れいわ新選組が命の選別発言の大西つねき氏を除名! 山本太郎代表は会見でIWJ記者の質問に答え、大西氏擁護発言をする人々について「れいわの本質を理解できている方ならそういう解釈にはならない」と批判! 2020.7.16

記事公開日:2020.7.17取材地: 動画
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(取材:田上壮彌 文:IWJ編集部)

 れいわ新選組の大西つねき氏が、7月3日に自身のYouTubeアカウントで配信した動画の中で、「高齢者の命を選別すべき」と発言したことに対して、れいわ新選組は昨日16日午後4時より参議院議員会館で臨時総会を行い、その後、山本太郎代表が記者会見を行った。

 記者会見は当初、午後7時半から行われる予定だったが、総会が長引き、始まったのは午後9時15分だった。

 記者会見には山本代表と木村英子参議院議員、舩後靖彦参議院議員が参加。最初に山本代表から、大西氏が除籍処分となったこと、評決は除籍の提議に対し、委任1を含め、賛成14、反対2であったこと、反対の2票は、「命の選別は許さない」という点では賛成と同じであったものの、除籍処分ではなく離党勧告が相当ということでの反対であったことが説明された。

 続いて木村議員が「大西つねきさんの『命の選別を政治でやらなければならない』という発言に恐ろしさを感じている」と述べ、「参議院選で立候補しようと思ったのは、山本太郎さんが『障害を持っている当事者が政治を変えて欲しい』と言った、その精神に感動し、障害を持ちながらも多くの障害者の現状を少しでも変えるために議員になった」と語った。

 木村議員は「その中での大西さんの発言は、恐怖とともに人として絶対に許すことができない」と表明。その上で「大西さんのような発言は、大西さん個人に向けられるものではなく、社会全体の問題だと思います。障害者の現状をわからず、分けられてきたことでお互いを知らない。そして知らないことからくる差別、それが浮き彫りになったんだと思います」と訴え、これからの活動でそうした差別と向き合っていくと決意を述べた。

 また、舩後議員は、大西氏の動画内での発言について「到底容認できるものではない」と述べ、次のように語った。

 「大西氏は『障害者やその他の社会的弱者を対象にしたものではない』との趣旨のことをおっしゃっています。しかし、そこで一度、大西氏の言うように、順番として、高齢の方からという線引きを許してしまえば、その対象はあらゆるところに広がっていきます。

 最初は高齢者、次は障害者、難病患者、稼げない人。私は進行性の難病があり、人工呼吸器を使わなければ、寿命が尽きています。大西氏の表現する順番どおりで言えば、すでに 線引きの対象にされていたでしょう。

 当初、当事者の声を聞く機会を設けるということで、大西氏がご自身の発言の問題に向き合っていただくことを期待しました。しかし、私も会の一部を見ましたが、その時大西氏の発言からはおごりを感じました。

 氏の経歴を見ても、氏自身がおごらないのは難しいと感じます。

 おごるとは、相手に対し、自分の方が上だと思う心がある、自分に執着することからくる慢心がある、間違ったことを言っても正しいと言い張る我心、つまり自我に囚われた心がある、の3つです」

 そう語った舩後議員は、「そのような人物は政治家に向かない」と断じた。

 舩後議員はそれでもなお「私の意見は大西氏を除籍、ただし、レクチャーは何度でも受ける権利は与えるというものでした」と、コメントした。

 この後、木村、舩後両議員が退場し、山本代表より総会の経緯が説明された。

<会員向け動画 特別公開中>

■全編動画

  • 日時 2020年7月16日(木)19:30~
  • 場所 参議院議員会館 舩後靖彦事務所(東京都千代田区)

<ここから特別公開中>

 山本代表によると、一連の経緯について説明があった後、山本代表が除籍を提案。大西氏本人から事情説明があり、その後質疑があったとのことだが、大西氏は60分の事情説明の時間に対し、15分ほどで終了したとのこと。

 また、山本代表は「大西氏からは、騒がせたことへの反省の弁はあったものの、自説を曲げなかった。『自説を曲げないんですね』とメンバーが追及すると、『謝罪というのは支配的な性格を持つものだ』とおっしゃった」と明かし、その後、質疑の中で、7日に出した謝罪を撤回したということである。

 記者から、大西氏の優生思想になぜ気付けなかったのかと質問を受けた山本代表は、「なぜそのような人が、れいわにいるのか?私の中では、まさかです」と述べた後、大西氏が、このコロナ禍の中で命に対する考え方を変えていったと発言していることを明らかにした。その上で山本代表は、それは言い訳にならないと述べ、参議院選挙候補者として公募で応募してきた大西氏について「彼の持っている側面をキャッチできなかった」と、悔しさをにじませた。

 別の記者から代表としての責任を問われた山本代表は「責任は重大と思っている」としながら、「もともとのれいわの立党の理念として掲げたことと正反対の発言をする人が生まれた。元の考え方に軌道修正するのが、理念を掲げた私の責任。それは私にしかできない」と答えた。

 IWJ記者は「当事者の声を聞く会の直後、15日に大西氏が動画を再公開しています。どうお考えか?」と質問。

 これに対して、山本代表は次のように答えた。

 「動画の非公開を求めたのはこちらです。7日に止めました。それで、11日に本人の判断に任せた。決定権を(大西氏に)戻した。それは、この先一緒にやっていくのは難しいだろうと判断したからです。彼の著作ですし。4日間考えたんだろうということです」

 また、IWJ記者は「ネット上には大西氏批判と同時に大西氏発言を擁護する声も多数見えます。今のれいわの支持者の中には、反緊縮の旗のもとに、命の重さよりもカネや効率を優先する人が一定数集まっているように見えます。この点についてどうお考えでしょうか?」と質問した。

 これに対して山本代表は「その質問は、ある一定の印象に誘導したいように感じる」と反発を示した上で、次のように答えた。

 「必ずしもその人がれいわの支持者ですか。どうしてわかるんですか。れいわと名乗っているからですか?

 実際に 大西さんの発言に関してとんでもない問題であるという認識はあります。で、それに対して当然、命の選別はならんという、当然のことですね。それを許さないために、木村、舩後に国会議員になってもらったんです、私たちは。

 で、その考え方からして、本当にそれを、『選別っていうものも当たり前だろう』って言えてしまう人たちが、れいわの本当の支持者かといえば、私は、そこはわからないところだと思います。

 だって私じゃないですからね。その発言をしているのは。その人たちがどれくらい本当にれいわの支持者かって、どうしてわかります? れいわの支持者を騙っている可能性もあると、私は思います。れいわの本質という部分を理解できてる方だったら、そういう解釈にはならないと。本来ならば。

 でも一方で、れいわの中でも大西つねきさんを支持されている方々の中には、『大西さんを何とかして守らなきゃならない』って考え方になられる方々がいらっしゃるんでしょうと。

 そう考えたときにもやっぱり、冷静になっていただきたいと。この問題は、あなたも当事者に含まれてるんだってことですね。

 大西さんはそうは言わなかったかもしれない。高齢者っていう言い方をしたかもしれないけれども、じゃあ、その線引きしたところが高齢者で止まる保証がどこにあるんですか? その先に障害者、難病者、他にも何かの民族、いろんな形で拡大していく恐れがある問題なんだってことですね。命の選別に関して。

 だから命の重さよりもカネの重さがどうのこうのっていう次元での話ではないと思うんです。

 ある意味、経済政策によって何らかの命の選別をされた方々の、悲鳴なのかもしれなませんね。決してそういうとらえ方をして欲しくないし、それは私は違うと思う。

 大西さんと同化すべきではない、その部分に関しては。これは、大西さんの支持者であったとしても、れいわの支持者だったとしても、この問題に対してはちゃんと向き合ってほしい。

 命の選別を許すわけにはいかないってことですね。だって、大企業の社長だったり権力者でない限りは、全員が当事者ですから。命の選別の対象者となりますから。だからそれを許しちゃいけないんだってことですね。

 なので、その反緊縮っていう考え方を持っている人たちは、金に汚くてっていうこと自体が、おそらくいろんな分断を生むんだろうと。 

 確かに、その経済政策の誤りによって、十分な投資が受けられなくて、自分の人生ってものが、前に進まなかった方々が大勢いらっしゃるじゃないですか。

 その問題をすっ飛ばすわけにはいかないってことですね。

 命の選別ってこともあるけれど、先ほどのご質問の言い回しを私が受けると、ちょっと何がしかの考え方に誘導しようという質問ではないかと危惧します」

 山本太郎代表は、IWJの若手記者の舌足らずな質問に対し、噛んで含めるように「命の選別」という思想の危険について回答してくれた。その点については、深く感謝したい。また「命の選別は許されない」という点について、IWJとしても全面的に同意する。

 大西氏の「命の選別」思想に共鳴し、賛同する人の数は決して少なくない。ネット上にあふれかえっている。7日に山本代表が態度を明確にし、大西氏が一時的な謝罪をして動画を非公開にした後も、大西氏の「命の選別」思想を擁護する声は続き、大西氏の発言を批判的に報じた岩上安身やIWJのもとへはそうした擁護者からの抗議や、罵倒・中傷が多数届いた。そうした「命の選別」思想の持ち主たちと、我々は今後も対峙していかなくてはならない。

 れいわがこの「命の選別」の問題で、態度を旗幟鮮明にしてくれたことは大きな収穫であり希望でもある。

 しかしIWJに「何かしらかの考え方に誘導しようという質問」をする意図などまったくない。

 れいわは「命の尊重・平等」と、金融財政政策で「反緊縮」を唱えられているが、この2つはまったく別次元の話だ。前者はいついかなる時でも、絶対に守るべき公理のような命題である。他方、財政政策において積極財政を取るか、引き締めを行うかは、その時々の経済状況に応じて柔軟に選択すればよいことであり、ドグマのように固定化して掲げるべきことではないはずである。この点においては、いくらでも冷静かつ柔軟で知的な議論が可能なはずだ。

 IWJは経済政策においてドグマは持ちあわせていない。その時々で柔軟に選ぶべきものと考える。山本代表が、口にした「何かしらの考え方に誘導」しようという「危惧」という言葉には、「杞憂です」とお答えしておきたい。

 大西氏は、7月3日にライブ配信した「『正しさ依存症』とそれを生み出す教育について」という動画の中で、「どこまで高齢者をもうちょっとでも長生きさせるために、子供達、若者たちの時間を使うのかってことは、真剣に議論する必要があると思います。こういう話たぶん政治家怖くてできないと思いますよ。命の選別するのかとか言われるでしょ。生命選別しないと駄目だと思いますよ、はっきり言いますけど」と、ナチスの優生思想も顔負けの発言をした。

 この発言について、山本代表が7月7日にれいわのホームページに「れいわ新選組の立党の精神と反するもので看過することはできない」と声明を出したものの、「大西氏には、命の選別の問題に生命尊重の立場から、取り組んでいらっしゃる方々にレクチャーを受けて頂き、命について真摯に向き合うチャンスを与えたいと思う」と、直ちに除名はしない考えを表明した。

 また、大西氏本人も7日、自身の公式サイトに謝罪と撤回を表明し、動画の公開を停止した。

 山本代表は10日、党本部前の路上で囲み会見を行い、「再発防止策を考えているか?」というIWJ記者の質問に対し、「総会の手前でしっかりレクを受けるということを、やっていくことが、お答えにつながっていくのかなと思います」と答えた。

 また、山本代表は、大西氏の発言をはじめて知った7日夜に大西氏と会い、「弁明の余地は全くない」と伝えたことを明らかにしている。総会では山本代表自身が大西氏に対しての除籍を提案することも明言。

 大西氏を即刻除籍しなかったことについては、「首を切って終わり、そのまま野に放つということはできない」「優生思想を広めることになり、社会に与える影響は計り知れない」と訴えていた。

 山本代表のいう「命の選別の問題に生命尊重の立場から取り組んでいらっしゃる方々のレクチャー」について、れいわ新選組は山本代表名で、「当事者からの要請により、内容についてはレクチャーではなく、なぜそのような発言に至ったか、当事者がどう感じたか、などをベースに『当事者の声』を聞かせていただく会となります」と発表。7月14日と15日に行われた。

 ところがこの直後、大西氏はツイッターに「大変お騒がせしております。多くの方から、なぜ元の動画を非公開にしたのかとお叱りを受けておりました。おっしゃる通りで、自分の言ったことを隠すのは本意ではないので、再度公開します」と投稿し、YouTubeの動画のURLも表示した上で、堂々と動画を再公開した。

 これについて、重度障害を持つれいわ新選組の木村英子参議院議員は15日、自身のオフィシャルサイトに、次のように書いている。

 「大西氏の発言についての当事者の意見を聞く会において、当事者たちが涙ながらに意見を訴えたにも関わらず、大西氏は自分の主張がいかに正しいかを話すだけで、当事者の必死な訴えに理解を示そうとはしませんでした。

 さらに、命の選別発言の動画に対して、謝罪と撤回をホームページに載せたにも関わらず、当事者の話を聞いたその翌日に、再び動画を公開し、これからも命の選別の主張を続けていこうという意思表示に私たちは恐怖を拭い去れません」

 ネット上では大西氏に対する批判も多いものの、木村議員に対して「視野が狭い」などと批判するツイートや、大西氏を擁護する声も多数見られる。れいわ支持者を自認する人たちの意見が割れてきた。

 16日の記者会見をもって、れいわの第一の旗は「命の尊重・平等」であることが明らかになったと思われる。大西氏の支持者で、彼の経済理論だけでなく、「命の選別」思想まで擁護してきた人々は、れいわを支持し続けるか、大西氏を支持し続けるか、どちらか選択を迫られることだろう。大西氏の「命の選択」思想に対する批判イコールれいわ批判と思いこむ人は、おそらくいなくなるはずである。

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