず、原発輸出を推進する安倍政権を問題視し、「本当に、被災された方々の声を踏みにじっている。この測定所は、放射能汚染を測定するだけに留まらず、国の進める利益誘導型の政策を、見直すよう求める市民の声を形成する場にもなると思う」と述べた。

 同志社大学社会的共通資本研究センター客員フェローを経て、現在フリーライターとして取材活動を行っている守田敏也氏は、「市民の手に、科学を取り戻していくことが課題である」と語った。また、社会的に重要な場面になると、政府や企業の言いなりになる御用学者が現れる点を問題視し、「真面目に研究に取り組み、成果を上げている科学者もいるが、研究費を与えられて、首根っこを掴まれると、政府や企業にものも言えない科学者がいることは、科学が失墜している証拠である」と指摘した。

 続いて、放射能汚染マップを示しながら、災害廃棄物受け入れにあたって、本来は100ベクレル/キログラム(以下bq/kg)であった安全基準が、福島の原発事故後、8000bq/kgに緩和された点を解説し、「がれき問題は、焼却問題を隠すためだったのではないか。東京でも、がれき焼却によって2次被曝が起こり、各焼却施設の職員たちは、ものすごい被曝をしている。被災された人たちの中には、現在、癌だけでなく、さまざまな病気を発症している人がいる。避難のストレスなども含め、死亡の原因は複合的に見なければいけない」と述べた。

 さらに、放射線値の目安、見方を説明し、内部被曝をシーベルト(以下Sv)で測った場合、低い値しか出ない点を指摘した守田氏は、「脱原発派の科学者も(内部被曝と外部被曝を)分けずに語っている人が多いが、Svは基本的に外部被爆を測る単位である」と説明した。その上で、放射線管理区域の基準を超えた数値を示す福島駅を人が歩き、店を営業している日常風景や、除染されていない校庭での運動会の写真を紹介し、「これは、子どもへの虐待を意味する写真だと思う。国、政府がここまで嘘つきであるとは思わなかった」と述べた。また、放射線の人間への影響を物理学的見地から解説する中で、広島、長崎の原爆投下が人体実験を意味し、核兵器の非人道性を隠すために内部被曝を認めなかった点、それを日本政府が支持した点を問題視した。

 市民放射能測定所の意義について守田氏は、今後、甲状腺がんの発症率が高まる恐れを指摘し、「放射性物質をあぶり出していくという意味でも、いろいろと測ることが必要であるし、役所が測ったものを測り直すクロスチェックは重要である。脱原発の運動が形成されたのは、福島から沢山の人が飛び出して、原発の危険性を訴えてくれたからである。西日本と東日本、苦楽を共にして、脱原発運動を展開していきたい」と語った。

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