【第76-77号】岩上安身のIWJ特報!「時代錯誤な言論弾圧」を体験した当事者が指摘する、自民党改憲草案の危険性 2013.2.18

記事公開日:2013.2.18 テキスト独自
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 結局は、言いがかり同然の、「不当逮捕」だったと言わざるをえない。

 2012年12月28日、阪南大学准教授の下地真樹氏が大阪府警曽根崎警察署から釈放された。20日ぶりの拘留からの解放だった。自宅に踏み込まれ逮捕されたのは、昨年12月9日朝のこと。家宅捜索も受けた。

 10月17日にJR大阪駅構内で街宣行為を行ったとして、「威力業務妨害罪」と「不退去罪」の容疑がかけられたのだが、下地氏らは、そもそも街宣行為すら行なっていないと主張、大阪府警は「違法行為」があったという事実も立証できず、結局は起訴できず、不起訴、釈放に至った。

 仮に駅構内で街宣活動をしていたとしても、(下地氏らはその事実はないと否定している)それだけのことで、逮捕拘留は明らかに行き過ぎである。まして下地氏らの主張通り、駅構内を歩いて通過しただけならば、大阪府警は公権力を濫用して、下地氏が熱心に取り組んでいた、震災がれき広域処理反対運動に対する弾圧を行ったのではないかと批判されても、これでは反論のしようがあるまい。

 警察権力がそこまでムキになって反対運動を抑えこもうとするのはなぜなのか、逆に疑問がわく。そもそもがれきの広域処理とは何だったのか。振り返ってみよう。

記事目次

  • 事件の経緯 ~ 威力業務妨害と不退去罪などありえない
  • 10月17日以前からはじまっていた弾圧
  • 10月5日、警察は最初から明らかに狙っていた
  • 逮捕されると前からわかっていた
  • これは公安の職権濫用罪だ
  • 逮捕された日のようす
  • 留置場での生活
  • 手紙の検閲を逆に利用しよう!?
  • 留置場での入浴、食事など
  • 「中の人たち」との交流
  • 「逮捕して勾留」の必要性
  • 取調べで「完黙」は正しい
  • 取調べ ~ 「主導権は自分にある」ということを忘れない
  • 立憲主義を全否定する自民党の改憲草案
  • 憲法研究者たちが声明を出すほどの異常事態
  • わざわざ新設された「21条2項」
  • 違憲状態の選挙に勝った議会が憲法改正
  • 戒厳令まで書いてある改憲案
  • 官憲よりひどい産経新聞
  • 『イヤだ』と思う人が止めなければ、絶対に止まらない
  • 表現の自由の重要性
  • すべての日本に暮らす人にとって、この半年は重要

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「【第76-77号】岩上安身のIWJ特報!「時代錯誤な言論弾圧」を体験した当事者が指摘する、自民党改憲草案の危険性」への2件のフィードバック

  1. 道下啓子 より:

    【第76号レビュー】
    「原発反対!」「放射能の拡散はやめて」…それだけじゃないかもしれない。「TPP反対!」「戦争は認めない」…おかしいと思うことに「おかしい」の声をあげ、逮捕!?
    関西で、震災がれきの広域処理に反対の声をあげ、逮捕された下地真樹阪南大学准教授への岩上さんによるインタビューは、微に入り細に入り、リアルで面白く、そらおそろしい。明日は我が身?
    ”逮捕”の脅しに萎縮することなく、声をあげ続けるためにも参考になる号。
    関西で「震災がれきの広域処理」問題に精力的に取り組んでいる、モジモジ先生こと下地真樹阪南大学准教授が逮捕されたのは、昨年12月9日のこと。釈放された翌日の、岩上さんによる下地氏へのインタビューが、今回のメルマガの内容である。
    下地氏が逮捕された理由は、2012年10月17日、JR大阪駅北側スペースで拡声器を用い「小一時間、しゃべりました。その後、~(略)~駅の構内を通り抜け」(下地)たため。
    こんなことで逮捕されるのかと、常識的に考えると信じがたい話だが、実際に下地氏は逮捕され、20日間、勾留された。この逮捕・勾留に対し、大学人や憲法研究者が立ち上がり、それぞれに『不当性』を訴える声明を発表。署名集めや不当逮捕の周知など、釈放を求める運動のうねりにより、氏は起訴を免れ、12月28日に釈放となった。が、同じ事案で逮捕された1名は起訴され、いまだ勾留中と言う。
    関西で、いま何が起きているのかーー。
    前半の76号では、下地氏の逮捕以前から始まっていたという関西での『弾圧』の経緯と詳細、下地氏の逮捕状に実際に書かれていた『ウソ』、家宅捜索の模様などが詳しく語られる。また、「いつ逮捕されるかわからない」と半ば冗談で、しかし半ば本気で言う岩上氏の丹念な質問により、下地氏の留置されていた曾根崎署での風呂や食事事情、同房者のことなど、ことこまかに語られる。下地氏特有のユーモアをたっぷりと含む口調で語られる現実には、何度もゾッとさせられる。
    世の中の「おかしい」に、はっきりと「おかしい!」の声をあげている方にとっては、ととてもではないが”他人事”とは言っていられない内容…読んでおくことをお勧めする。

  2. 道下啓子 より:

    【第77号レビュー】
    昨年、逮捕・勾留されたモジモジ先生こと下地真樹阪南大学准教授への岩上さんインタビュー後半。警察、留置場、司法、報道、憲法…人の目に触れない場所で、何が行われいるか。ひどすぎる”現実”は、にわかには信じ難い。自分の慣れ親しんでいるものを”現実”と思いたい。が、それは幻想にすぎないと気づかされる77号。人権とは、憲法とは、自民党がしようとしていることとは。衆院選までの半年間、私たちにできること。必読です。
    昨年、「震災がれきの広域・焼却処理」への反対の声をあげ、逮捕・勾留された、モジモジ先生こと下地真樹阪南大学准教授への、釈放翌日に行われた岩上さんによるインタビュー、後半。
    人の身柄を拘束することは”人権”にかかわる問題であり、それ相応の真っ当な理由がいる。が、勾留理由を明白にしないまま、勾留し続けるという日本の司法の現状が語られ、しかも「逮捕」の一点だけをとりあげ、ありもしないことを報道する、たとえば産經新聞のようなマスメディアとタッグを組む”警察権力”の実態が明らかにされる。
    また、詳細な取り調べの模様、完全黙秘が最大の自衛になる理由、命令系統に縛られている警察組織のありよう、ゆえに、ひとりひとりが自身の考えによって自発的に動いている”市民運動”の実態が把握できず、理解できなくなっているという警察官の受けている阻害
    など、”中”に入らなければ見えてこないリアルな話の連続である。
    もちろん、岩上氏のインタビューはそこに留まらず、話は自民党の改憲案に及ぶ。
    昨年の下地氏逮捕を受け、緊急に発表された憲法研究者による『JR大阪駅頭における宣伝活動に対する威力業務妨害罪等の適用に抗議する憲法研究者声明』を例にとり、対する自民党の憲法草案に新設された21条2項『前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは認められない』の意味するところは何かを問う。このくだりは、日本に居住する者として、知らずにはおけない、最重要部分かと思われる。
    下地氏は、こう締めくくる。「いま日本に暮らしている1億3千万人の生きている人すべて、80歳なら80年、50歳なら50年と、その人の人生のなかで、この(参院選までの)半年がもっとも重要な半年になると思う。そのつもりでやりましょうということを言いたいです」

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