2012年3月16日(金)、文部科学省旧文部省庁舎にて行われた、第26回原子力損害賠償紛争審査会の模様。
(テキスト・遠田)
2012年3月16日(金)、文部科学省旧文部省庁舎にて行われた、第26回原子力損害賠償紛争審査会の模様。
■ハイライト
審査会では、政府による避難区域の見直しに伴う、新たな賠償指針が決定された。その内容は、「精神的損害の損害額を、避難者の住居があった地域に応じて算定し、避難指示解除準備区域に住んでいた人には、1人当たり月額10万円が支払われる」「居住制限区域は、月額10万円を目安に、2年分をまとめて請求することができる」「帰還困難区域は、月額10万円を目安に5年分の請求ができる」というもの。
避難指示解除準備区域は、比較的早く避難指示解除が行われると考えられ、これまで通りの月払いとなった。ほかの区域では、避難が長期化する可能性が高いため、生活再建には一括での支払いが適当と判断された。そして金額の目安について、帰還困難区域では個別の事情や長期化を考慮し、「これを上回る額が認められ得る」と定められた。居住制限区域では、賠償額は帰還困難区域の損害額を超えない程度で追加が認められる方針だ。また賠償額の上限は、指針に明記されない見通しである。
審査会ではほかに、特定避難勧奨地点の賠償や営業損害に関する指針について検討が行われた。最後に、文部科学省副大臣の奥村展三衆議院議員が挨拶を行い、「(文科省としては指針を)できるだけ早くホームページに掲載したい」と述べた。