「福島第一原発事故・2年目の実態 ~何が起こり、これからどうなるのか~」――伴英幸氏(原子力資料情報室共同代表)講演会 2013.3.3

記事公開日:2013.3.3取材地: テキスト動画
このエントリーをはてなブックマークに追加

(IWJテキストスタッフ・荒瀬/奥松)

 2013年3月3日(日)14時から、群馬県前橋市の前橋市総合福祉会館で「伴英幸氏(原子力資料情報室共同代表)講演会」が開催された。伴英幸氏は「福島第一原発事故・2年目の実態 ~何が起こり、これからどうなるのか~」をテーマに、福島第一原発の現状と被曝労働、核のゴミの問題や健康被害などについて話をした。

■全編動画

  • 講演者 伴英幸氏(原子力資料情報室{CINIC} 共同代表)
  • 日時 2013年3月3日(日)14:00~
  • 場所 前橋市総合福祉会館(群馬県前橋市)
  • 主催 力合わせる200万群馬 さよなら原発アクション

 伴氏は、原発が作り出す放射性物質について、「核分裂をしたあとの物質は、ほとんどが自然界に存在していない放射性物質である。人体への毒性という視点で見ると、原発の中で核分裂をしたあとの放射能は、もとのウラン燃料より毒性が10桁くらい増える。外へ出さないようにしても、事故があれば大量に出てしまう。1トンの放射能の毒性は、100万年経っても、人間の経口限度量の3000億倍という量である」と話した。さらに、「1基の原発を1年間動かすと、20トンから25トンの放射性物質が作られる。仮に、日本の原発すべてを動かすと、年間80トンから100トンの使用済み燃料が生まれる。原発を動かすことは、すさまじい量の放射能を作り続けることだ。これらはすべて、将来の世代に『負の遺産』として残される」と述べた。

 伴氏は、福島原発には依然として危険が残ることを指摘し、「4号機の使用済み燃料プールに水が漏れるような亀裂が入れば、冷却ができなくなり、燃料が溶ける。使用済み燃料プールは、上部に覆いがないので、そのまま大気中に放射能がもれてしまう。東電は、今年の11月から燃料の取り出しを開始するとしているが、現在はそのための足場を作っている状況だ」と話した。

 また、原発作業員の被曝労働の実態に対して、伴氏は「作業員には、通常の原発稼働時の労働を遥かに超える被曝が起きている。被曝量が100ミリを超えたら作業ができなくなる。40年後の廃炉に向けて、ロボットの開発もされているが、すべての作業を担うことはできないだろう。東電は2万人の作業員と言っているが、実際は8千人ほどしかいない。被曝量が限界になって、熟練工をはじめとする作業員たちがいなくなる問題は深刻だ」と語った。

 福島県で、甲状腺がんと診断された子どもが3名になり、疑いがある人が7名見つかったことに対し、福島の県民健康管理調査の検討委員会では事故の影響を否定しているが、伴氏は「3万8千人の先行調査で7名の予備軍を含む計10名の甲状腺がんは、明らかに大きい数字である。ヨウ素だけでなく、セシウムの影響を考えると、今後はもう少し大きい影響があるかもしれない」と話した。

IWJの取材活動は、皆さまのご支援により直接支えられています。ぜひ会員にご登録ください。

新規会員登録 カンパでご支援

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です