2013年1月14日(月)14時から、福島県いわき市の総合保健福祉センター(内郷保健センター)で、「鮫川村放射性廃棄物焼却施設を考える講演会」が行われた。環境省が、水道水の水源がある鮫川村に、稲わらや牧草、牛ふん堆肥など農林業系副産物といわれる放射性廃棄物の焼却実証実験施設を、十分な調査も村民への説明もないまま、建設しようとしている問題ついて、廃棄物問題の専門家である関口鉄夫氏が講演を行った。
(IWJテキストスタッフ・富山/奥松)
2013年1月14日(月)14時から、福島県いわき市の総合保健福祉センター(内郷保健センター)で、「鮫川村放射性廃棄物焼却施設を考える講演会」が行われた。環境省が、水道水の水源がある鮫川村に、稲わらや牧草、牛ふん堆肥など農林業系副産物といわれる放射性廃棄物の焼却実証実験施設を、十分な調査も村民への説明もないまま、建設しようとしている問題ついて、廃棄物問題の専門家である関口鉄夫氏が講演を行った。
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Part.2
Part.3
まず、関口氏は、平成10年に、廃棄物処理及び清掃に関する法律が、大きく改正されたことに触れ、改正された原因として、開発計画区域において、3000平方メートル以下の土地や、焼却炉の焼却能力が1時間あたり200キロ以下であれば、開発許可を必要とせず、届け出だけで済む裾切り条件があった点を説明した。また、書類上、2999平方メートルと申請することによって、法律をかいくぐる悪質な業者が日本中で横行していたこと、法改正のために、平成9年に産廃処分場の建設ラッシュがあった点についても触れた。
環境省が、建設区域であるにもかかわらず、地下水の調査を行わないまま、「地下水汚染はあり得ない」と説明し、実証実験という名目で、鮫川村に放射性廃棄物焼却施設を建設しようとしている点を問題視する関口氏は、「実証実験が、どういった目的で行われるのかわからない。バグフィルターが99.9%放射性物質を除去できるか、という効果を確認するにしても、クリーンルームでやらない限り、正確なデータは取れない」と述べた。
続けて、「悪質な業者と、環境省の姿勢は変わらない」と述べ、「仮に焼却施設を作るのであれば、環境アセスメントはもちろん、事前に地域住民に対して、すべての情報を公開するのが、執行者たる環境省の役割である」と、建設計画を住民に知らせず、秘密裏に進めていた環境省のあり方を問題視。鮫川村の焼却施設建設計画が、一種の脱法行為である点を指摘した。その上で、「住民が混乱している間に施設を建設してしまい、運用するためには、行政はどのように対処したらよいか、という実験であれば、非常に効率的なのかもしれない。しかし、鮫川村は、福島県の中では放射能の汚染度は比較的低く、あえて二次汚染で汚すことはない」と話した。
また、環境省の常套手段として、技術と運用はゼネコンに丸投げし、技術を持たない人間たちが責任を持ち、施策に迎合する構図を解説した。その上で、「環境省の職員は、住民に対して説明責任を果たし、何を行おうとしているのかを、地域の人たちに理解してもらうことが必要である」と指摘した。市民に対しては、「今、考えなければいけないことは、先祖が守ってきたきれいな水や空気、土こそが我々の財産であり、生きていく基礎であることを自覚すること。環境省は、我々が生きていくための本質的な権利を破壊しようとしている。行政が何を行っているか、徹底的に検証するべきだ」と呼びかけた。