第25回大阪府市エネルギー戦略会議 2013.2.4

記事公開日:2013.2.4取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・花山/澤邉)

 2013年2月4日(月)8時30分より、大阪市都島区の大阪市公館レセプションホールで「第25回大阪府市エネルギー戦略会議」が行われた。出席委員により、これまでにまとめてきた提言内容が確認され、了承が得られた。

■全編動画

  • 出席者
    植田和弘会長(京都大学大学院経済学研究科 教授)、古賀茂明副会長(元経済産業省大臣官房付)、河合弘之委員(さくら共同法律事務所 弁護士)、佐藤暁委員(原子力コンサルタント)、高橋洋委員(株式会社富士通総研 経済研究所 主任研究員)、長尾年恭委員(東海大学 海洋研究所 地震予知研究センター長)、加藤大阪府環境農林水産部理事、玉井大阪市環境局長 *河合委員はインターネットで参加
  • 議題 (1)大阪府市エネルギー戦略の提言(案)について (2)その他
  • 日時 2013年2月4日(月)8:30
  • 場所 大阪市公館レセプションホール(大阪府大阪市)

 会議の冒頭、植田会長は今回の会議の内容に関して、2月8日に大阪府市統合本部に報告する提言の骨格部分の確認と述べた。また、最近、規制委員会から原子力発電所規制に関わる安全基準の案が出てきたことから、世界水準の安全基準と現在の案について確認すると説明があった。

 佐藤委員は、規制委員会の新安全基準の骨子に関して、「欧米の基準と比較すると、非安全側になっているものが数多くある」と指摘した。具体例として、「過酷な自然現象について、昨年10月に発表されたヨーロッパのストレステストのレポートでは、確率的に1万年に1回程度の地震や洪水を基準にすると数字を入れて明記しているが、日本の場合は数字で明記していない」ことを挙げた。また、「日本では以前から、土木学会の提唱した手順で建物の耐震基準を決めていたが、2000年を過ぎてから、この基準を超過する地震が5回起きていることを見ても安全といえない」と語った。また、火災への対応について言及し、「日本では、難燃性ケーブルを使うという記述だが、アメリカは、難燃性ケーブルも燃えるという認識を持っている。火災は『起こさない』『起きたら消す』というレベルの災害ではない。いつどこで火災が発生しても、原子炉の安全を担保することが火災の考え方で、日本とは違いがある」と指摘した。

 続いて、提言内容の確認では、脱原発の考え方、進め方について高橋委員から、「経済的な方向から脱原発が決まることになる。シミュレーションして、ロードマップをきちんと出すことが国民の理解を得るために必要」との説明があった。次に、古賀副会長は、脱原発コスト負担の基本的な考え方について、「安全基準が変わることによる対策コスト、廃炉コスト、使用済み核燃料の保管コスト、損害賠償のコスト、これらは原則として電力会社が負担すべき」との見解を示した。また、電力会社の破綻に関しては、「あらかじめ対応策を協議し、法体制を整備すれば、会社更生法が適用できる」と語った。電気料金への影響については、植田会長が「原発ゼロシナリオにしたから電気代がものすごく上がるということではない。すべてのシナリオに従って上がる。その上がり方の比較でいうと小さな影響であり、電気料金のモデルに組み込まれている温暖化の影響が大きい」と説明した。

 最後に植田会長は「脱原発の考え方、進め方をドラスティックに展開するには、安全基準の問題と経済的なルールの問題の解決が必要であり、それらが原発稼働の責任を徹底することにつながる」と語った上で、「脱原発に向けて政策的な関与として、準備委員会を立ち上げ、具体的なプログラムを作って進めていくということが我々の基本的なメッセージの1つ。移行過程における、電力需給や電力会社の経営破綻、電力システム改革に関わる問題についての話をしていく。同時に代替の電力エネルギー源や再エネ省エネに関わる問題を進めていくことの経済的影響をどう評価するか、こうした移行過程の工程表も、脱原発の準備委員会で具体化していくことになる」と提案内容をまとめた。植田会長は、提案について出席委員から了承を得たあと、「今後は、統合本部の意見を踏まえて最終的な提言書の作成に進む」と述べた。

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