自民、公明、維新の推薦を受けて沖縄県知事選に立候補した佐喜真淳(さきま あつし)宜野湾前市長が、「頑張れ日本! 全国行動委員会」という「ネトウヨ的団体」と関係があることが報じられた。この団体は、2013年1月27日に東京・銀座でおこなわれたオスプレイ沖縄配備撤回を求めるデモに対して、日の丸を掲げながら「琉球人は日本から出て行け」「売国奴」などと、ヘイトを撒き散らしていた。このデモには、オスプレイ配備撤回を求めて上京した沖縄の市町村の首長らが多数参加していた。
- 沖縄知事選、佐喜眞淳氏とヘイト団体の関係(週刊金曜日、2018年9月12日)
2016年1月、当時は宜野湾市長だった佐喜真氏は、このヘイト団体がシンポジウムを開催するために宜野湾市民会館を貸したあげく、自身もシンポジウムに登壇する予定だった。市民からの批判で登壇は見送ったものの、登壇予定者の筆頭に佐喜真氏の名前があったという。
以下、岩上安身の9月13日付のツイートの連投を掲載する。
これは結構重要。この事件(請願のため上京した沖縄の自治体の首長らが、ヘイトスピーチを投げつけられた事件)は、沖縄の多くの人の心を傷つけた。大概の沖縄県民が知っている。怒りと悲しみと、そして恐れを抱いている。沖縄に対してヘイトスピーチをぶつけるクズどもに、過剰適応(※1)してすり寄っていった佐喜真氏が知事としてふさわしいのか、ウチナンチュー(※2)自身が問われている。
(※1)過剰適応:
2018年9月10日におこなった岩上安身による琉球大学・島袋純教授インタビューの中で、島袋教授が、沖縄に対してヘイトスピーチをする団体に佐喜真氏が過剰適応していることを指摘している。ぜひ、以下のURLよりインタビューのハイライト動画をご覧いただきたい。▼【沖縄県知事選】過剰適応!? 「日本人」になりきって子どもに教育勅語を教え込む沖縄の日本会議と皇民化教育の恐怖!~岩上安身による琉球大学教育学部教授・島袋純氏インタビュー(後編)より2018.9.10
- (再掲載)辺野古基地とならぶ沖縄県知事選の争点!構造的差別の原因をつくる「沖縄振興体制」から子どもを守れ! ~岩上安身によるインタビュー 第904回 ゲスト 琉球大学教育学部教授・島袋純氏(前編) 2018.9.8
- (再掲載)辺野古基地とならぶ沖縄県知事選の争点!構造的差別の原因をつくる「沖縄振興体制」から子どもを守れ!~岩上安身によるインタビュー 第904回 ゲスト 琉球大学教育学部教授・島袋純氏(後編) 2018.9.10
(※2)ウチナンチュー:
沖縄の言葉で、「沖縄の人」を意味する。沖縄のことは「ウチナー」という。
これは、自らを差別するものに同化することで、不安と恐怖を乗り越える、という、まさにアイデンティティーに関わる問題。翁長さんがウチナンチューのアイデンティティーを訴え、求心力を保持してきただけに、沖縄の人々にとって、基地問題と同等か、あるいはそれ以上に重要な問いかけと選択になる。
翁長さん亡き後、ウチナンチューとしてのアイデンティティーを再確立する方向で、困難な道のりではあるけれど、翁長路線を継続することを選ぶのか。
それともウチナンチューとしてのアイデンティティーを捨てて、あろうことか、差別のカタマリのような日本会議のメンバーとなり、教育勅語を唱え(※3)、基地の建設を容認し、ヘイト団体に同化し、沖縄を見下す日米政府にひたすらすり寄って生きていこうとする佐喜真淳氏を選ぶのか。
(※3)教育勅語を唱え:
沖縄県の宜野湾市民会館で2014年、「沖縄県祖国復帰42周年記念大会」が開催された。大会のオープニングでは地元保育園の園児たちが「教育勅語」を唱和し、日本会議のメンバーが開会宣言。その後、登壇者たちが講演をおこない、トリを務めたのは佐喜真淳氏だった。
- 園児が教育勅語を唱和…宜野湾市長が出席した大会の異様(日刊ゲンダイ、2016年1月14日)
この問題についても、上述の岩上によるインタビューの中で島袋教授が指摘しているので、ぜひ、ご覧いただきたい。
佐喜真氏は、ウチナンチューとしてのアイデンティティーを捨て、沖縄ヘイト団体と同化し、まったく別のアイデンティティーを形成した人物である。そうした生き方が、結局は得策、ということで、ウチナンチューもまた、佐喜真的生き方を選ぶのか、否か、ということが問われている。
それはまた、対外的には米国にひたすら追従して、自分の頭で考えることを放棄して犬となり、プーチンに嘲られ、国内では、帝国の幻影の残滓にすがって弱者に威張り散らしながらふんぞり返る、安倍や麻生に端的に現れている嫌らしいヤマトンチュー的生き方を、我々も続けるのか、という問いと繋がる。