2012年11月15日(木)、参議院議員会館で、「福島市渡利・大波の空間線量率および土壌汚染調査結果に関する記者会見」が開かれた。福島原発事故から1年7ヶ月が経過した10月14日、フクロウの会とFoE Japanは、福島県渡利・大波地区の放射能汚染調査を行った。最も高い箇所で空間線量が4.4μSv/h、土壌中のセシウム濃度が500,000Bq/kgを超える汚染を確認。メディアに報じられない中、除染を待つ住民が、未だ高線量の放射線に曝露されている実態を報告し、除染効果そのものに対し、強い疑問を呈した。
- 内容
- 福島市渡利・大波の空間線量率および土壌汚染調査結果について
- 出席者
- 青木一政氏(福島老朽原発を考える会)
- 阪上武氏(福島老朽原発を考える会)
- 満田夏花氏(FoE Japan)
- 日時 2012年11月15日(木)
- 場所 参議院議員会館(東京都千代田区)
福島駅から1〜2kmに位置する住宅街、福島県渡利地区。今回、515,000Bq/kgという高濃度の放射性セシウムが測定されたのは、渡利薬師町の水路の土壌だ。町内のTさん宅の庭では、苔から489,000Bq/kgを確認。いずれも、チェルノブイリ原発事故後の避難ゾーンの基準に照らし合わせると、一番高い規制が適応される数値。除染をしても汚染土の保管場所がなく、裏庭にブルーシートを被せて放置されている状態。結果、除染の範囲も限られ、無用な被ばくが強いられていると訴える。
一方、福島駅から10km離れた農村エリアの大波地区。昨年12月に除染作業が行われたエリアを測定したが、空間線量が上昇していることが、今回の調査の結果で認められた。除染をしても線量が上昇している原因は、手つかずの田んぼや山林から、放射性物質が流れ込み、堆積している可能性が強い。加えて、除染した汚染土が乾燥して舞い上がり、二次汚染を引き起こしているという。
渡利地区、大波地区共に、汚染土の置き場が確保できないという問題で除染計画は遅れている上、今回の調査結果は、除染の限界を証明した。「地域社会を守るため、国は、避難ではなく除染を推進しているが、裏腹に、コミュニティはバラバラになっている」とフクロウの会の阪上さんは語った。事故前には約40人だった大波小学校の生徒数は、事故直後に30人になり、来年度には自主避難により、全校生徒3人に減少するという。