福島県有機農業ネットワーク全国集会「農から復興の光が見える! ~有機農業がつくる持続可能な社会~」 2012.3.24

記事公開日:2012.3.24取材地: テキスト動画
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 2012年3月24日(土)、福島県郡山市のホテル華の湯で行われた、福島県有機農業ネットワーク全国集会「農から復興の光が見える! ~有機農業がつくる持続可能な社会~」の模様。放射線による農業被害の低減のためには、現状の汚染状況の正確な把握が必要との認識が示された。

■全編動画
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  • 日時 2012年3月24日(土)
  • 場所 ホテル華の湯(福島県郡山市)
  • 主催 福島県有機農業ネットワーク ふくしま集会実行委員会

 小山氏は、本来の放射性物質拡散の責任は東京電力、その後の対策に不備があった点では、県、市、農協等の責任問題もあるが、基本的には政府の問題であると指摘した。その点に関して、放射能汚染の問題が福島県に限った問題でなく、宮城、茨城、栃木も同じで放射能に県境はないからだと語った。そして、農業被害について風評という言葉を使うと生産者対消費者という問題に矮小化することになると述べ、これは噂でなく実害であり福島県農産物が安全基準を満たしても売れない理由は、検査体制あるいは汚染状況の把握がされていないことに起因すると指摘した。この対策として、現状分析の実施、汚染状況の正確な把握、そして除染でなく吸収抑制で進めるための計画が必要と語った。

 また、消費者と生産者に関連して両者は対立するのではなく、連携が必要だと話し、実際に自分たちの目で線量を測定することの重要性について福島大学での取り組み例を説明した。2011年10月24日・25日、復興マルシェを開催し、その場で農作物の放射線検査を実施したことを話し、検査方法、放射線知識、汚染マップの作成についてそれぞれ実践したと話した。したがって、放射能汚染対策は農家がやればいい、県がやればいいということではなく、消費者も連携して進めていくことが必要と語った。一方で、研究者の連携についても言及し、福島県に多くの研究者が訪問し検査、調査、分析をしているが福島に報告せず、海外で発表しているのは何のため研究なのかと疑問を呈した。そして、放射能対策は、関係者すべてが連携し、統一的に推進してくことが必要と訴えた。

 長谷川氏は、昨年来、大きな不安の中で農業を進めてきたが、結果としてセシウム検出量は予想以上に少なかったと述べた。福島産の野菜は20ベクレル/kg以下、じゃがいもで40ベクレル/kg以下、果物は一部、柿、キウイフルーツで100ベクレル/kgを超えたが農家の努力により全体として低い値であったことを報告した。この結果を踏まえ、福島県全体がひどく汚染していると誤解を生む、基準を超えた農産物に焦点をあてる報道や放射線権威の講演は腹立たしいと語った。今後についてはさらにセシウム検出量を抑えるために、現状の汚染を正確に把握すること、そのデータから対策を考えて進めることが重要と語った。

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