安倍総理は12月2日の国会答弁で(ジャパンライフの)「山口氏と一対一のような形でお会いしたことはない」と、典型的な「ご飯論法」で切り抜けようとはかったが、父・安倍晋太郎氏が外相時代、ニューヨークに山口氏が同行。父の秘書として安倍総理も同行していたことを外務省が明らかにした。
ジャパンライフのマルチ商法による被害総額は約1800億円。しかし、ジャパンライフが破産しても被害者の救済の見込みは立たないのである。
悪質なマルチ商法を展開し、現在破産手続き中のジャパンライフは、山口隆祥(たかよし)元会長あてに「安倍総理枠」で届いた2015年の「桜を見る会」の招待状を顧客の勧誘に利用していたことが明らかになり、「桜を見る会」問題の大きな焦点の一つになっている。
山口会長は、自身が設立した会社ジェッカーチェーンが当時大きな社会問題となっていたマルチ商法の「三大マルチ業者」とされ、1975年に衆院物価問題等に関する特別委員会に参考人招致された。翌年、訪問販売法が制定され、ジェッカーチェーンは倒産。ジャパンライフは、山口氏がジェッカーチェーン倒産前の1975年に設立した会社である。
- 1年で3度の行政処分を受けたジャパンライフ、被害者弁護団は刑事告訴も検討(東京商工リサーチ、2017年12月13日)
安倍総理は12月2日の参院本会議で社民党の吉田忠智議員の質問に「山口氏と一対一のような形でお会いしたことはなく、個人的な関係は一切ありません」と答弁した。
- 首相、「ジャパンライフ」山口氏と“1対1で会ったことはない”(TBSニュース、2019年12月2日 ※記事削除)
しかし、これは典型的な「ご飯論法」である。
1986年2月10日の衆院予算委では、山口氏と安倍総理の父である安倍晋太郎・元外相の関係が追及されている。安倍元外相は1984年にニューヨークに外遊したが、この時山口氏も同行していた。安倍元外相は、86年の予算委の答弁で「私が国連に行った時、表敬の中に(山口氏が)いたことは事実だ」と認めている。
安倍総理はこの当時、元外相の秘書官だった。外務省は12月6日の野党追及本部のヒアリングに対し、安倍総理が1984年のニューヨーク外遊に同行していたことを認めた。
Youtube動画 https://youtu.be/ZAntJPSbTdo
6日の外務省の答弁により、2日の安倍総理のこの答弁が、虚偽答弁であるとの疑いが強まっている。安倍総理は山口氏とは何者なのか、十分知り尽くした上で「桜を見る会」に招待していたと考えるのが当然だろう。
ジャパンライフが集客に利用した、安倍総理からの「桜を見る会」への招待状は2015年のものだった。しかし、ジャパンライフはその前年の2014年に消費者庁から行政指導を受けている。何より、それよりも30年も前に安倍総理自身が秘書官時代に、父の安倍晋太郎外相が国会で山口氏との不適切な関係について追及を受けているのを目の当たりにしているのである。
ジャパンライフのマルチ商法は1980年代、1990年代にも国会審議で取り上げられ、1985年には衆院商工委員会でジャパンライフ問題集中審議が行われている。
また、ジャパンライフ問題が審議された2017年4月の参院財政金融委員会では、麻生太郎財務相が山口元会長を「結構有名人。マルチという言葉が始まった最初の頃から出ていた方」との認識を示している。
- マルチ商法 ジャパンライフ 40年以上前から国会で度々審議(東京新聞、2019年12月3日)
ジャパンライフは2016年12月から2017年12月にかけ、1年間で4回の行政処分を受け、2017年12月26日に銀行取引停止処分を受けた。2018年に東京地裁により破産手続きが開始決定されている。また、今年4月25日には警視庁や愛知県警など6都県の合同捜査本部が、山口氏の関係先など12都県30か所を強制捜査で家宅捜索した。
- 預託商法のジャパンライフ 12都県30カ所を家宅捜索 特定商取引法違反容疑(毎日新聞、2019年4月25日)
さらに、今年9月には山口隆祥元会長が、10月には娘の山口ひろみ元社長が、いずれも東京地裁から破産手続きの開始決定を受けた。
- ジャパンライフ元会長が破産 娘の元社長も、賠償訴訟は中断か(中日新聞、2019年11月21日)
全国ジャパンライフ被害対策弁護団連絡会団長の石戸谷弁護士によると、被害者は7000人。被害総額は約1800億円にものぼるという。しかし、破産法では、ジャパンライフが破産しても、国の税金や労働者の賃金などが優先するため、被害者の救済の見込みは立っていないとのこと。
石戸谷弁護士は11月29日の野党による「桜を見る会」追及本部のヒアリングに出席し、被害者の窮状を訴えている。
岩上安身は12月12日(木)、石戸谷豊弁護士に単独独占インタビューを行う。
岩上安身による石戸谷弁護士へのインタビューは録画で収録し、後日録画配信する。詳細は決まり次第お知らせします。
石戸谷弁護士によると、被害者は7000人。被害総額は約1800億円にものぼるという。しかし、破産法では、ジャパンライフが破産しても、国の税金や労働者の賃金などが優先するため、被害者の救済の見込みは立っていないとのこと。 https://iwj.co.jp/wj/open/archives/463695
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