2012年11月17日(土)18時から、札幌市中央区の、かでる2・7で「泊原発の廃炉をめざす訴訟 第二次提訴記念講演会 ミランダ・シュラーズ氏『ドイツはどのようにして脱原発を実現したのか?』」が行われた。
(IWJテキストスタッフ・関根/奥松)
2012年11月17日(土)18時から、札幌市中央区の、かでる2・7で「泊原発の廃炉をめざす訴訟 第二次提訴記念講演会 ミランダ・シュラーズ氏『ドイツはどのようにして脱原発を実現したのか?』」が行われた。
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冒頭、原告団副団長の常田益代氏が、泊原発廃炉訴訟第二次提訴原告団に、新たに612人が加わり、2回の提訴で計1233名になった等の近況報告と、今回のドイツの脱原発宣言にともない、「ドイツのこれからのエネルギー転換 未来のための共同作業」という政策的指針を作成した、倫理委員会委員のミランダ・シュラーズ氏を紹介し、講演会は始まった。
シュラーズ氏は、まず、ドイツの脱原発の、現在にいたるまでの政策の経緯と、福島の事故を受け、設立された倫理委員会の作業内容などについて説明をした。次に、エネルギー革命は大きなチャンスととらえ、大陽光、地熱、スマートグリッド開発などの可能性、脱原発への取り組みと具体的事例と課題などを言及した。
日本は第二の故郷、というシュラーズ氏は「今の日本政府には、将来どういう国にしたいか、というビジョンが見えない」と指摘。「北海道は自然エネルギーの宝庫。風力、バイオマスなど大きな可能性がある」とも語った。続けて、「もちろんドイツでも不安や疑問もある。でも大多数の国民は、チャンスと捉えている。またドイツは、世界の先例として、エネルギー転換で失敗できない。そういう覚悟で進めている」と講演を締めくくった。
次に、吉田文和氏(北海道大学 産業技術論・環境経済論)が、「脱原発時代の北海道」というテーマで、北海道は原発なしやっていけるのか、という視点からの講演を行った。吉田氏は「現在、電力ピークを夏の午後に合わせて節電計画を立てている。しかし、原子力で40%を賄っていた北海道は違う。オール電化の推進もあり、夜の6時から9時も電力消費量は高い」と現状を指摘し、今後、実現可能なエネルギーの転換方法を提示した。「再生可能エネルギーの発展のためには、社会システムの創出の必要性がある。それは、地域経済と雇用を活性化させる効果もある」と述べ、「成功例は、宗谷岬の風力発電だ。すでに稚内市内の年間電力70~80%を賄っている。再生可能エネルギーの普及拡大で、温暖化、原子力と化石燃料のへ依存のリスクなどを解決できる。そのためには、草の根の取り組みから始めることが大事だ」と語った。
二人の講演終了後、同原告団共同代表の宮内泰介氏(北海道大学大学院教授)が、代表して質疑応答を行った。
第二部では、市川守弘氏(弁護団長)が第一次訴訟の経緯を、「3回の口頭弁論が行われたが、北電は何も主張せず口を閉ざしたまま。12月には質問には答えたい、との弁だけであった」と報告した。そして、「裁判自体はこれからが正念場。吉田氏の講演で、エネルギー転換の可能性があることを知った」と述べた。また、シュラーズ氏の話に関して、「ドイツでは政治主導で脱原発に転換できたが、日本は官僚主導だからできない。国会は官僚の作った法律を通す請負機関になってしまった。官僚クーデターだ」と憤慨した。
最後に、第一次・第二次原告団から5名の参加者が、今回の訴訟に対しての意見や思いを語った。