【寄稿・中編】IWJ京都中継市民・北野ゆりの今治市議会レポート!今治市民が大学新設を渇望する背景とは? 2017.9.7

記事公開日:2017.11.18 テキスト
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(北野ゆり)

 今治市の市役所の前には、今治市からほぼ一直線で今治埠頭へと続く、広小路という大きな通りが通っています。目抜き通りですが、驚くほど閑散としていて、バス停前の大きなファッションビルは、一階のガラス張りのフロアにマネキンが放置されたまま閉店しているような有様です。

 その大通りにある大きなアーケード街にも、人通りはないようでした。

▲がらんどうになったファッションビル

 「今治タオル」で全国に名をはせている今治市ですが、実際の市街地の中心部がこのようなさびれた状況にあることに、驚かざるを得ませんでした。

 今治埠頭に尽きますと、大きな船を模したような、真新しい船のターミナルがありました。

 船を桟橋に誘導し、ロープをかけていた男性が「あれがしまなみ海道。世界に一つしかない三連橋やけん」と説明してくださいました。曇り空に、鎖が美しい弧を描き、もうすっかり景色になじんでいる橋の一部が見えました。

▲しまなみ海道の一部・来島海峡大橋

日本共産党の松田澄子今治市議に取材!今治市民が大学新設を渇望する背景とは?

 9月7日の午後、市民会館のロビーにて、日本共産党の松田澄子今治市議へお話をうかがいました。松田市議が首に巻かれていたのは、今治タオルの「NO NUKES」。松田市議には前日、本会議の傍聴の抽選を待つ間に偶然お会いし、声をかけさせていただいていました。

▲「NO NUKES」と書かれたタオル

 松田市議は今年7月27日、根拠もなく、加計学園の獣医学部設置に関して菅市長から1000万円を受け取った市議のうちの一人だとされ、今治市民の男性から告発されていましたが、後に潔白が証明され、告発人が訂正しています。

 松山地方検察庁宛の告訴状に「被告発人」と載せられ、SNS等で広められたことについて、未だに憤りを隠せない様子でした。もっともだと思います。取材の冒頭で、「そのようなお金を受け取った事実はない」と話されています。

 また松田市議には、前日6日にカメラが入れなかった国家戦略特区特別委員会の様子についてもうかがいました。

 取材の後、松田市議に、今治市の中心街の様子、呑吐樋(どんどび)商店街のシャッター街についてうかがいました。松田議員はテーブルに突っ伏して泣くようなジェスチャーをされた後、次のように話されました。

 松田市議によると、しまなみ海道は、高齢者の多い島にとって、救急医療や生活の面では恩恵をもたらしましたが、橋ができたことにより、人の流れが変わってしまい、船舶の往来によって栄えていた港町としての人の流れが途絶えてしまったということでした。車で今治に来る人は、町の中心街を素通りし、駐車場のある郊外の大型店へ行ってしまうようです。かつて「今治銀座」と呼ばれていた通りも、高島屋や大丸が撤退してしまいました。そんな状況が多くの今治市民に閉塞感をもたらしており、大学誘致に希望を見出している、そんな構図が垣間見えてくるようでした。

 青空が戻った翌9月8日の本会議の後、加計学園の獣医学部が建設されている「いこいの丘」へ移動しました。今治市役所から5分とかからない場所にあるいこいの丘からは、瀬戸内海に浮かぶ島も見えました。すでに、学部棟、病院棟、体育館の鉄骨部分は完成しており、ミキサー車が出入りしていました。病院棟などが建つ敷地の下には、弥生時代の古墳「高知栗谷1号墳」があります。

▲建設中の加計学園獣医学部校舎

 ガードマンさんの話では、昨日(7日)は80台が搬入に入ったそうです。真っ黒に日焼けされたガードマンさんに、「今年の夏は暑かったですね」と言うと、笑っておられました。ガードマンさんは、色々な人が取材に来ていることも教えてくださいました。

 ここでも、加計学園の獣医学部設置が政治的な大問題になっていることなどどこ吹く風という様子で、粛々と開学に向けての建設が進められていました。

 加計学園獣医学部建設用地の前で、「今治加計獣医学部問題を考える会」の2人の共同代表にお話をうかがいました。

加計学園が学生実習を予定している「のまうまハイランド」を取材!地域天然記念物の野間馬で学生実習!?

 いこいの丘から10分足らずのところに、日本在来種の馬の一種・野間馬(のまうま)を飼育している今治市の施設・「野間馬ハイランド」があります。加計学園は今治市に、野間馬ハイランドで獣医学部の実習生を受け入れるよう、申請していました。所管する観光課は、加計学園の申請を許可したと報じられています。

 しかし、野間馬はわずか60頭ほどしかいないとされている地域天然記念物であり、問題となっています。

 園内にある「野間馬の記」には、「江戸時代この乃万地方でつくられた日本で一番小型の馬です。愛媛県の山間部で瀬戸の島々の農家で数多く飼われていましたところが、明治の中ごろから農用馬も軍馬に使える大型馬するための政策が取られ、野間馬は減ってきました。と記されていました。

▲野間馬の記

 背が低いので、女性や子供にも簡単に扱え、斜面の多い瀬戸内の暮らしを支えたのでしょう。人間の都合で翻弄されてきた野間馬、大切に保護されてほしいと思いました。

 ハイランドでは、一頭一頭の野間馬に名前がつけられていて、名前を呼ばれながらブラシをかけられて大切にされていました。

9月11日の本会議では、複数の質問者が加計学園の獣医学部新設に懸念を表明~ 加計学園への補助金のうち、愛媛県の負担分が県議会の議案には書かれていない!?

(…会員ページにつづく)

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「【寄稿・中編】IWJ京都中継市民・北野ゆりの今治市議会レポート!今治市民が大学新設を渇望する背景とは?」への1件のフィードバック

  1. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    【寄稿・中編】IWJ京都中継市民・北野ゆりの今治市議会レポート!今治市民が大学新設を渇望する背景とは? http://iwj.co.jp/wj/open/archives/405591 … @iwakamiyasumi
    規制緩和と大規模公共事業によって衰退した町が騙されようとしている。ニュースが沈静化した後に加計学園はお荷物になったことに気付くのだろうか。
    https://twitter.com/55kurosuke/status/932008138164731905

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