「川内原発は地震の巣」――元GE技術者が指摘する日本の原発の致命的な欠陥 ~岩上安身によるインタビュー 第118回 ゲスト 福島第一原発設計者・菊地洋一氏 2011.4.21

記事公開日:2011.4.21 テキスト動画独自
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( IWJテキストスタッフ・花山)

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  「川内原発は地震の巣。『活断層はない』と言って作ったが、あそこは地盤が悪くて有名だ」――。

 元GE技術者で福島第一原発の設計者でもある菊地洋一氏に2011年4月21日、岩上安身がインタビューを行なった。浜岡原発の差し止めに尽力する菊地氏に、岩上安身は「次に緊急性があり、止めるべき原発はどこか」と質問。菊地氏は冒頭のように述べ、伊方原発と川内原発を挙げた。

 菊地氏は、オイルショックの時に、「日本に自前のエネルギー源を」という気持ちで原子力の世界に飛び込んだ。だが、東海2号、福島6号の設計に関わり始めてすぐ、限界を感じたという。インタビューでは、菊地氏がその時に感じた違和感に迫る。

 GEの原発の欠陥について語った菊地氏は、日本の原子力技術についても否定的な見解を示す。また、原発の配管の複雑さに言及し、「地震発生により、それらが破損することは不思議なことではない」と指摘した。

 さらに、福島原発事故では、現場の状態が見えていれば手の打ちようもあるが、放射線量が高すぎて現場に近づけないことから、「状況がわからないことが一番の問題である」と述べた。

■ハイライト

  • 日時 2011年4月21日

GEの原発には目一杯の欠陥が見えていた

 「尊敬していた広島出身の人に『原子力の平和利用は男冥利に尽きる』と熱心に口説かれて、原子力の世界に飛び込んだ。東海村の2号炉と、福島の6号機をやった。そこで大変な思いをした」

 こう振り返る菊地氏は、岩上安身から「GEに入ってすぐ、技術的にダメだと気付いたのは、どういうことか」と聞かれ、「多分、GEがダメだということでしょう」と答え、「目一杯、欠陥が見えていた。50ヵ所くらい直さなければ、と提言したら、大半は受け入れて、考えてくれてはいたけれど…」と続けた。

 岩上安身が「日本は技術的に優れていると言われるが、原子力を使う先進国で、自前で技術を立ち上げたことのない国は日本だけ」と指摘したことに対し、菊地氏は、自身のこれまでの経験をふまえながら、次のように解説する。

 「福島6号機をやっている時に、もし、新しい炉が日本の原子炉メーカーが作ったものだったら、東電は採用しないと言っていた。アメリカは、それなりに実力がある。どういう壊れ方をするのかという暴走試験をする。それは、散らばった配管の状況を見て設計し直すということで、『日立や東芝はできないだろう』という意味で言っていると思う。

 GEがどこまで丁寧に実験しているかは、話でしか知らないが、日本のメーカーとは違うことは感じた。しかし、間違いなく、いろんな欠陥があった。最初に原子炉を見た時、これは日本人が設計する炉じゃない、と感じた。要するに、地震国に建てる原発ではない」

 菊地氏は、スカートと呼ばれる原子炉下部の円形基礎が、直下型地震では必ず壊れる、と指摘する。「保安院の計算も信用できない」と言い切り、その根拠として阪神淡路大震災を挙げ、「40センチ角の鋼鉄の橋桁の柱が、脆性破壊した。鋼鉄の厚みは5センチぐらいだったが、その柱がグニャッと曲がるのではなく、凄いエネルギーで脆性破壊した。これは、実際に地震に襲われてみないとわからない。ただ、阪神淡路でそういう実績がある」と説明した。

地震発生時に配管が壊れても不思議ではない

 岩上安身が「今回の事故で、原発では冷却が非常に大事だということ、そして、その配管が非常に複雑だということがわかった。その中でも、配管類がどうなっているのかが非常に気になる」と述べると、菊地氏は「メインストリーム配管という蒸気の配管と、フィードウォーターという大口径配管の給水ラインがあり、その他、事故の時にまず頭に置いておくべきは、RHR(Residual Heat Removal System)という残留熱除去系のシステム。これが作動すれば、原子炉停止後の熱を取ってくれるのだが、これが動いていない。これらの配管が複雑に走っているが、どうなっているか、まったく言わない」という。

 「とにかく心配なのは、配管にズタズタにヒビが入っているのではないか、ということ。そうだとすると、水を循環させて炉を冷やせない。配管の心配を一番最初にした理由は、壊れても不思議ではないからである。原子炉の配管は、ものすごく複雑でシステムがたくさんある。そして、原発の配管は全部上から吊ってあるので、上向き溶接をしているのだ。

 どういうことかというと、下向き溶接の強度は、上向き溶接の半分ぐらい。金属をくっつける時に熱で溶かすが、上向きでやると溶かしたところのものが下に降りてくる。それを技術でカバーするのだが、上向き溶接だと自分の技術の半分も出せない、と現場の人間が言っていた。おそらく、地震であちこちぶつかっていると思う。こうした現実を想定できていないと思う」

 菊地氏はこう述べ、配管の支持装置は技術として派手さはないが、非常に重要であることを語った。

GE型原発は格納容器の底に穴がある欠陥品

 話題は格納容器に移り、菊地氏はGEの原発の欠陥として、「格納容器の底に穴があいている。通常運転時には制御棒が入っているが、穴がたくさん底にあいて入っている」と述べ、それはチェルノブイリ原発事故の時に指摘され、GE型の原発は許可すべきじゃないとの議論があったことを明かした。

 さらに、菊地氏は「圧力容器の底の真ん中に核計装と言われる、原発を運転していくための計測システムの配線が通っている。だから、そこはザルみたいなもので蜂の巣みたいになっている。ここにGEの原子炉圧力容器の弱みがある」と述べた。岩上安身は、「根本的な欠陥。ここに炉心が溶融して、被覆管が破れて、燃料が溶け落ちていったら貫通してしまう」と指摘した。

 岩上安身は続けて、こう尋ねた。

 「現在、1日600トンの水を入れていて、冷やし続けないといけない。当然、水圧もかかりながら漏れているはず。でなければ、あれだけの量の水がなくなる理由はない。こういう状態のまま、『安定している』『落ち着いている』と散々言われて、3~9ヵ月という工程表が出されたものの、どういう方法で収束していくかは、まるで書かれていない。彼らが発表した方法を見て、技術者として可能だと思うか」

 菊地氏は、「わからない。ただし、現状が正確に把握されて、それが報告されていれば打つ手はあると思うし、打たなければいけない。放射線レベルが高くても、ロボットを使用したりして、やらなければいけない。

 漏れ続けている状態でも、長期間冷やし続けることはできる。ただし、格納容器はもたないんじゃないかと思う。容量の問題もあるけれど、それ以上に、格納容器を作る時の溶接の強度を、自分は信用していない。だから、圧力をかけたり、大きな余震が来たら壊れる心配がある」との認識を示した。

地盤のボーリングサンプルをごまかして作られたのが川内原発?

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