2022年1月24日午後6時30分より、東京都豊島区のとしま区民センターにて、「刑務所体験者が語る獄中処遇の問題点-刑法・刑罰制度大改悪を前にして-」と題した講演会が開催された。
主催は、刑事法改悪に反対する学者や弁護士らによる市民団体「刑法・少年法改悪に意義あり!緊急アクション」。
講師として登壇したのは、「NPO法人マザーハウス」の理事長を務める五十嵐弘志氏。五十嵐氏は、受刑歴約20年。獄中でキリスト教と出会い、改心し、出所後、洗礼を受けた。現在、自身が理事長を務める「NPO法人マザーハウス」を通じて、受刑者・元受刑者の社会復帰支援を行っており、当事者視点・当事者体験にもとづく活動を目指しているとのこと。
法務省は「懲役」と「禁錮」の両刑を一元化した「拘禁刑(新自由刑とも呼ばれる)」の創設へ向け、刑法・刑罰制度を改正する関連法案を2022年の通常国会に提出する方針だ。
現状、「懲役刑」では、受刑者は刑事施設に拘置され所定の作業に従事させられるため、再犯防止に必要な指導等のための時間が制限されている。また、「禁固刑」では、受刑者は刑事施設に拘置されるものの、作業に従事する義務はないが、「何もせずに過ごすのが苦痛」等の理由で約8割の受刑者が、本人の希望で、何らかの作業に従事している。
この2つの刑を一元化し、受刑者の改善更生を図るために必要な、再犯防止に向けた教育プログラムや指導に充てる時間を充実させるのが、この「拘禁刑(新自由刑)」創設の目的だ。
だが、この法改正も含め、受刑者の獄中の処遇、また、出所後の受刑者に対する社会の待遇の現状について、五十嵐氏は次のように語った。