※動画のご視聴は会員限定となります。
2011年10月27日(木)、推進派によるTPPに関する合同講演会が開催された。
※動画のご視聴は会員限定となります。
2011年10月27日(木)、推進派によるTPPに関する合同講演会が開催された。
【以下、全文書き起こし】
発言者「我が国のFTAの近況についてお話を伺う事となりました。中富さんは経済産業省において直接わが国の通商交渉や政策立案に当たられてこられ、今回は大変興味深いお話が聞かれるものと期待されますので、みな様よろしくお願い致します。尚、第二部では毎日新聞論説委員の潮田道夫さま(*)に生き延びるためのTPP。環太平洋か東アジアかという事でお話を伺います。現在TPPが微妙な段階にありますので、いずれの話も時局を受けた話題となっていると同時に、いろいろと難しい問題も出てきていると思われます。
又、今日のコーディネーターは、当社団専務理事である三浦宏一(*)が務めさせていただきます。本日の講演会には社団法人 先端技術産業戦略推進機構(*)の講演をいただいております。最後に資料の確認ですが、当講演会の色紙題が1枚。講演資料のわが国のFTAの現状について1冊。中国経済が世界最大となる日が1冊。立法社団のニュースレター、および日中バイオテクノロジー先端フォーラム2011という1枚紙が入っております。もしも足りないものがありましたらお申し出いただきますようお願い致します。それでは講演に先駆けて、当社団法人世界貿易センター東京会長、堤富男(*)よりご挨拶をさせていただきます」
(*)堤富男 社団法人 世界貿易センター東京会長
世界貿易センター東京とは「相互依存による貿易・経済の伸展と繁栄を通じて 世界平和の推進」を理念として1964 年に通商産業省(現、経済産業省)より認可を受け設立された貿易 振興団体。(*)三浦宏一 先端技術産業戦略推進機構 理事長
社団法人 先端技術産業戦略推進機構とは産・官・学の密接な相互協力のもとに関連各産業分野間における情報交換や研究開発等を通じて、先端技術の開発とそれによる産業構造再編成を目指して、各界の強固な連帯の確立を図る事を目的に、1985年9月に発足(旧称:先端技術産業調査会、07年9月名称変更)
堤「ご紹介いただきました会長の堤でございます。本日TPP関連の講演会のご案内を差し上げました。多数のみな様においでいただきまして心から感謝いたします。TPP関連の講演会を催しますので、よろしくお願いします。TPPは菅総理から野田総理に替わり、大変しっかりした動きになってきた気がしておりますが、来月のAPECに向かって交渉に参加するかどうかという話が出ている段階でございます。
是非この会で経済産業省のFTAなども中富さんや、毎日新聞の潮田論説員のお二人にしっかり語っていただきたいと思います。大変寂しいのは、農業のTPPを推進する経済界もどちらかが物凄く元気でという事はなくて農業も日本経済全体も高齢化と人口の頭打ちの中で、しかも円高という中で、大変苦労しているわけであります。この閉鎖状況を抜けるのは、私はやはり世界に活力を日本に取り入るという方法で活力を外からもらってという考え方でないと今後の日本の生きる道というのがなかなか見つからないのではないかという気がしています。それでそういう意味では、今日みなさんゆっくりお聞きいただきまして、また、それぞれの立場でお考えを巡らせていただく事を心から期待している次第でございます。それでは二人の講師に講演をお願いしたいと思います。よろしくお願いします」
発言者「堤さん、ありがとうございました。続きまして通商産業省通商政策局特別通商交渉官の中富さんのほうからお話をいただきたいと思います。中富さんよろしくお願い致します」
(*)中富 道隆 経済産業省通商政策局特別通商交渉官
主な著作物
政策提言
「WTO改革とラウンドの早期終結に向けて」
中富「ただ今ご紹介いただきました経済産業省特別通商交渉官の中富でございます。私、WTOそれからFTA関係深くてかれこれ25年ぐらい通商の仕事をやってきております。今日は、まあTPPの話にも後で触れますが、現在日本を取り巻いている国際環境の中で通商戦略の全体がどうなっているかという、そのオーバービューを是非させていただきたいと思っております。
WTOそれからFTA、そしてもう一つプルリという中国の動きがございます。その3つの動きを捉える中でのFTAでありTPPであるというように考えているところでございます。今、堤会長からお話がございましたように日本を取り巻く経済情勢はなかなか厳しいものがございます。その中で日本が活路を切り開いていくのは、正に国際面での展開しかないという事であろうと思います。お手元に同じ物ございますので、お手元の資料をご覧いただけますでしょうか。
タイトルはFTAの現状についてというふうになっておりますが、中長期的には人口減少、また、他地域が伸びていく中での日本の経済の地位低下というのは、避けられない事実であろうと思います。しかし他方でそれはあまり悲観的に考える事はなく、アジアを中心とした大きな市場があります、また、日本は、この市場に近いという事をうまく活用していく事がきわめて重要であろうと思います。お手元の資料の2ページにございます、世界の中でのGDPのシェアですが、日本は1990年にシェアが15%でした。
これが2030年には6%になるという予測でございます。方や中国につきましては2%であったものが25%に2030年には増えるという予測になっております。その時点におきましては中国と米国とが方を並べる。あるいは中国が米国を追い越すという事でございます。もちろんこれ予測でございますので、今後の国際情勢の展開の中でどうなるのかという事を見ていかなければいけないわけでございます。
次に、アジアの巨大な市場の誕生でございます。アジアの中間層は今後10年間で10億人増加するという事が予想されております。2020年には、アジアの個人消費の規模はわが国の4.5倍になるという事であり、右側のあの表に書いてございますように、アジアの個人消費の規模は、その時点では欧州を抜き、米国とほぼ同じになるとあります。ここにある数字では、ちょっと多くなっておりますが、そのぐらいの規模まで予測が伸びるという事が予想されている。今2011年ですから、もうすぐそこにアジアの成長があるわけです。これをいかに取り込んでいくのかという事が当然の事ながら重大な課題になります。
次の図ですが、わが国は中間財を中心に世界経済との結びつきを強め、とありますが、1990年から現在の日本の輸出の変化を見ますと凄まじい構造変化を起こしております。アジア全体がそうですが、1990年、ちょうどその頃から中国が世界経済の中に入ってきますが、WTOに中国が加盟したのは2001年です。それでそこからの動きも大変激しくなってきております。それで日本は昔から最終材で稼いでおり、そのための部品供給基地としてASEANを使っていたという歴史だと思いますが、それを雁行型経済発展モデルという事で安定発展の歴史が日本にあったんだという事をよく言われてきたわけです、それが今は雁行型で日本がアジアを引っ張っていくというよりは日本がアジアに引っ張られているという形にだんだんなっているのではないかと思います。
(…会員ページにつづく)