2013年1月17日(木)17時から、水戸市の常陽芸文センターで、茨城県東海村にある東海第二原発を巡り、国などを相手に運転の差し止めを求めた裁判の、第1回口頭弁論の後の、原告弁護団による記者会見が行われた。
(IWJテキストスタッフ・富田/奥松)
2013年1月17日(木)17時から、水戸市の常陽芸文センターで、茨城県東海村にある東海第二原発を巡り、国などを相手に運転の差し止めを求めた裁判の、第1回口頭弁論の後の、原告弁護団による記者会見が行われた。
■Ustream録画 1/2(16:25~ 59分間) 36分00秒~記者会見開始
■Ustream録画 2/2(17:24~ 3分間)
訴訟を起こしたのは、東海第二原発が立地する東海村の市民ら260人余り。弁護団長の河合弘之弁護士は、「今日は歴史的な裁判の、口頭弁論の第1回目が行われた」と切り出し、「傍聴席は完全に埋まっていた。これは非常に重要な意味を持つ。なぜなら、裁判官は、原発問題に対する社会の関心の高さや、人々の怒りの大きさを感じ取ったに違いないからだ」と力を込めた。
また、東海第二原発が、過去に行政訴訟で完敗していることに触れ、「同じところで2度、裁判は行なわないのが通例。だから、歴史的裁判と言えるのだ。背景には3.11があり、もはや事情は変わった」と語り、国は、一昨年に起きた福島原発事故を直視し、原発政策の方針を大幅に修正すべき、との考えを示した。
そして、この日の口頭弁論について、「これまで原発裁判を経験してこなかった、地元の若い弁護士が、自分の勉強成果を裁判所にプレゼンテーションできたのが大きく、同じような現象が日本各地に起こっている。同種の訴訟が起きていないのは、東通原発と女川原発ぐらいだ」と述べ、客席に向かって次のように呼びかけた。「今回は、いつになく裁判所が真剣に、われわれの訴えに耳を傾けてくれているのも好材料だ。われわれ弁護団は、一丸となって、この裁判を(いい意味で)面白いものにしていくので、これからも、どんどん傍聴に出向いてほしい」。
質疑応答では、事業者である日本原子力発電が、答弁書の中で、「原発は絶対的安全を求められていない」と主張していることについて、意見を求められた。海渡雄一弁護士は「北海道の泊原発も、やはり3.11後の訴訟で、事業者(北海道電力)が同じ主張をしている。これは、もはや原発は絶対に安全ではないことを、事業者側が認めている証拠。それ自体は、事実認識の面で前進と言える。だが、そうであるなら、原発を稼動させてはいけないはずなのに、動かそうとしている。これは、事業者や国が、原発周辺に暮らす人たちの生命を軽視してもいい、と考えていることを表している」と話した。
同じ質問に対し、河合弁護士は「3.11後、原発推進側は、科学技術の世界に存在する『失敗は成功の母』の価値観で立論している。当該する科学技術の長所を尊重し、短所は克服すればいいという考え方だ。しかし、飛行機事故と原発事故とでは、時間・空間面の不可逆性で、レベルが違いすぎる。われわれは、この点を論破していく」とした。また、原告適格に関する問いかけについては、「原告の過半数は、原発の近所に住んでいる。つまり、そんなことを指摘したところで、裁判が終わるわけではない。ただの嫌がらせでしかないと思う」と述べた。