いつもIWJをご支援いただき、本当にありがとうございます。
秋風どころか木枯らしが吹きそうな寒さの中、解散風も吹き始めました。様々な噂・情報が飛びかっていますが、米国からTPP交渉参加の表明をせよと、急かされての動き。米国内でも日本のTPP交渉参加に反対の動き(自動車業界と労組)もあり、米国政府としては、日本政府に表明させて、事を進行させようというもくろみであると思われます。
霞ヶ関、財界、大手メディアからの揺さぶり・圧力を受けた永田町では、選挙後の合従連衡を踏まえた虚々実々の駆け引きが進行中。原発の維持推進派(隠れ推進派含め)か、脱原発派か、という選択肢だけでなく、TPP交渉参加賛成か、反対か、という選択肢もそこに加わります。
民自公は、消費税増税と原発推進で足並みをそろえ、事実上の連立を組んできましたが、TPP交渉参加については、自民党が慎重姿勢のため、足並みがそろわない。維新とみんなの党は、TPP参加で一致。メディアからネグレクト(無視)され続けている国民の生活が第一は、増税反対、脱原発については鮮明でも、TPP交渉参加の姿勢ははっきりしない。
今週も、政治の動きから目が離せません。IWJの報道中継にぜひ、ご注目下さい。
さて、次に、最新の会員数のご報告です。
【IWJ会員数報告:11月9日現在】全有効会員数4,061名(内サポート会員944名、一般会員3,117名)
第2期の期末だった10月には一時、会員が減少するという事態に陥りましたが、皆様の、IWJを応援しよう、という呼びかけの輪が広がり、新規登録が増えて、なんとか11月からの第3期のスタートがきれました。心より感謝いたします。とはいえ、現在の配信規模を維持するための最低限度の目安である「会員5000人」という目標にも、まだまだ手が届きません。油断せず、精進するとともに、今後とも引き続き、IWJを御支援いただきますよう、よろしくお願いします。
さて、今週、IWJが行った取材の注目記事は後段に記載していますが、その中でも特に注目していただきたいのが2つあります。
1つ目は、原子力規制委員会が行った「大飯発電所敷地内の破砕帯調査」。2つ目は、京都で開催された「世界遺産条約 採択40周年記念 最終会合」です。
大飯発電所敷地内の破砕帯調査は、11月2日(金)に福井県大飯郡おおい町にある関西電力大飯発電所で行われました。
IWJとしては、佐々木隼也記者をリーダーとして3名からなるチームを組み、車で福井へ向かいました。17時に東京を出発し、現地に着いたのが25時。そして翌日の7時30分から19時まで取材を行うという強行スケジュールでした。現地では、大手メディアをはじめとして多数の取材陣が来ていましたが、現地から中継を行ったのはIWJだけでした。現地調査の後、11月4日と7日に調査の評価会合が行われましたが、もちろんその様子も中継しました。
調査や会合の内容については、月曜日に私がレギュラー出演している文化放送「夕やけ寺ちゃん活動中」や、水曜日に同じくレギュラー出演をしているTOKYO MX「ニッポン・ダンディ」の中で解説を行いました。
ポイントとしては、現地調査で原子力規制委員会の島崎邦彦委員ほか4名の専門家全員が、トレンチ内で「断層のずれ」を確認したことです。そして、そのずれは12~13万年前に起こったことも、全員が認めています。しかし、そのずれの原因が「活断層」によるものなのか、「地すべり」によるものなのかで意見が分かれています。注目していただきたいのは、調査団の一人である渡辺満久東洋大学教授で、会合では「大飯原子力発電所の敷地内に活断層があることは確実だ」と発言しています。11月13日(火)に、私が渡辺教授に単独インタビューを行いますので、そちらもご注目ください。
もう一点、ご報告したいのが、前述した「世界遺産条約 採択40周年記念 最終会合」です。
これは、11月6日(火)~8日(木)にかけて行われたもので、世界遺産条約が採択されて40周年に当たる今年、その40年間の総括と将来的な展望をまとめるために開催された会合です。今年は、1月30日にパリのユネスコ本部で行われた開幕行事をはじめとして、世界各地で記念行事が開催され、そのラストを飾るのがこの会合(ユネスコ・日本政府主催)となります。
ここで、皆様にはこの会合を中継することになった経緯を説明したいと思います。
以前からIWJは、内閣府国家戦略室主催の「需給検証委員会」、「コスト等検証委員会」、「国民的議論に関する検証会合」の中継配信を行なってきました。そうしたところ、今回直接外務省から「中継してもらえないか」という依頼を受けました。海外でこうした世界遺産の会合が行われる場合、近年は中継が行われるのが常識化しており、「日本はどうするのか?」と問われているそうです。しかし、外務省にはそのための予算がなく、自前で配信を行うノウハウがないとのこと。そこで我々IWJに中継してほしいとの依頼でした。私たちとしても、内容の公共性に鑑み、ぜひ広く世の中に伝えたいと思い、中継配信を行うに至りました。なお、会議の模様は全編英語で行われ、同時通訳は権利の都合、ということで流せませんでしたが、内容については、これから日本語訳をお届けするようにしたいと思います。
私たちは、配信請け負い業者ではなく、報道です。当然、省庁からの依頼に対し、有償で中継を行うことはありません。いただいた話とはいえ、外務省やユネスコからは、報酬は一円も受けとりません。交通費、宿泊費などの諸経費や、会場である「京都国際会館」の中継のために必要な設備使用料もIWJ自らが負担しました。先日、IWJの財政面の窮状を訴え、皆さんにさらなるご支援を仰いだばかりなのに、コストのかかる取材を行うなど何事かというご批判もあるかもしれませんが、緊急性の高い事件報道だけでなくこうした公共性や公益性の高い会議やイベントを伝えていくことも「公共性のある新時代の情報インフラ」をめざすIWJのひとつの社会的使命と考え、いただいた機会を活かしてオープンな中継でお届けしました。是非ご覧になってください。
皆さまには、何卒ご理解いただき、資金難を乗り超えてこうした価値ある取材を続けてゆくためにも、会員登録およびカンパによるご支援を、どうぞよろしくお願いいたします。
IWJはこれからも、市民に直接支えられるメディアとして、市民が必要とする情報をお伝えしていきたいと思います。今後ともご理解ご協力をお願い申しあげます。