加計学園の獣医学部について「首相案件とは言っていないが誤解を招いた可能性はある」と認めた柳瀬元総理秘書官
・質問者:自由民主党・塚田一郎議員
金子原二郎予算委員長「これより参考人への質疑を始めます」
▲金子原二郎予算委員長
塚田一郎議員「愛媛県のメモによれば、平成27年4月2日に愛媛県、今治市、加計学園関係者が柳瀬元総理秘書官と面会したということです。改めて、事実関係のご説明をお願いします」
柳瀬唯夫氏「まず、私の答弁をきっかけに国会の審議に大変なご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。また、本日午前中の衆議院予算委員会の質疑の中で、私のスタッフが平成27年4月2日の面会時にメモを取っていたかわからない、と申し上げましたが、昼休みの間に確認が取れました。通常、そのような打ち合わせではメモは取らない、その面会でもメモはとっていない、とのことでしたので、ご報告いたします。
平成27年4月2日は加計学園から面会の申し入れがあり、10人近くの方々とお会いしました。獣医学の専門家から世界の獣医学教育は感染症対策にシフトしているとのお話があり、加計学園事務局の方からは(獣医学部新設を)国家戦略特区を活用する方向でやりたい、ということでした。メインテーブルには加計学園関係者が座られていて、バックシートの随行者の中に愛媛県や今治市の職員がおられたかは記憶に残っていません」
塚田議員「この当時、加計学園が愛媛県今治市の国家戦略特区で獣医学部新設を検討していたことを、ご存知の上で面会されたのですか」
柳瀬氏「これより以前、平成27年2月か3月頃に加計学園関係者と面会した際に、獣医学部が50年以上新設されていないこと、四国では感染症対策の獣医が不足していること、今治市が構造改革特区で何度も申請したが却下されていることなどは聞いていました。国家戦略特区制度で、という話が出たのは4月の面会時だと思います」
塚田議員「愛媛県職員のメモでは、柳瀬さんは『本件は首相案件となっており、内閣府の藤原次長の公式のヒアリングを受ける形で進めてほしい』とご発言されているが」
柳瀬氏「国家戦略特区を活用するのであれば、それに応じた申請手続きがある。それについて説明するのは自然なことです。『首相案件』とは、国家戦略特区制度が安倍総理の成長戦略の柱であるという趣旨。今治市のプロジェクトが首相案件であるとは言っていません。そもそも、普段から私は『首相』という言葉を使わないので、自分の発言としては違和感がある」
塚田議員「獣医学部新設は総理の案件だという趣旨。それが『首相案件』という言葉に誤解されたという認識はありますか」
柳瀬氏「誤解を招いた可能性はあるかもしれません」
塚田議員「加計学園案件について総理から指示を受けたことは?」
柳瀬氏「総理に報告したり、指示を受けたりということはありません」
塚田議員「総理から指示がないのに、独断で関係者と面会したのですか。現場の声を聞くためでしょうか。他のケースでもこういうことはあったのですね」
▲自由民主党・塚田一郎議員
柳瀬氏「いろいろな方にお会いしたが、いちいち総理に報告はしませんし、総理の指示がない人に会わないということもありません」
塚田議員「愛媛県のメモでは、下村文科大臣が『加計学園は課題への回答もなく、けしからん』と発言したことへの対応策を助言された、とある。事実でしょうか」
柳瀬氏「一部の報道では私の発言とされているが、私には記憶がない」
塚田議員「総理と一緒に加計学園関係者と会ったというのは具体的にいつですか」
柳瀬氏「よく覚えていないが、ゴールデンウィーク中、河口湖に随行した際、総理の友人や知人とお会いした記憶があります。たくさんの方がおられたので、安倍総理と加計理事長がどういう会話をしていたかはわかりません」
塚田議員「愛媛県や今治市の関係者との面会について、認識や事実関係の食い違いが生じたのはなぜですか」
柳瀬氏「わかりかねます」
岡山理科大の獣医学部は魔法でできた!? 「4月2日の加計学園と柳瀬氏との面会が獣医学部新設へつながった」と絶賛する前愛媛県知事
・参考人・加戸守行氏(前愛媛県知事)への質疑
塚田議員「愛媛県のメモと柳瀬参考人との認識に食い違いが生じているのは、なぜだと思われますか」
加戸守行氏「愛媛県のメモは、当日中に東京事務所で作成されたものだと思います。一言一句が発言の通りではない。まず、『首相』とは言わない。われわれも『総理』と言います。微妙なニュアンスの差はあるが、おおむね正しいと思います」
▲加戸守行・前愛媛県知事
塚田議員「他の言い回しが『首相案件』という言葉に置き換わった?」
加戸氏「その可能性は高いと思います。いずれにしても、この4月2日の面会が結果的に獣医学部の認可につながったことには感謝しております」
塚田議員「加戸参考人は、今年の岡山理科大学の入学式で、新設された獣医学部について『魔法で生まれた学部』と言われた。その真意は?」
加戸氏「長年の夢がかなったということ。来賓として入学式に出席した時、ハリー・ポッターのようなガウンと帽子が配られたので、そういう言葉を思いつきました」
塚田議員「国家戦略特区制度によって、苦労の末、岩盤規制が突破されたことについて、公明正大に事が進められたという認識はありますか」
加戸氏「教授陣営など、質、量すべてにおいて素晴らしい学部が誕生した。それなのに、入学式で反対派がビラを配っていたのが残念だった」
総理のスケジュールは把握するが自分の行動記録はなし! 加計学園と同行した自治体職員は「記憶にない」
・質問者:国民民主党・川合孝典議員
川合孝典議員「柳瀬参考人は、午前中の衆院の審議でも肝心の点になると『記憶にない』と。ここでは率直に答えてほしい。連休前後に、『柳瀬氏が加計学園と面会した方向で調整中』という報道があった。何かを調整しなければならない必要があったのですか」
▲国民民主党・川合孝典議員
柳瀬氏「自分も驚きました。昨年7月の集中審議の前に今井秘書官から訊かれた時も、私は覚えていないと答えました。自分の答えは以前から一貫しています。『記憶を調整』という見出しは自分も意味がわからず、驚いています」
川合議員「国民の感覚としては、特区申請に関しては学校関係者でなく自治体が行かなければおかしい。愛媛県や今治市が面会に行っているはずです。なぜ、覚えていないのですか」
柳瀬氏「自分は加計学園から申し込まれたので面会しました。その場で話をしていたのは、主に加計学園関係者でした。今治市の関係者がいたというのは、あとから記録で確認されたことです。結果的に国会を混乱させたことについては深くお詫び申し上げます」
川合議員「官邸では随行者の入館管理はしないのですか」
柳瀬氏「官邸の入館記録に関してはわかりません」
川合議員「今までの間に、確認できたはずではありませんか」
柳瀬氏「私にはわかりかねます」
川合議員「では、総理秘書官の日常業務はどのようなものでしょうか」
柳瀬氏「業務の範囲は非常に多岐にわたっており、広いです。担当部署から話を聞き、必要に応じて総理に報告や相談をします」
川合議員「総理のスケジュールは基本的に把握しているのですか」
柳瀬氏「把握していました」
川合議員「自分のスケジュール管理は、どうですか」
柳瀬氏「スタッフが管理していました」
川合議員「自分では把握していなかった?」
柳瀬氏「前日に確認していました」
川合議員「その記録はありますか」
柳瀬氏「自分のは記録していません」
川合議員「それは社会人の常識からして不可解でしょう。『内閣府藤原次長と柳瀬首相秘書官との面会について』というメモがあります。『首相案件』ではなくても『総理案件』などの言及はありましたか」
柳瀬氏「『安倍総理の成長戦略に関わる国家戦略特区』という言い方はしました。このような場合には、いつもそう言っています。今治市の話が『首相案件』というつもりはまったくありません。50年以上、獣医学部新設がなかったというのも、制度論とは別の話だと認識していました」
川合議員「メモの記載は非常に細かく、官邸側からの説明もきわめて懇切丁寧です。これを読めば『加計ありき』の印象を持つのは当然ではないでしょうか」
柳瀬氏「地方の熱意を感じました。地方の自治体の方には、特に丁寧に制度の説明をするように心がけています」
川合議員「その言い方は、加計学園関係者の後ろに自治体関係者が座っていることを前提としてのことではないですか?」
柳瀬氏「誰に対しても説明は丁寧にいたします」
川合議員「メモによれば、安倍総理と加計学園理事長が会食した際に、『加計学園は課題への回答もなく、けしからん』という下村文科大臣の発言があったことを話題にしていた、とあります。調べてみると、平成27年4月2日、柳瀬さんが加計学園関係者らと面会していた同じ頃に、下村大臣と文科省事務次官が官邸に入り、総理と会合しています。こういう総理のスケジュールを把握していなかったのですか」
柳瀬氏「新聞の『首相動静』ではそうなっていますが、私は(そちらには)同席していません」
加計学園関係者が官邸を訪問した4月2日、安倍総理のスケジュールに「空白の9分間」
・質問者:立憲民主党・蓮舫議員
蓮舫議員「あなたは、これまで国会で『加計学園の関係者とお会いした』とは言っていませんね」
▲立憲民主党・蓮舫議員
柳瀬氏「当時、国会の集中審議で『今治市の職員と会ったのか』と何度も訊かれていたので、ひとつひとつお答えしておりました」
蓮舫議員「訊かれていないから(加計学園関係者と会ったかは)答えない? それは国民に対して不誠実ではないでしょうか」
柳瀬氏「ひとつひとつお答えしていたことで全体像が見えなくなってしまい、国会を混乱させたことについて、お詫びいたします」
蓮舫議員「(平成27年)4月2日に同席していたのは、東大の吉川泰弘教授ですか」
柳瀬氏「4月2日か、その前かわかりませんが、元東大教授の方がいらしていました」
蓮舫議員「その方が吉川さんですか?」
柳瀬氏「名前は覚えていなかったのですが、あとで(吉川教授を)テレビで見て、会ったことがあると思いました」
蓮舫議員「記憶違いではありませんか? 私の持っている情報では、その時に同席した加計学園の関係者は文科省OBだと聞いています」
柳瀬氏「記憶が定かではありませんが、2月から3月の時と、4月2日と、加計学園の関係者は獣医学部の話をされていました。どちらに吉川先生が参加されていたのかは、クリアではありませんが」
蓮舫議員「4月2日の面会時間は90分もないとおっしゃいました。40分では?」
柳瀬氏「よくわからない。90分はさすがに長すぎると思いました」
蓮舫議員「15時から始まり15時40分に関係者全員が退出、という情報を、私は得ています。同じ官邸で15時35分から15時48分まで、安倍総理と下村文科大臣が会っています。このあと、安倍総理の次のアポが15時57分。総理のスケジュールに9分間の空白があるのですが、この間にあなたは安倍総理や下村文科大臣と接触していませんか?」
柳瀬氏「わからない。少なくとも下村文科大臣と官邸でお会いしたことはありません」
蓮舫議員「では、『加計学園関係者と面会した』という報告は総理にしましたか」
柳瀬氏「加計学園関係者との面会について、総理には一切報告していません」
蓮舫議員「4月2日の前に、2月から3月に加計学園関係者に会っていると話されていますが、これは3月24日ではありませんか?
柳瀬氏「4月の前に、一度お会いしたことは覚えていますが、日付は定かではありません」
蓮舫議員「あなたは、総理に関することだと『報告はしていない』と断言されるのに、それ以外のことについては『記憶がない』ということなんですね。初めは、どのような案件で加計学園の方と会われたのですか」
柳瀬氏「定かではありませんが、上京するので会いたいと。具体的な案件は記憶にありません」
蓮舫議員「具体的な案件はわからないけれど、上京するから会う。総理秘書官の柳瀬さんと加計学園は、それくらい密接な関係なのですか?」
柳瀬氏「元々、河口湖でのバーベキュー・パーティーでお会いしていたので」
蓮舫議員「バーベキュー・パーティーで加計の関係者と会ったのは、どなたの紹介ですか」
柳瀬氏「河口湖の総理の別荘に随行した際、大勢の中でお会いしたので特に紹介者はいません」
蓮舫議員「誰に紹介されたわけでもない人から連絡がきて、案件もわからないのに、官邸で独断で面会される間柄なのですか」
柳瀬氏「私は基本的にアポイントが入れば、お会いするようにしていました」
決めるのは安倍総理、決めてほしいのは腹心の友。2人をつなぐ総理秘書官には記録も記憶もない!
蓮舫議員「3月24日の会合の時点で、あなたから『国家戦略特区で行こう』と提案していませんか。そして、4月2日の面会の際に愛媛県や今治市も呼ぶようにと、加計学園関係者に提案していませんか」
柳瀬氏「当時、国家戦略特区制度をPRする意味で話をしたと思います。私から『呼ぶように』と言った記憶はありません」
蓮舫議員「4月2日の午前、加計学園関係者、愛媛県と今治市の担当者らは、内閣府地方創生推進室の藤原次長と会っています。この面会をアレンジするように、という指示を、あなたは出しましたか」
柳瀬氏「指示はしていません。ただ、国家戦略特区制度を活用するなら、国家戦略特区事務局の担当者が藤原次長だ、という話をしたと思います」
蓮舫議員「あなたは4月2日には、国家戦略特区は自治体が申請するものだと認識していたのではないですか」
柳瀬氏「それはそうですが、自分は当時、国家戦略特区の制度設計のほうに関心があったので、具体的に誰が申請するのかは関心の外でした」
蓮舫議員「国家戦略特区は自治体が申請し、議長である総理が決め、スピード感を持って岩盤規制を突破していく制度です。それなのに、4月2日に自治体関係者が同席していた記憶が、なぜ、欠落するのですか」
柳瀬氏「あまり、その人たちとは話さなかったからです」
蓮舫議員「6月に今治市が申請したことを、加計学園が、あなたに報告に来ています。本来、加計学園が手を挙げることができるのは、その20ヵ月後の平成29年の公募の時です。この時、実際に手を挙げたのは加計学園だけ。途中で『一校に限る』ということになり、京都は排除されました。あなたが面会した4月2日から、すべてがスタートして、これまで15回も却下されて来た計画が一気に進んでいます。元々、『加計ありき』だったのではありませんか」
柳瀬氏「平成26年9月に、総理が『早急に検討していきたい』と。当時は新潟市の名前も出ていました。しかし、自分はその辺のことに関心がありませんでした。今治市としては『加計ありき』だったかもしれないが、国家戦略特区として、どこを選ぶかは公正な手続きで決まるものです」
蓮舫議員「愛媛県のメモにある、下村文科大臣が『けしからん』と言っているという件は、加計学園からあなたに相談があり、あなたが文科省に相談するよう助言したのではないですか」
柳瀬氏「そもそも、こういう話があったという記憶はありません」
蓮舫議員「記録と記憶、どちらが信頼されると思われますか」
柳瀬氏「愛媛県のメモは個人の備忘録です。それがマスコミに出て、記録があるというだけで信用が高まるというのはおかしいと思います」
蓮舫議員「いえ、おかしいのは、あなたに記録も記憶もないことです。決定者は安倍総理、決めてほしい人は腹心の友の加計理事長。この2人が疑われないようにするのが首相秘書官の仕事であるはずなのに、むしろ、つないでいる疑いが濃厚です。委員長、愛媛県、今治市、それぞれすべての記録を、黒塗りをなくして国会に提出させていただきたい。また、中村愛媛県知事の国会招致を求めます」
加計学園「国家戦略特区でいきたい」、柳瀬氏「国家戦略特区の方が勢いがある」 ~愛媛メモに残る生々しいやりとり
・質問者:公明党・秋野公造議員
秋野公造議員「獣医学部の新設は、構造改革特区よりも国家戦略特区の方が実現性が高いと認識していましたか?」
▲公明党・秋野公造議員
柳瀬氏「どちらも効果的で一長一短もある。国家戦略特区は、地域を限定することで岩盤規制突破には有力です。また、国家戦略特区制度は民間有識者が主導する強力な推進体制を整えていました」
秋野議員「平成27年4月、加計学園から『国家戦略特区でいきたい』という話があり、愛媛県のメモによれば、あなたも『国家戦略特区の方が勢いがある』と発言された、と。具体的にはどう言われたのですか」
柳瀬氏「国家戦略特区制度は安倍政権の成長戦略の柱。新しい制度ができたので、行く先々でアピールしていました」
秋野議員「本日の質疑で、あなたは加計学園関係者には会ったが、愛媛県、今治市関係者には会っていないと言われました。国家戦略特区の申請は自治体ですが、規制緩和の提案は事業者だけでもできるので、私としては違和感はありません。柳瀬さんは国家戦略特区の制度設計のために、事業者から話を聞いたということですか」
柳瀬氏「おっしゃる通りです。民間事業者が自由に提案することは、制度上も想定されています」
秋野議員「加計学園関係者以外の事業者と面会はしましたか?」
柳瀬氏「政府の外の人の話は、できるだけ聞くように心がけています。秘書官時代もそうでした。それと、優遇や特別扱いは別の話です。国家戦略特区に関して、他に面会者はいないのですが、それはあくまで結果です」
秋野議員「会って、手続き上のアドバイスをしただけであれば、(今治市や愛媛県の職員と)会った記憶がない、と言う必要はなかったのではありませんか」
柳瀬氏「本当に覚えていなかったので、そう答えました。また、疑問には国会で答えるのが筋だと思っておりました。今日、こういう機会をいただいたので、こうしてお答えしています」
秋野議員「総理秘書官を離任される時、後任者に引継ぎをしなかったのはどうしてですか」
柳瀬氏「自分が着任した時も引き継ぎはありませんでした。政策の話などは、周囲の担当者から説明があります。実際に総理秘書官は着任直後から多忙で、引継ぎの余裕はありません」
秋野議員「あなたがきちんと説明をしなかったことで、国民に疑念を抱かせ、国会を混乱させたことは反省してもらいたいです」
安倍総理が急ぎたい「首相案件」は23項目も。そのひとつにすぎなかった獣医学部新設が重要事項として進められた謎!
・質問者:日本共産党・田村智子議員
田村智子議員「愛媛県から出た文書の中で、内閣府の藤原審議官と愛媛県が面会した時、その冒頭で藤原審議官が『要請内容は総理官邸から聞いており……』と発言したとあります。加計学園からの要請を、藤原審議官に伝えたのは柳瀬参考人ですか」
▲日本共産党・田村智子議員
柳瀬氏「藤原次長の発言については、私は知りません」
田村議員「内閣府に、その旨を伝えたことはあるのですか」
柳瀬氏「藤原次長から国家戦略特区のレクを受けたことはあります。加計学園のことを、私から伝えたかどうかは覚えていません」
田村議員「そこは記憶が抜けるわけですか? あなたは『首相案件』という発言について問われると、平成26年9月の特区諮問会議で民間有識者議員から重要課題の追加事項が提案され、その中に獣医学部新設が入っていたと説明されています。そして、諮問会議というオープンの場で安倍総理から『民間議員の提案を早急に検討していきたい』との発言があったことを説明したのだ、と言われた。
そこで、民間議員が提案した重要事項を改めて確認してみると、全部で23項目ありました。まず、大きな柱が4つあり、その4番目の2の『林業等』の中に『獣医系大学学部新設の解禁』がある。安倍総理の諮問会議での発言は、獣医学部新設を特出しはしていません。であれば、23項目の中でも獣医学部新設に総理が関心を持っており、検討を急がなくてはいけないというのは、そういう指示をあなたが受けていたからでしょうか」
柳瀬氏「確かに平成26年9月には、多くの項目の中のひとつとして獣医学部の新設も含まれていました。その後、加計学園の関係者から獣医学部が50年も新設されていない、四国は獣医師不足などのお話を聞いたので、具体的なニーズがあるのだなと思いました」
田村議員「あなたは、今日午前中の衆院予算委員会で公明党の竹内譲議員に、『民間議員の提案に対して、50年来、新規参入が認められていなかった獣医学部の新設も検討すると総理がおっしゃっていた』と答えています。
でも、安倍総理がこれを言い出したのは、国会で加計学園が問題になってからです。国家戦略特区諮問会議の中で、まして、この制度改革が決まる前は『獣医学部』という言葉を安倍総理が使ったことはありません。なぜ、あなたの中では、獣医学部新設が特出しの重要事項になっているのですか?」
柳瀬氏「獣医学部新設を含んだ民間議員の提案に対して、総理が『早急に検討していきたい』と言われた。誤解を招いたなら申し訳ありません」
田村議員「では、あなたは、総理から獣医学部新設を早急に進めるように、個別に言われたことはないのですか」
柳瀬氏「個別に言われたことはありません」
田村議員「総理の重要案件、というのは23項目もあったのですね。獣医学部の新設は、そのうちのひとつでしかなかった。
平成27年4月に加計学園関係者と会う前、あなたは戦略特区の事務局からレクを受けたと言われました。その際に、『前年、重要項目(23項目)の提案があり、総理が早急に検討していきたいとおっしゃっていたので、獣医学部新設の解禁について、今どうなっていますかと訊いた覚えがあります』と。23項目の中で、これについてだけ、説明を求めたのですか」
柳瀬氏「50年来、獣医学部の新設がないことや、四国での感染症対策の獣医師不足が頭にあったので訊いたのです」
田村議員「それほど獣医学部の新設が気になっていたのなら、なぜ、(同様の計画を持っていた)新潟市にも訊かったのですか」
柳瀬氏「ちょうど加計学園からアポイントの申し入れがあったので。新潟市からはアポイントはありませんでした」
田村議員「あなたに面会を申し込むことができた加計学園から話を聞き、それによって、あなたの中で獣医学部新設が特出しで進める案件になっていった。あなたは、獣医学部新設が総理の重要な関心事だと自覚していたことになります。それならば、状況を総理に報告するのは当然だと思います。なぜ、報告しなかったんでしょう?」
柳瀬氏「総理の指示は制度論についてです。制度の問題であって、個別の自治体や事業者の話ではないので、報告する必要はございません」
田村議員「あなたは総理のご招待で、河口湖のバーベキューで加計理事長と知り合った。加計の関係者との面会前には関係省庁からレクも受けた。官邸で加計学園関係者と会い、『国家戦略特区で獣医学部を新設したい』と直接聞いた。その直後に、桜を見る会で加計理事長と総理が会うことを知っていた。それでも、総理に何ひとつ話さなかったのですか」
柳瀬氏「総理は膨大な判断をこなすので、案件をセレクトするのも秘書官の仕事。なんでも総理に報告すればいいわけではありません」
田村議員「 疑惑は深まったと思います。報告しなかったなんて、あり得ない。引き続き証人喚問と、加計孝太郎氏、藤原豊氏らの国会招致を求めます」
柳瀬氏には国民に対する説明責任がある。それを1年間も放置したのは明らかに不作為だ!
・質問者:日本維新の会・片山大介議員
片山大介議員「規制改革を進める上で、事業者の選定過程の公正性、透明性に疑義が生じています。その張本人の1人が柳瀬参考人。なぜ、今まできちんと答弁しなかったのですか」
▲日本維新の会・片山大介議員
柳瀬氏「国会では『今治市の人に会ったのか』と何度も訊かれましたので、会っていない、覚えていない、会ったか、会っていないかわからないと答えました。それは終始一貫していると……」
片山議員「違いますよ、明らかに不作為です」
柳瀬氏「ひとつひとつの質問に個別に答えた結果、全体として整合性が取れなくなり、国会の混乱を招いたのは本当に申し訳なかったです。国会で訊かれたことは、国会で答えるのが筋と思っていました」
片山議員「国民に対する説明責任があるのに、それを1年間も放置したのはおかしい。あなたは加計学園関係者とは3回も会っている。面会をアレンジしたのは誰ですか」
柳瀬氏「最初の面会の申入れは加計学園からです。2回目以降はわからない」
片山議員「面会の際、『総理の友人である』と先方は言ったのですか」
柳瀬氏「言っていないと思います」
片山議員「(加計学園理事長が)総理の長年の友人であることは認識していましたか」
柳瀬氏「それは認識していました」
片山議員「それで、総理には1回も報告していないのですか」
柳瀬氏「何回かという問題ではなく、総理に判断していただくことではないと思っていました」
片山議員「それこそが忖度ではないか」
柳瀬氏「そういうことはまったくございません」
片山議員「結果として、加計学園としか会っていない。結果として、加計学園しか名乗りを上げていない。結果として、加計学園が認可された……」
柳瀬氏「新潟市や京都市から働きかけはありませんでした」
片山議員「『首相案件』という言葉は本当に使っていませんか」
柳瀬氏「総理が早急に検討したい項目のひとつに獣医学部新設の解禁が含まれていました。公式の場で総理が明言したことは、とても重いと考えています」
片山議員「しかし、先方のメモにはそういうニュアンスでは書かれていません」
国家戦略特区の議長は総理。その秘書官が加計学園に助言するのは「試験監督が受験生に答えを教えるようなもの!」
・質問者:希望の会・社民党・福島みずほ議員
福島みずほ議員「加計学園と3回会っている、その記憶を取り戻したのはいつですか」
▲希望の会・社民党・福島みずほ議員
柳瀬氏「何回かお会いしたのは覚えていました。3回会ったというのは思い出した」
福島議員「記憶喪失が戻ったのはいつ?」
柳瀬氏「私の記憶は一貫して、加計学園関係者と会ったことは覚えていました」
福島議員「なぜ、それを1年前に言わなかったのですか。それで真相解明は進んでいたはずです。(平成27年)4月2日に会ったことを思い出したのはいつですか」
柳瀬氏「今でも正確な日付は曖昧ですが、4月に会ったことは覚えていました」
福島議員「柳瀬さんは、加計孝太郎さんが今治市に獣医学部を作りたいということを、構造改革特区の時から知っていたのですね。
柳瀬氏「その時は知りません。平成27年の2月か3月、初めて加計学園関係者と会った時に聞きました」
福島議員「かつて、安倍総理は私の質問に『構造改革特区の時から知っていました』と答えました。総理秘書官が知っていて、総理が知らないというのは不自然です。ところで、柳瀬さんは2015年5月5日のバーベキューの時に、加計学園の事務局と会っていますね。どうして加計学園の関係者とわかったのですか。名刺交換したのですか」
柳瀬氏「隣の席になって、お互い自然に自己紹介した感じです。名刺交換はしていないと思いますが、加計学園の秘書室長だったと」
福島議員「渡辺さんですか?」
柳瀬氏「事務局長か秘書室長のどちらかだと思います」
福島議員「4月2日に官邸で会った東大教授は吉川さんですか」
柳瀬氏「その時はきちんと認識していません。加計学園(岡山理科大学)の獣医学部長になる人ということも知りませんでした」
福島議員「加計学園関係の方々の名刺はあるのですか」
柳瀬氏「私の手元には加計理事長のものだけ、残っていました」
福島議員「加計学園関係者と3回目に会ったのは6月のいつで、誰に会いましたか」
柳瀬氏「記憶は定かでないが、今治市から国家戦略特区への提案が出たのが6月4日なので、その頃です。会ったのは加計学園の事務局長の方だと思います」
福島議員「4月2日以降、愛媛県と今治市とは会っていますか」
柳瀬氏「お会いしていません」
福島議員「4月2日の前後、藤原次長と話しましたか」
柳瀬氏「加計学園と4月に会う前に、国家戦略特区の状況のレクに来てもらいました」
福島議員「国家戦略特区の獣医学部の件で、事業者に会っているのは加計学園だけなんです。他のところには誰も会っていない。国家戦略特区基本方針では公平性を強く謳っています。しかし、あなたは事業者と3回も会って、指南までしている。試験の監督官が受験生に正解を教えるようなものです。あなたの指南で突破口を開いた。国家戦略特区議長が総理であり、その秘書官が進めたことで、まさに政策が歪めていると思います。今後、加計孝太郎氏の証人喚問、愛媛県と今治市の職員の招致を求めます」
総理の判断を誤らせないことが総理秘書官の仕事ならば、加計学園には「自治体と一緒に来てください」と言うべき
・質問者:無所属クラブ・薬師寺みちよ議員
・参考人・加戸守行氏(前愛媛県知事)への質疑
薬師寺みちよ議員(無所属クラブ)「国家戦略特区の前にあった構造改革特区の提案は、愛媛県ではいつからされたのですか」
▲無所属クラブ・薬師寺みちよ議員
加戸氏「今治での獣医学部の構想は平成19年頃からです。文科省にも乗り込んだが、なかなか話が進まなかった。私の県知事在任中は岩盤規制を崩せなかった」
薬師寺議員「加計学園、今治市の関係者が非常に熱心に働きかけていたのですね」
加戸氏「構造改革特区は、内閣府と農水省や文科省とのやりとりがあり、そこで却下されると内閣府はそれ以上は押せない。役所同士の制度的問題で、それがもどかしかった。国家戦略特区は民間人が積極的に関わることができるのに。当時、愛媛県知事として無念の思いでありました」
・参考人・柳瀬唯夫氏(元総理秘書官)への質疑
薬師寺議員「構造改革特区ではできないことを、国家戦略特区で岩盤規制を突破する。これは夢のような話でした。しかし今、それが歪んだ形で国民に伝わっています。そもそも総理秘書官というのは、どのような任務なのでしょうか」
柳瀬氏「総理のご判断を誤らせないことが、総理秘書官の仕事です。膨大な総理の業務を複数の秘書官が分担し、取捨選択してこなしていきます」
薬師寺議員「国家戦略特区は自治体が提案するものです。総理の判断を誤らせないためにも、加計学園から国家戦略特区でという話があったなら、『自治体と一緒においでください』と伝えるのが総理秘書官の役目だと思いますが?」
柳瀬氏「新しい制度の適用を決めるのは、できあがってからの話です。私の在任中は建付けを決める段階でした。個別の話を総理に上げるわけにいかないので、秘書官の判断で進める部分もあったということです」