2018年2月7日発売の「週刊新潮」2月15日号が、日本維新の会に所属する奈良県香芝(かしば)市の鈴木篤志市議が、過去に神戸山口組の二次団体・「山健組」に所属していたとする証拠写真を掲載した。
鈴木氏はすでに山健組から破門されたと言うが、破門されたのは2013年であり、鈴木議員が市議会議員に当選したのはその4年後の2017年。香芝市の暴力団排除条例によれば、「暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者」を「暴力団員等」とすると定めているため、鈴木氏は市議当選時これに該当していたことになり、議員資格そのものが問わる可能性がある。
▲「日本維新の会」公認・鈴木篤志市議(香芝市ホームページより)
日本維新の会は、鈴木市議がごく最近まで暴力団に所属していた事実を知った上で、公認を出したのだろうか? そうだとすれば、維新のトップの責任はまぬがれない。2月16日に行われた松井一郎大阪府知事定例会見で、IWJはこの問題を追及した。
- 会見者 松井一郎氏(大阪府知事、日本維新の会代表、大阪維新の会代表)
- タイトル 松井一郎 大阪府知事 定例会見
- 日時 2018年2月16日(金)15:00〜
- 場所 大阪府庁(大阪市中央区)
鈴木市議所属の「『なら維新の会』を立ち上げた県議は『やんちゃ系』」~「『暴力団だったことは絶対言っておかなければいけない』とずっと言っていたのに」
IWJは独自取材により、地元の方の証言を得ることができた。
「もともと鈴木市議が所属する『なら維新の会』を立ち上げた県議は『やんちゃ系』で様々な噂がある。奈良は大阪に近いので、一時期は『維新』というだけで結構風が吹いて、そのとき多くの地方議員が出てきたが、皆ちょっと怪しいというか、大きな声では言えないが大丈夫かなという人もかなり多くて、『ちょっと維新は…』という話になってきている」
また、鈴木市議をよく知っているという別の人物によると、「維新の公認をとって出馬した当初から『暴力団だったことは絶対言っておかなければいけない』とずっと言っていたのに、それを言わないで出馬した」という、生々しい証言もあった。
松井知事「人のすべてまで見透かすことは無理」「『なら維新の会』で議論している」と無責任発言に終始~この疑惑について記者クラブメディアは一切質問せず会見は終了
日本維新の会は、鈴木市議が過去に暴力団に所属していた事実を知った上で、公認を出したのだろうか?
大阪府知事で日本維新の会の代表でもある松井一郎氏は2月16日15時より、大阪府庁にて定例会見を行った。IWJ記者は会見の場でこの問題を問い質した。
「日本維新の会は反社会勢力に甘いのではとの疑いが出てくる」「日本維新の会の身体検査が悪かったのか、あるいはあえて、どこかで無視したのか」と問題提起し、「政党のトップである知事や当時の法律顧問の政治的、法律的責任をどうとるのか」とIWJ記者は質した。
松井知事は「(鈴木篤志市議に)僕は会ったこともないが、その人が過去どういう人であったなんていうのは、どの政党であっても、人のすべてまで見透かすことは無理」「地方の議員一人ひとりすべて我々が面接して決めているわけでもないので、その人の過去の問題について、今ここで僕に投げかけられても、答えを出せるような状況ではない」と、政党トップとしての責任を回避するような発言に終始した。
そのうえで「今も反社会勢力のメンバーであるというならば、政治家としてやっぱり身を引くべき」としながらも、「『なら維新の会』というところでいろいろ議論されていると思う」と他人事のように述べるにとどめ、自らの責任については言及を避けた。
驚くべきことは、この会見の間、他の記者クラブメディアはこの疑惑について一切質問をしなかったことだ。IWJの質問に重ねて追加の質問をする記者は一人もおらず、その後会見はすぐに終了した。このようなヌルすぎる姿勢で、メディアとしての役割を果たせるとは到底思えない。