2013年2月27日(水)18時より、東京都千代田区の弁護士会館で、「シンポジウム『顔画像で行動を検索できる社会と私たち~便利さはプライバシーに勝る?』」が行われた。元北海道警察の原田宏二氏は「警察は基本捜査が足りない。IPアドレスや似顔絵、画像などで事件を追おうとすると、とんでもない方向に行ってしまい、危険である」と述べて、警察の捜査手法に「現場感」が抜け落ちていることを批判した。
(IWJテキストスタッフ・関根/奥松)
2013年2月27日(水)18時より、東京都千代田区の弁護士会館で、「シンポジウム『顔画像で行動を検索できる社会と私たち~便利さはプライバシーに勝る?』」が行われた。元北海道警察の原田宏二氏は「警察は基本捜査が足りない。IPアドレスや似顔絵、画像などで事件を追おうとすると、とんでもない方向に行ってしまい、危険である」と述べて、警察の捜査手法に「現場感」が抜け落ちていることを批判した。
■ハイライト
主催者代表の開会挨拶では、日弁連副会長の宇都宮まゆみ弁護士が「私たちは、監視カメラは犯罪防止に役立っていると考えているが、2011年の警察の街頭監視カメラの検討会では、犯罪の減少効果はみられない、と報告されている。街に出ると、無数の監視カメラによって、私たちのプライバシーは侵害されている。趣味嗜好もわかってしまう」などと述べた。
次に、奥村氏の基調講演「ここまで進んでいる顔認識技術」に移った。奥村氏は「顔認証とは、指紋などのバイオメトリック認証のひとつで、個人の身体的特徴を見極める技術。検査装置も小さくてすむが、個人の差が少ないので、環境の変化、変装などで間違えやすい。今では双子が認識できるようになったという。使用例では、日韓ワールドカップの際、関西国際空港でフーリガンのチェックをした」と語った。
続けて、「身近にも、写真管理ソフト、デジカメ、フェイスブックなどで、顔認証が利用されている。フェイスブックにアップロードされた顔写真は、自動的に同じ顔が集められ、タグ付けされ管理されている。しかし、ドイツではフェイスブックの顔認証は使用できないようになっているという」と述べた。また、大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)では、年間パスポートを顔認証(NEC社製NeoFace使用)で行っているといい、大阪弁護士会の実験で、変装してUSJに入場を試みた際の映像を見せた。さらに、「全国の監視カメラの数は数百万台とも言われており、警察は、民間の映像を吸い上げる形になっている。日本では、プライバシーや肖像権の保護が法的に遅れている」と説明した。
次に、「防犯・検挙のために必要なことは何か」と題し、原田氏が講演を行った。
(…会員ページにつづく)